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2013年8月11日:説教概要
「平和をつくる者の幸い」
マタイ5:9

「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるから」・・・この言葉は「平和な社会に暮らしている者は幸いです」とか「平和な環境に置かれている者は幸いです」と言っているのではありません。「平和をつくる者は幸いです」・・・平和はあるものではなく、つくるものである。私たち、平和と思われる社会にあって、平安だ、平安だと思いながら、知らずしらずのうちに平和をつくる者としてではなく、平和を乱していくことに加担していないだろうか。

戦争ということを考える時、戦争が引き起こされる背景というものがある。戦争が起こる背景・・・いろいろあるが、一つには王位継承を巡る戦争がある。いわゆる権力闘争です。二つには、宗教、イデオロギーの違いによって生じる戦争がある。宗教による戦争としてはカトリックとプロテスタントの戦争があった。イデオロギーの戦争としては資本主義と共産主義における冷たい戦争というものがあった。この代表的なものがベトナム戦争・・・、三つ目には資源とか市場を獲得するための戦い、19世紀にアジア、アフリカで展開された植民地支配を目的としたものがあります。四つ目にはナショナリズム・・・民族の違いによる戦いがあります。旧ユーゴスラビアの戦い・・・ボスニア・フェルツゴビナ、クロアチア、セルビアの戦いは典型的なナショナリズムの戦いであろうと思います。そして五つ目のこととして、国連を中心とした戦争、戦争をしないと国際協力がまとまらないから、ある程度まではやむを得ず協力して戦争をする。代表的なものとして91年に起こった湾岸戦争があげられると思います。

戦争が起こる背景、こういったものがあげられますが・・・でも、いったい誰が戦争を起こすのだろうか。勿論、権力者です。しかし、考えなければいけないのは・・・権力者がどんなに戦争を起こしたいと思っても戦争は起こらないんです。世論というか大衆が支持しなければ戦争はできないんです。私たち誰一人戦争などしたくない。でも、実際には戦争が起こっている・・・どうしてなんだろうか。それは大衆が戦争を支持しているということです。どうして、大衆は戦争をしたくないと思っているのに戦争を支持しているんだろうか。

そこには・・・戦争を支える文化というものがあるからです。戦争を支える文化・・・一つには「すべての戦争は平和のための戦争である」と言う考え方です。つまり、この戦争は平和のための戦争であるということです。戦争というのはすべて平和のための戦争という言葉に置き換えられてしまい、平和と言う言葉にごまかされてしまうんです。それから戦争を支える文化の二つ目として戦争はほとんど全部と言っていいほど「自衛のための戦争である」と言うことです。誰も外国を侵略するからと言って戦争をする人はいないんです。これを守らなければどうなるかわからないといったところで戦いを始めるんです。そして三つ目には「聖戦」と言うことです。敵は絶対に正しくなく、味方は徹底的に正しいという捉え方です。そうでなければ戦争はできないんです。こっちが絶対的に正しい・・・正義の戦いである。聖戦である。四つ目としてナショナリズムがあげられます。平等主義・・・みんなが平等だと戦争はできないんです。当然、民族的差別というものが起こってきます。敵は間違っているというだけでなく、日本人より劣っているという差別意識があるんです。正義の敵を滅ぼす、平和のための戦争である。そこに生まれてくるのが手段がすべて正当化されてしまうという怖さです。差別は戦争犯罪の大きな理由であろうし、戦争は差別を過激化していくものです。そして五つ目のこととして大衆操作ということがあげられます。メデイアを通しての大衆操作、「騙されていた方が楽」といった状況の中で知ることの努力をしないで「騙されていた」という大衆。さらに大勢順応主義というものがあります。大勢に順応する・・・みんながすれば一同右向け右・・・時の流れには逆らわない。その傾向が極端に現れるのが戦争です。

私たち・・・何が真理であり、真実であるのかを知る者として召されています。嘘は嘘だと見破ることが必要になってきます。「信仰によって義と認められた私たちは、私たちの主イエス・キリストによって神との平和をもっています」とあるように、何が平和か何が平和でないのか・・・そのことを十字架のいさおしによって知っています。そしてたとえ少数派であっても「神が私たちに与えてくださったものは臆病の霊ではなく、力と愛と慎みの霊です」とあるように平和をつkる者として神が与えてくださったものを用いることです。

さらに、国境を閉ざしてはいけないということであろうと思います。ちっぽけな民族意識に閉じこもるのではなくすべての人が神にあって貴いものであることを覚え、一切の差別を打ち破って行く必要があります。