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【母の軌跡】 | ||
渋江 喜久夫:
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西谷 史: 『遠慮なく、あまえられるすごさ』 この絵を見たとき、反射的に、あいみょんの「貴方解剖純愛歌~死ね~」を思い浮かべた。あれは、好きな人をバラバラにして、自分のそばにとどめておきたいという歌だ。ただ、そんなことを言ってもわかってくれるくらい優しい彼でなければ、あの歌は成立しない。 翻って、こんなふうに自分の手を好きなように描かせてくれる人が、この世に何人いるだろう。人生のある一時だけなら、描かせてくれる人はいるかもしれない。しかし、いつ、どんなときでも描かせてくれる人は、母以外にいるはずがない。「それをわかったうえで、私にモデルになれとは。喜久夫はいつまでたっても甘えん坊だねえ」そんなお母様の声が聞こえるようだ。でもお母様も、この絵をご覧になり、すばらしい出来栄えにきっと喜んでいらっしゃると思う。 |
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