【紫キャベツ】
渋江喜久夫:
別にどうという意味はないのだが、スーパーで何気なく買った紫キャベツの断面の面白さに魅せられて描いてみた。複雑に入り組んだ内部構造は一見デタラメとも思えるのだが、きっと何か必然性があるのだろう。このモチーフはやがてサラダと化し私の腹中に納まった。(鉛筆画)
西谷 史:
渋江さんは、どうしてこのモデルが紫キャベツだということをバラしてしまったのだろう。『生まれ出る悩み』とか、『ミイラの心臓の断面』などというタイトルをつければ、みんなもっと驚くかもしれないのに……。
いや、冗談はさておき、今回もまた渋江さんの筆は、自然界の生きとし生けるものが持つ規則性と、微妙な非対称を見事に捉えている。

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