【変動する経済】
渋江喜久夫:
昔やった「日経ニューマテリアル」誌の表紙イラストで円高・原油安の特集で使われた作品である。銀行で自分の預金の下ろし方(無論入れ方も)分からない程経済オンチの私に作品の解説をさせないで欲しい。編集者の依頼通り描いただけだから。カードで買物をした事もない私が言うのも変ですが一言。「日本経済はどうなっちゃうんですか……?」(カラーインク画)
西谷 史:
この絵を見て、いつもとタッチが違うと思うのはぼくだけだろうか。渋江さんにとって、本物と区別のつかない札束を描くのは簡単なことだろう。しかし彼は、あえてそうしなかった。まるで陶器のようなこの札束を見ていると、原油と、ドルと、円の関係なんて、所詮は人間が作り出したバーチャルなものだという渋江さんの肉声が聞こえてきそうな作品だ。
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