グラウメリーのビンを開けますか?
はい
→いいえ
「・・・興味ない」
あぁっ!ゲームが始まりません、クレイドル様っ!!
オープニング
アドル「お前が、森に住むという人間の学生か。名は何という」
クレイ「・・名乗る必要は、無い」
アドル「(ムッ)お前が、グラウメリーを拾ったな?」
クレイ「まずは、自分たちから名乗ればどうだ」
アドル「私はアドル。フラヒスの大天使ルー様の近衛隊隊長だ。
あの香薬はルー様の物だ。持っているなら、返してもらおう」
クレイ「香薬?・・・知らんな」
フィリ「グラウメリーとは、妖精達が作った魔術の香薬
−−私たち天使に魅惑の魔術をかける薬です」
クレイ「魔術?・・・胡散臭いことだ」
フィリ「(・・・胡散臭い・・・
この時代、『科学』の方がよっぽど胡散臭いです・・)
あれの持つ魔力はとても強いもの。
アンヌンの堕天使達も欲しています。
貴方が持っていては危険です」
クレイ「危険、か。くくっ、良い響きだ」
ソリュ「・・(汗)。俺達天使は、今、
あのアンヌンの悪魔達と和解をしようとしている。
あれは、そのために必要なものなのだ」
クレイ「・・・(興味無い)」
ソリュ「(・・聞いてくれよ、頼むから)
ルー様は、あのグラウメリーの魅惑を利用して、
聖なる仲裁の力を創り出そうとお考えなのだ」
クレイ「・・・(やっぱり興味ない)」
ティム「(泣)僕は、ティム。知っていたら、教えて下さい!
香水のビンは、この辺りで落っこちちゃったんです」
クレイ「ビン?あぁ、あれなら・・」
(↑興味ないと言いつつ、科学者の宿命、
教え魔の血が騒いだらしい)
アドル「やはり、知っているのだな!さあ、返して貰おう!」
クレイ「・・・(怒)。まあ、いいだろう。
それにしても、妖精が作った香薬だったのだな。
成る程、成分が分析出来ない訳だ」
アドル「!!お前、栓を開けたのか!?」
クレイ「無論。まず匂いを確かめ、しかる後に、
成分分析用に試料を0.5mlずつ小分けにして・・」
アドル「−−なんということだ・・魅惑の封印が・・」
ソリュ「これは、まずいな」
アドル「とりあえず、ルー様の指示を仰ごう。
大変なことをしてくれたものだな・・。
また来るが、それまで、あのビンには触れるな。わかったな」
クレイ「・・・・・・・(激怒)
わかった、ビンには、触れない。
(試料は使い切ってやろうか・・)」
夕刻・自宅にて
クレイ「・・まったく・・いきなり現れて、
怒鳴るだけ怒鳴って帰っていったな、あの天使・・
くっ、使い切ってやりたい、この香薬・・」
その時、一陣の風が!
クレイ「うっ!?埃が試料に入るではないか!!何事だ!」
ナデュ「よう」
クレイ「なんだ、お前達は」
ナデュ「俺の名はナデュー。あっちはシトラにリアムにロキ。
おいおい、そんなに怯え・・てはないな(汗)」
クレイ「どこのナデューだか知らんが、実験中の試料を、
無茶苦茶にしてくれたな・・(怒)」
ナデュ「アンヌンの王シフィール様の側近がじきじきに
来てやってんだぜ。
つまり、俺達はあの名高い悪魔様ってわけさ
(これで、ちょっとは怯えるだろ)」
クレイ「悪魔・・さっきの天使といい、俺はお前達に興味はない。
なんだって、俺の邪魔をするのか・・」
シトラ「・・・可愛くない人間だねぇ・・」
ロキ 「ホントにこいつ、天使どもから例の惚れ薬を
かっぱらったってヤツ?
なんか度胸・・・は、ありまくりそうだけど」
リアム「くすくす・・・オモシロイ人間かも」
ナデュ「おまえ、名は?」
クレイ「(悪魔の方が、先に自分の名を名乗ってから、
俺の名を聞く辺り、礼儀にかなっているようだな・・)
・・・クレイドルだ」
ナデュ「じゃ、クレイドル、そう青筋をピクピクさせんなよ。
例の香薬を俺達に寄越せば、すぐに退散してやるぜ」
シトラ「ナデュー、ちょいとお待ち。
どうやら横取りするにゃ遅かったようだよ」
ナデュ「なにぃ?本当か、シトラ?」
シトラ「この男から、魅惑の魔術の香りがする・・。
ねえアンタ・・・あの媚薬の封印、解いちまったんだね?」
クレイ「・・・媚薬?」
シトラ「おーや、自分が何を手に入れたのか分かっちゃ
なかったんだねぇ。
お聞き。そいつは惚れ薬さ。
私ら悪魔と、フラヒスの天使どもに効くね。
アンタはその魔力を手に入れたのさ」
クレイ「(人間には効かず、天使と悪魔には効く・・・
どういう成分だ?・・くっ、分析したい・・)」
ロキ 「へーえ。封印、こいつが解いちゃったんだ。
じゃあ俺達みんな、こいつに惚れちゃうってわけ?
−−おもしれえじゃん。
おまえ、今、俺達をユウワクしてる自覚ある?
それから天使のやつらもね。
その香りはさ、そういうモンなんだぜ?」
クレイ「・・・迷惑だ」
シトラ「ふふ・・天使達、アワ食っただろうねぇ。
私らを取り込むために、わざわざ創らせといた惚れ薬でさ
−−自分らが、人間の男に誘惑されるハメになっちまう
なんてねぇ」
ナデュ「ハハッ、気に入ったぜオマエ!
人間のくせに天使を出し抜くなんざ、やるじゃねえか。
−−それに、度胸もあるしな。
アンヌンの悪魔を誘惑しようってんだからな、
大したタマだぜ−−ま、もっとも人間如きに
俺達をおとせるわけもねぇがよ。
だが、その度胸に免じて、受けて立ってやってもいいぜ?」
クレイ「迷惑だと、言っている!」
ナデュ「そっちにその気がなくても、こっちには大ありなんだよ!
俺たちゃ、ずっとアンヌン暮らしで、しばらく退屈してたからなぁ
おもしれぇから、ここにはちょくちょく寄らせてもらうぜ!
−−野郎ども、計画変更だ。ひとまず帰るぜ」
ロキ 「おう!」
シトラ「その野郎ども・・ってのは、やめとくれよ」
クレイ「(さっさと帰れ・・・って、まだ残ってる奴がいるな・・)」
リアム「くすくす・・身の程を知らない向こう見ずな男
・・・だけど、結構、気に入ったかな?」
クレイ「・・・・・・・・・・
なんなのだ、あれは・・・・
現状をまとめると・・あのビンの中身は、
天使と悪魔に効果のある惚れ薬で、封印を俺が破って
・・俺が、天使や悪魔を誘惑・・・している、と。
・・・・・・・・・面倒なことになったぞ」
夜。クレイドルは名残惜しそうに、
試料をグラウメリーのビンに戻している。
クレイ「ふぅ・・・惜しいことをしたな。天使だの悪魔だのが来る前に、
分析を済ませておけば良かったのだが・・・」
ルー 「そんなことをされては、困るな」
クレイ「・・・また、違う奴が来たか・・・」
ルー 「大天使ルーだ。そなたに守護を与えに来たのだが・・」
クレイ「いらん」
ルー 「・・・・・・守護、なのだが。何も呪いをかけに来たのではない」
クレイ「いらん、と言ったら、いらん」
ルー 「今なら、洗剤1箱と巨○×阪○戦のチケットもつけておく」
クレイ「・・・・・・(今、洗剤がちょうど切れているのだ)」
↑ちょっと、心が動いた
ルー 「その代わり、我の仕事を引き受けねばならぬ。
そなたが自らのものとしてしまった魅惑は、
本来なら聖なる香薬ナーヴェリーへと変えられて
使われるものであった
些細な手違いではあるが・・・
我らにはもう、その魔力を聖なるものに変える術がない。
それはそなたの手で成されるしかないのだ。
この大いなる仕事−−我が主ジーアの望むフラヒスと
アンヌンの和解は、今やそなたの手にかかっているのだ。
さあ、クレイドル。我と契約を。さすればそなたは我の守護
(及び洗剤1箱とチケット1枚)を手に入れ、
我らは望みを捨てずにすむのだ」
クレイ「(些細な手違い・・・大いなる仕事・・・矛盾していないか?)
・・・聞けば、フラヒスには霊茸なる植物が存在するとか。
一度、分析してみたいものだと思っていたのだが・・・」
ルー 「(人の脚元を見てきたな!)」
交渉は、夜更けまで続いた・・・
ルー 「くっ、では、守護、及び洗剤2箱、巨○×阪○戦の
内野席ペアチケット1枚、ビール券5000円分、霊茸3本、
マンドラゴラの根5本にヘンルーダ1本まで付けて、
契約は成された・・・!
魅惑の魔術を手にした人間よ・・・ナーヴェリーの奇跡、
そなたに託したぞ!
(ここまでやって、出来なかったら、ただではすまさん!)」
クレイ「・・・・・・うむ、契約分の仕事はする。
(なかなか、よい交渉をした・・・さ、もう寝るか)」
て言うか、ルー様、交渉下手?
ま、でも、しょうがないじゃん。
この人間に頼らざるを得ないんだから・・。
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