参議院法務委員会に於ける、ちば景子議員の質疑・南野法相の答弁
最終更新日:'04.11.11.

 
第161回国会、参議院法務委員会において、平成16年11月4日に民主党ちば景子参議院議員が質問に立たれて、雑誌AERA2004年No.48号の「離婚親権 子奪い合いの壮絶」と題された記事を例にとり、離婚後の親子の交流の問題について取り上げてくださいました。南野法相の答弁も前向きのものであったと思います。
以下に、平成16年11月4日の法務委員会の質疑の中から関連部分を抜き出しておきますので参考になさってください。

○千葉景子君 さて、大臣、大臣も、今申し上げましたように、なかなかこの法務の関係の諸課題、勉強中だというお話をこの間、所信等を通じて伺ってまいりました。なかなか、勉強なさるといっても、寝ずに勉強されているというお話でもございますけれども、余り的を絞らず勉強してもこれは寝不足になるばかりでございまして、時間がもったいないということもございます。
 そこで、私は、せっかく大臣が就任され、とりわけこれまで、先ほども申し上げましたように、厚生福祉関係あるいは男女共同参画、こういう部分に大変なるリーダーシップも取ってこられました。DV法、性同一性障害に関する法律の策定等々ですね、やはりそこは大臣の存在というのが大きかったことを私も承知をいたしております。
 そこで、この法務にかかわるところでも是非これまでの大臣の御経験やあるいはやっぱりあふれる情熱、そういうものを是非掛けていただきたい問題が今ちょっと二つ指摘をさせていただきますので、是非その点について、今日お答えをすぐにいただくということではありませんけれども、その寝ずの勉強の是非中心に据えていただきまして、近いうちにまたその勉強の御成果を是非またお示しをいただければ大変有り難いというふうに思っております。
 その第一点。それはこの間、これはもう寝ずに勉強していただかなくても大丈夫な課題でございますけれども、選択的夫婦別姓、これを含む民法改正という問題でございます。
 これについては、中身はもう申し上げません。大臣のやっぱりこれもリーダーシップあるいはこれを是非実現しようという御決断、これがあればもう直ちにでもこれは改正が実現をすると、こういう状況でございます。どれほどの人が大臣の決断というものを待っておられるか、こういうことももう十分承知でいらっしゃると思いますので、本会議でお聞きをしたときのああいう御答弁はもう大臣にはふさわしくありませんので、そういうことはもう要りません。是非これをまずひとつきちっと仕上げていただきたい、これが宿題の一つでございます。
 それから、宿題の二つ目、これは私も今勉強をこれから十分にそれこそさせていただきたいなというふうに思っておりますが、今日もそのためのちょっと資料、これはアエラの記事でございます。今子供の奪い合い、「子ども奪い合いの壮絶」と、こういう表題になっておりますが、実はどういうことかと申し上げますと、最近、子供、離婚に際して子供はどちらが引き取るか、あるいはどちらが親権を持つかということが大変な争いになりまして、大変その中身というのは壮絶なものがあるということでございます。事例も随分増えてきております。これが、一体どうしてこんなことが生じてしまっているのかというのを私も私なりに考えてみました。
 一つは、そもそも離婚というのは男性と女性、言わば夫婦の問題でございます。夫婦が離婚したからといって親と子の関係というのはなくなるわけではない、消滅するわけではないんですね。ところが、今の家族法の中では、離婚をするとどちらか単独の親権を選択しなければいけないと、こういうことになるものですから、親子の関係は切れない。しかし、その親権とやらは片方にしか付いていかないということで、そこに非常に矛盾が生じている。で、争いが起きているということだというふうに受け止めております。
 その背景にはいろいろあるというふうに思うんですけれども、やはりこれまでの家族法、そしてこの親子に関する法律の立て方が、本当に子供のため、子供のための法律になっていたか。どうもそうではなくて、今のこの親子法は旧来の言わば家父長的な側面、性格、それを色濃く残してきたと、これがこの単独親権というようなことにもつながっているのではないだろうかというふうに思っています。居所指定権とか懲戒権とか、あるいは職業選択に対する了承の権利とか、こういうことを考えますと、いささかこれは、子供は親の支配下にあるものと、こういう考え方、そしてその背景には、さらには言わば家長というんでしょうかね、そういう者の子供は物なんだと、こういう考え方がまだまだ底流に残されたままできたのではないかというふうに思われます。
 したがって、離婚をするとやっぱり家長の下に子供は残っているのだ、家長のものだということで、必ずしも、今家長なんというのはないわけですから、あるいは父親、母親どちらと決められているわけではありませんけれども、そういうことで、どちらかが、家を守るような立場の者がその親権を持つということになる。ところが、それを持たない方は子供と会うにもなかなか会うことができない。子供の側も、やっぱりお父さんもお母さんも会いたいし、そしてその中でいろんな育っていくけれども、そういうことが法的には十分に権利として保障されていない。逆に、反面、扶養の義務があって、金は扶養のための、あるいは仕送りをしなければいけないと、こういうこう矛盾した状況の中で、この親権争いという形でその矛盾が今噴き出しているのではないかというふうに私なりにちょっと解釈をしてみました。
 是非これは直ちに、大変幅広い問題にかかわりますので、結論が出るかどうかということになりますけれども、是非大臣ね、せっかく寝ずにお勉強していただいているということですので、こういう問題に少し的を絞ったり、あるいはせっかくのその勉強の時間を割いていただきまして、これまでのやっぱり大臣が大事にされてこられたやっぱり子供のこと、あるいは男性も女性もそれぞれが生き生きと生きられると、こういうことを踏まえながら是非お勉強いただきたいというふうに思いますけれども、この二点、ちょっと大臣に、大変おこがましいことではございますけれども、宿題を差し上げることにいたしましたので、是非この点について大臣としての御決意のほどをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 宿題をいただきましたが、その前で今思っていることについて御報告いたしますと、選択制、選択的夫婦別氏、この制度の導入につきましては、婚姻制度や家族の在り方、そういうのにかかわる重要な問題でありますので、各方面、それぞれの方が、そういうことについて大方の国民の理解が得られるというところにもやはりポイントをまたなきゃいけないんじゃないかなと、そういう制度、そういう状況になったときにこの制度の問題について検討する必要があるんじゃないかな、そのように思っております。宿題、重く受け止め、寝ずにまた頑張ろうと思っております。
 それから、その次の三問目、三問目といいますか、今の離婚の親権者のことについてでございますが、夫婦が離婚をした後の子供の親権をどうするかというところの課題でありますが、子供の福祉又は子供の健全な成長と、そういうところの観点を見ながら、これもまた大変重要な問題点でございます。この問題につきましても、先生御指摘の優しい感じが取れるように、法律の中にもそれが表れるようにしっかりと勉強しながら考えてみたいと思っております。
○千葉景子君 是非、またその成果はいろいろな機会に議論をさせていただきたいというふうに思いますが、今選択的夫婦別姓につきましては、大臣の御答弁はもう、これはもう十年くらい前に言っていただくような御発言じゃないだろうかというふうに思います。もう今そんな段階じゃありませんから、これはもう勉強をそんなにしなくても、あとはやりましょう、これでもう本当に進めることができる課題ですので、そこはよくよく踏まえておいていただきたい。これだけ申し上げまして、本題の法案の方に入らせていただきたいというふうに思います。


 
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