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PCL86
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PCL86超三結歪率の改善





まずは結論から、これだけ改善できました
PCL86超三結の歪率を計測してみましたら意外と多いことが分かりました。何とか改善できないか、その奮闘記です。
まずは改善結果から、1W以下で1%以内の歪に抑えることが出来ました。

改善前 改善後



歪率を計測したい
アマチュアにとって、計測器・測定器はなかなかお値段も高く入手が困難なものです。テスターはまずほとんどのアンプビルダーの方はお持ちと思います。次に低周波発信器とミリボルでしょうか、おっとオシロスコープもありますね。ここぐらいの計測器は比較的中古で入手しやすいと思います。オークションでも手の出る値段がつけられています。
ところが、歪率計となるととたんに値段がど〜んとあがりとても無銭家のアマチュアには手の出せるものではありません。しかし、HPを見ているとアマチュアの方でもちゃんと自分の作ったアンプの歪率を計測している方を見かけます。羨ましいと指をくわえているだけでした。
ところが何とパソコンを使って歪率を簡単に測ることが出来ることがわかりました。そのソフトもフリーですから嬉しい限りです。

善本さんのHPにその歪率測定記事はあります。こちら→ http://homepage3.nifty.com/softone/ws/wstop.htm
さっそく試してみました。うまくいきます。パソコンが高価な測定器に変身します。


改善方法
FFTアナライザで見てみるとやはり2次歪が大きく出ています。
さて、この歪を少なくする方法はまずピンと来るのはオーバーオールNFBを大きくすることです。しかしあまり大きくすると超三結の良さもなくなり、普通のアンプになってしまうのではないかと案ずるのです。そこで、初段のFETのみ負帰還をかけてみます。方法はソースにあるバイパスコンデンサを取り去ることです。これで電流帰還がかかります。
その結果歪率は上のグラフにもあるようにかなり改善されました。
しかし、ゲインも落ちてしまいます。ゲインの減少はバイパスコンデンサがある時は全体のアンプゲインは24.4dBでした。それがバイパスコンデンサを取ると16.5dBになりました。何とか使える範囲です。それ以上に歪率の改善は魅力的です。


改造部分
改造は簡単です。FETのソースにつながっているバイパスコンデンサをはずします。はずした後はPCL86出力段のカソード電圧38V の再調整を半固定ボリュームで行います。
これだけ!



回路図

改良した回路図です。と言ってもFET2SK30Aのソースについているバイパスコンデンサをはずしただけです。
電源周りを少しいじってみたのと(電源は以前のままでも良いと思う)
ストッピングダイオードとやらは自分にはまったく意味を成さなかったので、取り外しました。
各ポイントの電圧値を入れておきます。
<回路図修正:2010/3/14>


聴いてみて
すっきりまとまった音。定位感があります。といいことを並べあげたかったのですが、正直言ってよく分かりません。そんな気もすればしないような?なにせもともとこのPCL86超三結の音にそう不満があるわけでもなかったからです。たまたま歪率が測れるようになり、測ってみたら意外と多かったことから始まった改造です。私にはこの程度の歪の違いの音を聞き分けられる耳を持っていないのかもしれません。
しかし、私は今回の改造を大変満足しています。(劇的に音が良くなったわけでもないのに自己満足か)・・・そう、その通り自己満足です。次のような満足感がありました。
@ 0.1〜1Wで歪率を1%以内にすると言う目標を達成したこと。
A パソコンで歪率計を測るという手法を手に入れたこと。
B 何しろアンプをいじり回したという自作を堪能できたこと。
今このアンプを聞きながらHPを作成してますが、なかなかいい音です。(私の音に対する表現はいい音しかありませんね)
最初は遊びのつもりで板の上に組んだPCL86超三結ですがここまでくれば立派なものです。だから自作がやめられなくなるのですね。
そうそう、今回の改造では失うものもありました。アンプゲインです。ゲインを取るか、歪率を取るか・・・。私は今回歪率改善を取ってみました。そうだ、スイッチをつけてバイパスコンデンサを入れたり切ったりすれば聞き比べも容易ですね。今度試してみようっと。
 

<画像をクリックすると拡大画像になります。>
トランスBOXの中も披露します。左からアウトプットトランス左と右用、真ん中手前の少し斜めになっているのがチョークトランス、その奥は14V1Aのヒータートランス、そして一番右の黒いのがパワートランスです。各トランスが接近しているのでハムが出ないか心配でしたが、うまいことトランス間の誘導はありませんでした。
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