PCL86 | |
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これは私が真空管アンプにのめりこむきっかけとなったキットです。 2002年の秋、ぶらりパソコン部品を物色しに秋葉原に行った折、小沢電気商会に行きその奥をぐるっと回っていたらスピーカーからとても綺麗な音を奏でている店がありました。そこは、春日無線変圧器と言う店。真空管アンプで音楽を流していたのです。当時真空管アンプはとても高いと言うイメージがあったので買う気持ちなどまったくなく、でもちょっと気になってそこの店主に「いい音ですね」と話しかけてみました。 またここの店主が気さくな人で、気楽に話しに応じてくれました。 「ああ、そこの今売り出しのシングルアンプのキットですよ」と指差したのが、目の前にあるなんとも小さな真空管アンプ。ウェ〜!こんなアンプでこんないい音でるんだと驚いたものです。 なんとそのキットの値段がびっくり、14,900円。もちろんステレオキット、真空管も、トランスも、シャーシも、チョークまで付いている完全キットです。すぐさま購入してしまいました。 |
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![]() PCL86と言う真空管はヒーター電圧が14Vと中途半端な電圧ですがそのほかの特性は6GW8と同等です。5極管と3極管の複合管で6BM8よりグレードが高い管と言われています。 キットパーツです。線材やラグ端子までちゃんと入っている完全キットです。おそらく自分で買い集めたらこの値段ではまず無理でしょう。それに、14Vのヒーター端子のある電源トランスなんてどこ探してもありゃしない。 シャーシは自分で加工しなければいけません。穴あけ加工を2,000円でやってくれるそうですが、ここは自作の鉄則「金かけずに手間かける」を実践することにします。 回路図はもちろんシャーシの穴あけ寸法図や実態配線図まで用意されています |
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キットの中に回路図も一緒に入っています。 著作権の問題があるかもしれませんのでここでは掲載しませんが、アポロ電子のHPにこのキットの説明書や回路図がPDFファイルでありますのでダウンロードしてみてみてください。 http://homepage2.nifty.com/apollo/pcl86.htm ただし、この説明書は初期のころのもので少々分かりづらいところもあるかもしれませんが現在(2004年4月現在)では説明書がまったく新しくなっていて親切丁寧に書かれています。パソコンの作画機能を使っていると思われ雑誌などに載っているような実体配線図ではないのですが、最終的な実体配線図も掲載され分かりやすくなっています。 回路は出力の5極管を3極接続し、OPTの2次側から出力管のカソードへFBがかかってます。電源には5Hのチョークトランスが使われていてさすがトランス屋さんの出すキットだなぁと感心しました。 |
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![]() 加工図面がありますので、その図面を両面テープでシャーシの上に貼り付け上からボンチでけがいて行けば比較的簡単にいきます。配置を自分なりに変えオリジナリティを出すのも自作の楽しみでいいものです。 |
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![]() 配線はわたしはまずアース母線を錫メッキ線で配線しました。このときシャーシアースのとり方ですが入力側の1点でシャーシに落とします。 このキットでもうひとつ配線上の注意点はアウトプットトランスの二次側の配線です。トランスタップ0Ωがスピーカー赤端子へ、8Ωがアースラインヘ落ちスピーカーの黒端子へ行きます。ちょっと逆のようですがカソードへのフィードバックの位相合わせのためです。これを間違えると悲惨な結果になるでしょう。 ヒーターへの配線は2本の線を良く撚って配線します。必ず片方はアースへ落とします。 最新の説明書では、組み立て配線手順が全18工程にわたって順を追って実に丁寧に説明されています。部品の取り付け方法から線材の端末処理の仕方まで記載されています。初心者でも安心して作れそうです。 |
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![]() (1)まず、回路図どおり配線されているかもう一度チェックです。 (2)真空管をはずし電源を入れ、B電圧のチェック。テスタでチョークの端子どちらでもいいDC250V〜290Vぐらいあるか確認します。 (3)真空管ソケットの4,5番ピンのヒーター電圧がAC14〜15V来ているか確認します。 (4)一度電源を落とし真空管を2本挿入して、スピーカー端子に8Ω(5W〜20W)のセメント抵抗を接続しボリュームを一番下げて電源を入れます。テスタACレンジでスピーカー端子の電圧を測ります。10mV以下ならOK。 (5)もう少し慎重にやりたければ各点の電圧が回路図の電圧の±10%程度ならOKです。 (6)スピーカーにつないで入力を入れて、電源オン。少しづつボリュームを上げていくと・・・・ほら、聞こえてきたでしょう。すばらしい音が。 |
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周波数特性だけではそのアンプをどうこう言えませんがとりあえず計ってみました。 測定方法はアンプの出力に20Wの8Ωセメント抵抗をつなぎ出力電圧をNationalのミリボルVP9631Aで測定。 さすがにこの小さな出力トランス、低域の落ち込みはあるものの、なんといい特性じゃないですか。 周波数帯域 25Hz〜70kHz -3dB 0.5W |
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アンプの音の表現は主観的な感覚を文字に現そうとするのですからもうめちゃくちゃ、意味不明なところがあります。 深みのある音ってどんな音なのでしょうかね。音につやがあるや音が前に出てくるなどなどさまざまです。 さて、このキットの音はと言いますと・・・ずばり!私にはすごくいい音で聞こえます。・・・ もちょっと言えば14,900円の真空管アンプとは思えない音でびっくりしてます。 はっきり言って出力トランスはちっこいです。だからあまり期待はしてませんでした。しかし、先入観念で判断してはだめですね。とってもいい音なんです。 真空管アンプとしては値段以上の満足感はあります。始めて真空管アンプに挑戦という方にはお勧めです。 それから、ノイズやハムがほとんどありません(私の耳ではまったくと言う表現でもいいかも)。 これは、配線の仕方にもよると思いますが、アースラインをメッキ線で張りシャーシに落とす位置を入力段1点にするといい結果です。説明書どおり作ればまず問題ないでしょう。 やはり穴あけが大変ですかね、しかし苦労するだけの価値がある一品です。 皆さんも挑戦してみませんか? 私が購入した店は 春日無線変圧器(ニュー秋葉原センター店03-3257-0337) |
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このキットのいいところ悪いところいろいろ考察してみました。 こちらから |
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真空管Home JK1EYP-Home |