いくつかある塗装の目的のうち、最も重要なものに「保護」と「美粧(美観の付与)」があります。材料が何であっても、建造された物は、年月の経過と共に風化、劣化してしまいます。 せっかく造った物を永く保持するために、また風化、劣化した物をもう一度美粧するために簡便で比較的安価な手段が塗装であるわけです。 昔も今も、いくら不景気だといっても橋や建物は建ち続けているわけですから、新築塗装や塗り替え工事といった我等が塗装業は、絶対になくなることがないはずです。 そればかりか、塗料材料の開発、塗装機器や塗装技術の発展は、日進月歩で進んでいます。
技能や技術に興味を持っている人なら、飽きの来ない職種といえるものではないでしょうか。(少なくとも、我々はそう思って止みません。)
ただ、何の仕事でもそうでしょうが、「石の上にも3年」、「継続は力なり」とも云われますように、「やってやるぞ。」、「なってやるぞ。」という強い意志が大切です。 「どこも雇ってくれないから」、とか「ペンキ屋にでもなってみるか」、「・・・位なら、なれるんじゃないの」「ペンキ屋さんしか、就職先がないぞ。」、程度の考えや紹介でなら、止めた方が無難です。
最初は、叱られたり、怒鳴られたりと、我慢我慢の日々になるかもしれません。
遠目から見れば、いとも簡単そうに動かしている刷毛さばき。「少し習えば、私にだって・・・・」と、考えがちですし、やってみても滅茶苦茶難しいものでもありません。 しかし、上手になると1階づつ上の階に昇れるビルに例えてみますと、技能や技術というものには、最上階はありません。登れど、昇れど同じ階にいるような気がするものです。
そんな中で、大切なことは『目標』をしっかり持つことです。 その目標も「大きな目標」、それを達成するための「中くらいの目標」、それをまた細分化させた「小さい目標」に分けて日々達成していくわけです。 たとえば中学校を卒業し塗装店に就職する人ならば、「大きな目標」を、「5年経ったら私は、2級塗装技能士の資格を絶対取得するぞ。」にするとします。でも、5年間は長すぎてその間に目標を見失うものです。 ですから、「来年までには、刷毛とローラー塗りを誉めてもらえるようになるぞ。」という「中くらいの目標」をつくっておき、それを更に細分化して、「明日は絶対失敗しないようにするぞ。叱られないぞ。」といった「小さい目標」を立てて、日々それをクリヤーしていくことです。 小さい目標は、何も仕事のことだけに限らず、「朝は、一人で起きるようになるぞ。」でも、「朝、起きたら、親におはようのあいさつをするぞ。」でも何でも良いのです。ひとつの目標を達成できたら、自分を誉めてあげましょう。 自分が立てた目標を達成できた喜びが、次の目標への第1歩につながります。
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