XR−BAJAで行く林道ツーリング日誌
HOME ツーリング BAJA改造 整備記録

銀メダルの悪路  2008.08.14 福島県・会津方面ツーリング(1) 

今年の夏も会津の林道郡を目指す。
宿が「田島」近くに取れたこともありいつものように北上するのはやめて、今まで敬遠していた「甲子峠」越えに 挑戦。しっかし、こいつが噂で聞く以上の手強さで思わぬ苦戦を強いられることに・・・。

6:00にsugiと待ち合わせて環七から首都高へ。
東北道の浦和インターまで15分ほどなので122号を行くより30分近く短縮できる。
所々の渋滞を抜けて9:30に白河インターを降りる。


甲子林道への分岐点
曇り空ながら薄日が射して上々の天気のもと、雪割橋からトウモロコシ畑と牧場の間の農道を抜けてダート突入。
やがて分岐点。
右は何度も通った「西部林道」だが今回は初めて左の「甲子林道」へ進む。
ネットの情報ではなかなか“悪名”が高く、いつか挑戦してみようと思っていた。
入り口には鎖のゲートが掛かっていたが真ん中部分を失敬して緊張のスタート。
もちろんこの先は自己責任で。(^^;


序盤からゴロ石

いきなりゴロ石がつづくハードな登り。
タイヤの空気圧を落としているのでグリップを失うことはないが、しっかりステップに踏ん張っていないと振り落とされそう。
目を見開いて荒い息を吐きながら必死の形相で勾配を登る。
ときどき「うわっ」とか「やべっ」とか勝手に声が出てしまう。(^_^;)
10分もしないうちに息が上がってきた。きっついなぁ。

休憩中
30分程でグロッキー。
ひらけた場所で滝のような汗をぬぐいつつ体力の回復を図るが、なかなか再出発の踏ん切りがつかない。
ナビで確認するとまだ行程の1/3にも達していなくて愕然とする。
もう勘弁して欲しい雰囲気なんだけど・・・。(^_^;)
こういうときにパートナーがいてくれるのは非常に心強い。
他愛もない冗談でげらげら笑っていれば気分も晴れてくる。

発進はドタバタ

一度止まると発進が大変。
リアが左右に暴れて短い足をバタバタしながら生きた心地がしない。
ステップに足が乗れば多少振られてもバイクの性能がカバーしてくれるのでなんとか進むことができる。
とても通過できそうに思えない場所でも、エンストぎりぎりの回転で乗り越えていけるので感心しきり。

やってもうた!
それでも転倒なしで進めるほど甘くはなく、フロントが岩に飛ばされてブッシュに突っ込んだ。
崖じゃなかっただけ幸い。
実際、一歩間違えば崖下にサヨナラするような場面もあり、肝を冷やしながら通過してきたので冗談では済まされない。
この時、後ろではsugiもコケていたらしい。(^_^;)

こんなとこ進めんの!?

進むほどに険しくなるのは林道の常らしく、いよいよ歩を進めるのを躊躇するような状況になってきた。
岩が階段状に連なっていて進めそうなルートが見当たらない。
まあ、思った通りのルートを進むなんてそもそも出来ないのだが・・・。
我ながらかなりの勇気を振り絞ってBAJAに鞭を入れる。
めちゃくちゃに振られながらも前進しているうちは決してアクセルを緩めずにバイクにしがみつく。
一度止まったら再スタートするのは不可能に近いから・・・。


どこ行くの〜?
比較的平らな場所で気が弛んだのか本日3度目の転倒。
右のミラーが根元から折れた。
面白いことに私がコケると同じようなタイミングでsugiもコケていて、 この時は勢いあまって斜面を登ってしまったそうだ。
お互い写真を撮っておいて後で自慢するアホなおやじ。(^_^;)
「だんだんコケるのも楽しくなってきた・・・」と自虐的なことを言うsugi。
壊れてきてる・・・?(^^;

この先は舗装路だぁ

下りになったので峠は過ぎたのだろう。赤土や角張った石が目立つが特に支障なく走れるようになってきた。
大きな岩の脇を通過した時に足がヒットしてステップの間に挟まれ痛い思いをする。 やっぱハードブーツじゃないと怪我するなぁ…。

拓けた登山口に到着。この先は舗装されていて心底胸をなでおろす。
10km足らずの行程をじつに2時間掛けて制覇したわけだ。
もう二度と足を踏み入れまいとその時は強く思ったが、きつい体験ほど記憶に残るのも事実で 時が経てばまた挑戦したくなるような気が今はしている。
その時はまた後悔するんだろうなぁ・・・(^^;


麓の食堂
麓の食堂で腹ごしらえ。
さほど空腹感はなかったがご主人に勧められるままラーメンセットを注文したらちょっと食べ過ぎた。
テレビでオリンピックの観戦をしつつゆっくり休憩したが、体力の消耗が激しくすでに林道を楽しむ気分が薄らいでいる。 13:00を過ぎた辺りで時間はまだまだあるのだが・・・。

予定では「大窪林道」を抜けて「小塩・塩ノ岐林道」をピストン、さらに「多々石林道」を偵察するつもりだった。
特に多々石(だんだせき)は過去に苦い経験がある“極悪路”だが、数年の時を経て少しは腕が上がったと思える今ならリベンジできるのではないかとぼんやり考えていた。
しかし甲子林道で目が覚めた!おそらく今は廃道となってもっとひどい状況のはず。あぁ恐ろしい・・・(^_^;)
さながら多々石林道は“金メダル”、甲子林道は“銀メダル”ってとこだな。(オリンピックねた)(^^ゞ

とりあえず「大窪林道」は是が非でも走っておきたいのでその先はまた後で考えることにして出発。
折りしも小雨が降り始めた。

大窪林道起点

林道に入ってしまえば疲れていてもそれなりに楽しい。
舟鼻峠から始まる大窪林道はその先の玉川林道と合わせて全長20kmほどのロングダート。 深い森の中で眺望は望めない。
最近補修されたのか所々にある深砂利にタイヤをとられるが、それに気をつけていれば総じて走りやすい。
「駒止湿原」を過ぎて玉川林道に入ると締まった土の路面になり、 やや湿り気味の絶好のコンディションでペースも上がる。
結局のノンストップで走りきって、今宵の宿がある集落へ到着。

陽はまだ高いが・・・

いちど国道に出て給油。11L入って燃費は26.4kml。ずいぶん成績悪いなぁ。
近くの商店の軒先でかき氷でリフレッシュ。
時刻は15:30。
結局二人とももう林道は「お腹いっぱい」ってことで意見が一致。
近くに日帰り温泉でもないか探してみようかとも思ったがまた着替えてバイクに乗るのも面倒なので、 もう宿に上がってゆっくりすることに決めた。
天候的には好条件にもかかわらずいつにも増してバテバテ。
体力が低下しているのかも。(^_^;)

今回お世話になるのは「清水荘」さん。
一週間ほど前に宿を探し回ってやっと空きを見つけた民宿だが、林道郡の中心部に位置しておあつらえ向きの穴場だった。
ご主人や女将さんも気さくで親切。家族ぐるみで歓迎してもらえるのがうれしい。
ちょうど先客が風呂を使っているとのことで部屋で小一時間ごろごろして過ごす。
すぐ裏に杉林の小山があり、入り口の襖を開けておけば風が涼しい。

待望の風呂は大人三人が一度に使える広さで、シャワーの湯量も申し分なく湯船も広い。
今まで使った民宿の中ではダントツの評価に値する。
ゆっくり風呂につかったあとはビールで乾杯。いや〜今日はほんとにお疲れさま〜。(^-^)

じきに夕食の時間となったが昼に食べ過ぎたせいで食欲がない。
それぞれの料理に少しづつ箸をつけただけで満腹になってしまった。申し訳ない。
こちらの宿ではご主人自ら手打ち蕎麦の実演指導もされており、ちょうど泊り客の夫婦が講習を受けていた。
夕食にはご飯でなく蕎麦を出すのが慣わしだそうで最後にざる蕎麦をいただいてほんとに満腹です。(^^;;;

部屋に戻って布団に横になったらすぐに眠ってしまうのではないかと思っていたが この日はいつになく饒舌で、とりとめもない話題で日付が変わるまで盛り上がってしまった。(^-^)

二日目に続く