摂食訓練(入院編)
しゅうたは嚥下の力(食べ物や飲み物をごっくんする力)が弱いため、栄養チューブを鼻から胃へ通し、栄養剤(エンシュア)や粉ミルクを注入しています。でも全くできない訳ではないため、少しずつ訓練をして、将来的に必要な栄養は口から摂取できるよう、がんばっています。
訓練は言語聴覚士の先生が指導します。その指導にのっとって、家族でしゅうたのご飯のメニューを吟味しながら、進めていきます。
コルネリア・デ・ランゲ症候群の子供たちの多数は経管栄養を経験しています。しゅうたもその例外ではなくて、産まれたときから経管栄養です。保育器の中にいるときから、少しずつ、嚥下の訓練が始まりました。生後間もない頃は口からミルクを飲む子もいるのですが、しゅうたの場合はできませんでした。飲んだ量、口に入れる量を正確に見るため、確実に口へ入れるため、シリンジ(注射器の針のないもの)を使います。最初は粉ミルク0.02mlという微量から始まり、最初は1口、次の日は2口、少しずつ、地道に訓練をしていきました。訓練を始めて1ヶ月くらい経った頃、2mlを飲めたときにすごく驚いたことを覚えています。5mlを超えた頃、ミルクを乳首で与えてみたら、出てくる量をうまくコントロールできなくて顔が青くなってしまったとのこと。そんなこんなで地道な訓練を続けていき、20mlを平均して飲めるようになった7ヶ月頃から離乳食が始まりました。
離乳食は1日1回、おもゆ、だし、ジュースの3つを食べ(飲み)ました。ミルクや母乳の味以外のものを知るということが目的でした。
その数ヶ月後、10ヶ月を過ぎた頃から嚥下治療食へ移りました。今まで食べていたものに増粘剤を加えたものです。
嚥下食に変わって、訓練も1日2回になり、間におやつも入り、リハビリや作業も今までどおりおこなわなくてはならず、疲労により、しゅうた自身の嚥下力が落ちてしまうという事態が起こりました。また、むせるという反射も弱くなり、食べたものを食道へ送ることができなくなり、気管の入り口で詰まってしゅうたの顔がどんどん紫色から黒へ変わっていきました。慌てて吸引し、詰まったものを引くと同時にカテーテルで刺激してしゅうた自身の反射を促しました。そんなことを何回か経験し、一口量を減らしたり、しゅうたの口やのどの動きを注意深くみることで、限界を見極めていくことにしました。
そして退院が近くなった4月、ずいぶん食べられるようになってきました。口の動きも上手になり、ごっくんというのどの動きも以前と比べて格段にアップしています。
摂食訓練(自宅編)
食事の中に粒がないことが重要です。増粘剤を使ってのど越しをよくしています。この次のステップは、ミキサー食です。できるだけ粒を残さないもの、その後粘性を増していきながら粒を少しずつ増やしていく予定です。