2005年度発売 愛聴の20枚ランキング 


            去年を総括すべく2005年度リリースのうち特に気に入ってる20枚をランキ ング形式で書いていこうと思います。例の如く今日の
              気分と、i tunesの再生回数、そして、いかに記憶に残ったかを加味しています。今になって「新譜20枚も買ったかなぁ」と不安に
              なりましたが、きっと超えてるはず!
        







                                   1 位  岡村靖幸 「ビジネス」 

              
     今年の下半期。特に夏以降は、岡村ちゃん以外何を聴いても虚しく なって停止ボタンを押してしまう奇病を
                        発症しました。とにかく手に入る音源を全て手に入れて、それらを貪るように聴き尽くした後、あと五年は
                        新曲が聴けないと気付いた時のあの脱力感。当の本人が塀の中にいる今となっては、どうしようもないです が
                        薬物による逮捕が、自分にとって「岡村靖幸の音楽を聴いてみよう」と思わせる最初の動機だったのもある ので
                        そこは諦めるしかないですね。個人的には、バラードはあまり好きじゃなくて、オルタナティヴ・へヴィ・ ファンク!
                        とでも言えそうなチューンが大好物です。ちょうど通勤と同じくらいの収録時間なのも手伝って、毎朝仕事 へ向かう
                        テンションを無理やりあげる為に重宝しました。DVDを見て感じましたが、ライヴをそのまま切り 取ったかのような
                        アッパー感。詞曲編曲全て手がけた彼の一人の世界はやはりセルフリミックスによって一番生きま す!




                                                2位  コールドプレイ 「X&Y」


                        コールドプレイの3rdアルバム。かなり妥当なチョイスだとは思うのですが、今までの彼らの作品が聴き 込む
                        ほどに良さが滲み出る作風だったのに対し、新作は思わぬほど即効性の高いメロディばかりの曲が集まりま した。
                        初めて聴いた時、「こりゃ凄い分かりやすさだ・・・」と妙に関心したのを覚えています。それだけ彼らの 「癖」に自分が
                        慣れたのか、それともさらなるバンドの地位向上の為の作戦か。今までの中で最も名曲オンパレードな アルバム
                        ではありますが、「中毒性」としては、今一歩かな・・・。不遜なのは承知ですが前2作の突発的な 「うー!聴きたい!」
                        という強迫観念地味た衝動は沸かなかった・・・。自分が過去より刺激と対抗馬の多い音楽ライフをしてい るのかなぁ
                        と思い上がった気持ちもあるにはあるのですが、大々的なエレクトロニクスの導入は、軒並み多くのバンド が既にやって
                        いることでもあるし (といってもコールドプレイの場合はクラフトワーク的なテクノに寄り添った感じだ し、音の相性も
                        バッチリ!) かつての、あの背筋がゾワゾワするような不安な感情より、安心感や暖かみが残る。発売延 期を繰り返した
                        のも、バンドが周囲の期待に添えるようと納得行くまで頑張ったがゆえであろうし、彼らの真面目な性格を 表すようですが、
                        僕のようなへそ曲りは、純粋に良いアルバムがドロップされればされたで、もっと暗いか、ぶっ壊れた曲が 聴きたいと
                        思ってしまいます・・・。そういうタイプよりも、着実な良曲生産型のバンドっていうのも分かってるし、 だから好きでも
                        あるのですが、なにしろ好き過ぎて多少感想が混乱気味です。とにかく大好きな一枚だし、よく聴きまし た。おしまい。








                                               3位 システム・オブ・ア・ダウン 「MEZMERRIZE」



                               
                                           意外にもシステムについてあれこれ書くのが初めてということに気が 付きました。何しろボーカルのサージ・タンキアンが
                        好きで彼の別ユニット「セラート」も買ったし、最近だと元ガンズのバケット・ヘッドのアルバムに参加し てるとの事で、
                        そちらの購入も考えているところです。ただ、以前レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリストであ るトム・モレロと
                        主催した「アクシス・オブ・ジャスティス」(正義の枢軸)のコンサートCDは未だに未聴なのです が・・・。彼らをご存知でない
                        方にさらっと紹介だけ。システム・オブ・ア・ダウンはアメリカのアルメニア人コミニティから生まれたバ ンドで、サージの
                        変幻自在のボーカル、メタルを根底とした地響きのようなサウンドが魅力的です。そこにアルメニア音階が 加わって、
                        初めて聴く方は戸惑うかもしれませんが、他のバンドとは一線も二線も画すようなオリジナリティ溢れる面 白い音を鳴らして
                        いると思います。まぁ前作の大成功及び、このアルバムは全米ビルボードチャート1位を獲得したし、今さ ら説明するのも
                        不粋なのですが、、、新作は良い意味で今まで一番ポップなアルバム。このアルバムをきっかけにファン になった人も
                        多いでしょうね。+今までの彼らからは想像の付かない打ち込み音の導入により、ゴジラがメカゴジラに なったような
                        衝撃です。ただ前作までの獣のような荒々しさがなくなっていかにもメジャーなマスタリング、ギターリフ がよりメタリックに
                        なったせいもあってナタが柳刃になったような鋭利さとシャープ感。それがここまでの聴きやすさを引き出 したとも言えますが
                        それに加えてギターのダロンとのツインボーカルが主になってきているので、賛否が分かれるところかなぁ と思います。
                        僕が初めてこのバンドを知ったのはMTVのオズフェスト(元ブラック・サバス、オジー・オズボーン主 催)でしたが、当時は
                        ラップ・メタル隆盛期だったせいもあり、ほとんどのバンドが忘れ去られていく中、やっぱりいいバンドは ブーム云々じゃなく
                        生き残るなぁと感じた類稀なるバンドです。双子的なアルバム「HYPNOTIZE」も今年のリリースで すが、両方含めて1つ
                        と見なしました。作品的にはこちらの「MEZMERIZE」のほうが良い出来かと思います。トータルで は「毒性」が一番かな。







                                          4位 ゆらゆら帝国 「SWEET SPOT」
         

                        やっぱり今年春の野音でのフリーライヴが忘れられません。まさに異空間。思い出は美化されるというけ ど、あのドロドロ
                        なのに、やたらカラフルな光景は未だに目に焼き付いています。「新作は大人しすぎる」なんて意見もあり ますけど、耳を
                        劈くファズ・ギター全開のガレージサイケ・ロックンロールや、時にジャズまでも飲み込んだ曲、バースト したシチリキの
                        ような音が奏でる単一リフ 多用のストーナー的な曲、彼らの幅広さ、キャリア、表現への貪欲な姿勢や、音楽への飽くなき
                        追及心をたっぷり楽しめ ました。レーベル移籍第一弾のアルバムですが、なんだか少し垢抜けたというか、地下から顔を
                        出してこっちをチラ見してる ような、今まであったアングラ臭を、あまり感じなくなったのは気のせいでしょうか。ライヴを見た
                        ことで親近感が沸いて るのかもしれません。相変わらずカルトなグループサウンズのようなアクの強さと毒素を残しつつも、
                        面白い音色、シュールかつ悪夢のようなのに心に響く歌詞。決してポップに走るでもなく、アヴァンに傾倒 するでもなく
                        独特のスタンスを今回も取っていますが、今までの作品より聴きやすく感じます。また彼らの作品には外れ がないし、ときに
                        理解に苦 しむ瞬間もあれどそれは聴き手である自分が作り手のセンスに追いついていないだけなのかもしれないとも思える。
                        ゆらゆら帝国 の進化 に少しでも、併走できるように様々な音楽を聴く。「進化」ってものの定義や説明も僕は全然出来ないし、
                        音 楽だけ聴き まくっていれば「成長」出来るなら、それほど楽な事もないとは思うのですが、
結果的に彼らの音楽を最大限に
                        楽しむ唯一の方法に他ならないとも思います。
はっきり断言してしまうと、ここまで信頼をおける現存する国内バンドは、彼ら
                        以外僕は知らないんですよね・・・。自分の話で恐縮ですが、海外のアーティストに比べると、国内のアー ティストで好きなものを
                        探すのは本当 に難儀・・・。そ れは、歌詞や世界観がダイレクトに「共有言語」がゆえ伝わってきてしまうからでもあるし
                        (だからこそ深く感動できる というのもありますが)純粋に音だけの評価というのは下せなくなる。そんな中で、自分にとって
                        「ゆらゆら 帝国」は本当に貴重な 存在です。是非とも全軌跡を追うために靖幸ちゃんみたいに全音源まとめたボックスでて
                        くれると嬉しいんだけどなぁ。村八 分は諸事情でキャンセルしましたが、こちらの場合なら買います(苦笑) まぁ、アルバム
                        全部買えよって 話ですが・・・。興味のある方は、バンド名で食わず嫌いせずに、まずはレンタルから始めてみて下さい!!





                                                  5位  ジャック・ジョンソン 「In Between Dreams」


                           以前から「Flakes」等、有名な曲は知ってはいたのですが、アルバムにまで手を伸ばそうとは 真剣に考えては
                           いなかったのが正直なところです。でも、彼が敬愛するGラヴ&スペシャル・ソースに提供した 「Rodeo Clown」を
                           聴いて、心底惚れ込んだところに、丁度このアルバムのリリース。加えて、「Sitting, Waiting,Wishing」のメロウな
                           グルーヴにやられてしまいました。初夏の辺りから音楽チャンネルではプロモたくさんかかってまし たね。
                           再生と逆再生を繰り返す不可思議な作りが面白い秀作ビデオです。アルバムを聴いてみると、当初 持っていた
                           「ハワイアンやレゲエなどの色の濃い陽気なサーフ・アコースティックだろう」なんて勝手な先入観 は完全に
                           覆りました。もちろん彼の出生がオアフ島であることや、プロのサーファーだった過去、ビーチでア コギを爪弾いた
                           ようなシンプルな音は、総じて「サーフ・ミュージック」と称されるであろう作風ではあるのです が、時にヒップホップや
                           ブルース的アプローチ、内省的なフォーク、そして、もちろんロックやポップスまでも彼の感性とい う大きな波で
                           飲み込んだような、そんな印象を受けます。メロディーもキャッチーというよりも、むしろ「美し い」と形容したくなる
                           ほどで、彼の少し鼻にかかった声と、感情を直球で投げないソフトな歌い方、アナログ感のある演奏 と相まって、
                           一層その美しさが際立ちます。例え、どんな汚い部屋にいようと、混雑した電車にいようと、海のな い場所に住もうと、
                           このCDの再生ボタンを押せば目の前に海が広がるようで、それは時に朝焼けの水平線、時に夕焼け の水面 の
                           ようでもあり、もちろん逆光の眩しい賑やかなビーチのようでもあります。陽気だけじゃなく柔らか く重荷にならない
                           程度の 辛気が感じられる部分にも惹かれました。だからこそ安易なムード・ミュージックにありがちな「退屈さ」なんて
                           微塵 も感じなかったのかも。確かインタビューによるとニック・ドレイクも好んで聴いてるってコメントがあったかな。
                           「そう言 われれば・・・」っていうのは少しありますね(笑) 元々、サーフィンで大怪我をした際に母親からギターを
                           贈られたのが、 音楽製作のきっかけになったとの事ですが、映画学校を卒業している事もあり、自分でフィルムを
                           制作したりサ ウンドトラックも手がけています。他の誰よりも海とじゃれ合って生きてきた経験と、培われてきた
                           感性が、音楽をまるで「波の音」 のようにナチュラルに聴かせてくれる、このマジックとも思えるCDを生み出した
                           のでしょうね。外資系猛プッシュ&大ヒットも納 得ですし、海岸をドライヴする際なんかは是が非でも必携したい一枚。
                                            





                                                            6位 ベイビーシャンブルズ 「Down In Albion」
 

                             待ちに待ち焦がれたex.THE LIBERTINESのピートのバンド「BABYSHAMBLES」の1stアルバム。
                             一曲目から1stの「Vertigo」を思い起こさせる「
La Belle Et La Bete」が始まるわけですが、ここで
                             一緒に歌っているのは、もちろんカールではなく、元恋人のケイト・モス。幸薄そうな歌声が曲 調と
                             相まってやるせなさが漂います。それにしても全編に目立つのはピートの声のヘロヘロ化。以 前から
                             舌足らずと持ち前の投げやり歌唱法のせいかはっきりした発音ではなかったですが、今作は呂律 回って
                             ない酩酊ボーカル曲多し。不祥事の情報が耳に入ってくるだけあって、変 な先入観で聴いてしまうの
                             ですが、相変わらずの薬物中毒のようで、その影響も少なからずあるんでしょう ね。本当の意味での
                             アシッド・フォークやっちゃうのもどうかと思う・・・。「どう考えても長生きできそうにない 男」なんて一部
                             雑誌では書かれてますが、今の彼を見ると、「ロックンロールは生き様」という「自暴自棄を飾 り立てた
                             精神論」を地でいってるなぁと感じてしまうのも事実です。自分も含めて、少なからずそういっ た
                             退廃的で、危なっかしいイメージをロック・ミュージックに持ってる人も多いと思うし、タブロ イドや音額
                             雑誌など薬物スキャンダルを好んで報じる媒体を通じて、そのイメージこそがシーンを盛り上げ てきた
                             ビジネス要素もあるとは思いますが、
THE LIBERTINESの音楽が純粋に好きだった自分にとっては、
                             はっきり言って好ましくない変化です。ハッとするほど斬新な演奏もあるし、お得意のマイナー コード・パンク
                             もある。クラッシュからの影響を強く感じる曲、ベースはパンクなのにメロディが凝ってたりと か、相変わらず
                             音楽の懐の深さと存在感は無二なのですが、はっきり言って「Fuck Forever」をベタ褒めできるほどの名曲だ
                             とは感じない・・・。受け取り方は様々かと思いますが、
自分はカールそっちのけでピートの才能だけに
                             惚れ込んでいたはずなのに、いざ望みどおり、ピートのワンマン・バンドのアルバムを聴いた途 端感じてしまう
                             この物足りなさと、痛々しさは何なんだろう・・・と、はっきりいって失望してしまいました。 シングルや
                             ちょこちょこ出していた音源も採集し、聞き漁っていましたが 今作でようやくその全貌が見えてきて「一人で
                             やるとこうなるのか・・・」と、大きな衝撃ではあったんですけど・・・。 実際、舵取りのいない船のように
                             迷走を続ける彼ですが、その満ち足りてない心の隙間を埋めるのが
THE LIBERTINESだとしたら、
                             カールの元に戻るほど効く薬はないんじゃないかと、おせっかいにも思うし、変な例えだ けど、彼にはまだ
                             一人でやるよりも「信頼できる相方」が必要なんじゃないかってこのアルバムの「痛々し さ」からは思えて
                             仕方ないですね・・・。バンド再結成は絶望的なのかもしれないけど、
THE LIBERTINESの3rdのために
                             書かれたという曲が、このアルバムに収録されているという話からも、即席なべビシャンよりリ バの演奏の
                             方が、ひょっとしたら1曲1曲 の輝きがもっと増すんじゃないかと思います。
最後に追記として日本編集盤
                             「Fuck Forever」と、併せて買うとほぼ完璧。このアルバムにはバンド名の由来でもある「Babyshambles」が
                             収録されてい ないので注意です。現在ピートはりバビリ中の模様。クリーンになってスタイリッシュなのに
                             まるで少年のようなあの面影と眼差しに戻ってください!天国に近い男が鳴らしたまるで廃墟の よう な
                             退廃感です・・・。







                                                 7位  あふりらんぽ 「Urusai In JAPAN」


                          このキッカケ多いなぁ・・・と思いつつ、もはや定例と化してますが、音楽チャンネルで初めて 彼女達の
                          プロモを見たとき、子供の頃見た「ハウス」っていう映画(大林宣彦監督作)と同じような ショックを受けました。
                          自分にとってその作品は長期間トラウマだったのですが(苦笑)、言いようのない不快感とホ ラーというよりも
                          グロ趣味。サイケデリックとかアシッド感なんていうと言い得てるかなとは思うのですが、とに かく何も知らずに
                          見ると脳裏にこびり付くような映画です・・・。一方こちらは二人の女の子がドラムとギター で、演奏
                          しながら、はしゃぐ姿は可愛くもあるし見入ってしまうのだけど、そこには触れるとヤバそうな 毒気がプンプン
                          漂っ てる。何か真性で病的な「危険さ」を感じたから「ハウス」がフラッシュバックしたのかなと思います。
                          まぁ、と りあえず見終わって疑問符に苛まれながらも、バンド名は覚えたので色々ウェブで調べると
                          ソニックユースお気に入 りのバンドだということ、関西人二人組で成人になるかならないかの若い女の子だ
                          ということ、ライヴでも その演奏の凄さと強烈なパフォーマンスが噂になっているということ、等々・・・。
                          興味深い情報が色々分かって、かつ日本のバンドで面白さを 感じてしまうと、「身近で好きな音楽が鳴ってる!」と
                          嬉しくなってしまう癖も手伝って、早速買いに行きまし た。ただ、ケチってDVDなし2500円の方をチョイスし
                          てしまったのが未だに悔れますけどね・・・。初 めて見た当時も十分センセーショナルでしたが、なんか去年の
                          フジロックフェスティバルにも出演するわ、最近じゃ海外を 回るわでびっくりしました。日本のアーティストを
                          ピックアップして自分のレーベル「Tradik」から世界へCDをリリースし ているジョン・ゾーンという日本オタクな
                          人がいるのですが(灰野敬二、フリクション、最近だとチャイナもリリースされて ます。総じてノイズ・アヴァンギャルド
                          色が強いレーベル。) 彼が「あふりらんぽ」の才能を見初め、今作とは別の新 録作品「KORE GA MAYAKU DA」で、
                          海外デビューさせたのも大きいのでしょう。まさに目を見張る活躍。詳しいセールス枚数とかは 把 握してない
                          ですが、フェイバリットに挙げるミュージシャンの多さからすると(ヴィンセント・ギャロ、ア ンダーワールド等)、
                          むしろ日本より評価されてるんじゃないかな。国際的な人気と言っても過言じゃないと思いま す。それにして も
                          ここまで若いバンドで、しかもメジャーデビューしたばっかりだっていうのに、すごいモチベー ション・・・。
                          と、前置きが長くなりましたが、肝心の中身です。曲目リストを見ていただくと分かるのですが 言葉の選び 方というか、
                          題名の付け方のセンスが尋常じゃないですよね。曲もセッションの延長なんだか、既 成概念に捕われてない
                          っていうか、何しろ面白い。一発録りしたようなエッヂと熱気があるにしては、二人の掛け合い も見事に息が
                          バッチリだし、このハチャメチャのやりたい放題ぶりも、ほんと末恐ろしいです(苦笑) 曲に よっては祭囃子の
                          ようだったりするのですが、GoGo!7188や椎名林檎(東京事変)のように意図的に和を 演出しようとしてるものとは
                          根本的に違うし、基本にあるのはオルタナティヴ・ロックやハードコア。ロカビリーやサーフ・ ロックのようなリフが
                          出てくるのもニヤっとしてしまいます。リズム感覚はロック的というより民族楽器の佇まいさえ 感じさせるかな。
                          そして全編に浮ぶのは無邪気に楽器と戯れてるようなのに狂気を感じさせる「おてんば」な女の 子の姿。その
                          フォーマット、おおよそオーヴァー・ダヴィングやサポート演奏もなしであろうたった二人の世 界。
話によると
                          彼女達はインディーズ時代、大阪城の近くで路上セッションをしてて、女子高生とは思えない演 奏で名を
                          馳せていた模様。ベースなしのドラムとギターだけで、ここまでの高揚感を感じさせてくれる 「キレた演奏」は、
                          個人的にホワイト・ストライプスを思い出しました。
彼女達の「言語感覚」、「ドストレートなぶっとんだ感性」、
                          「ノイズ・ジャンキー」なサウンドについていける人ならば、新しい「ロック」を感じさせてく れる事うけあいです。
                          特に少年ナイフ、ソニックユース、ビキニキル好きな人に、おすすめ。キワモノ扱いせず、狂気 地味た可愛さをぜひ。








                                                  8位 ルーファス・ウェインライト 「Want Two」


                         いくら音響技術やアレンジが緻密でも、いざ歌い出したら「あらら・・・」といった感じのアー ティストが多い中
                         その壮大なオケにも負けずに、見事で魅力的 な歌唱力を振るわせたらここまで様になる人もいないんじゃないか
                         って思います。それは最高音質のヘッドフォンに買い換えたくなるほど。映画出演も果たしたルー ファス・ウェインライト
                         の4枚目のフル・アルバムです。前作あたりから、全体像がより幻想的な彼の好むクラシック寄り な 作風にシフトして
                         いったわけですが、今作では「ポーゼス」でも見せたワールド・ミュージックを思わせるアプ ローチ等、以前までの
                         彼のポップ・センスと融合して最高に好みな作品に仕上がりました。緩やかで伸びやかに女性 コーラスと
                         溶け込む(妹のマーサかな?) ナルシストとも取れる耽美な世界。前作(もちろん素晴らし かった!)から
                         一年間と短いインターバルながら、トータルで見て彼の最高傑作だと思ってます。クラシックは 苦手なんて
                         恥かしくて言いたくもないのですが(言えるかどうか分からないくらい聴いてない、、、) あ の敷居の高さがなく、
                         かつ好みに合うのも、彼の育ったオルタナ以降の時代性(受け売り)と、彼の目指すものはあく までポップ・ソング
                         であること、そして部屋を真っ暗にしてヘッドフォンで「レクイエム」を聴いてたというエピ ソードに象徴される
                         青年期の影が感じられるからかと思います。優雅で、かつ煌びやか、決して声は高くないのに中 性的で、
                         アートワーク通りの中世趣味も手伝って(韻を踏んでるわけじゃなく苦笑) 聴いてるだけで宮殿 に音楽隊を招いた
                         王 様にでもなれたかのような至福感の溢れる曲群。そして時に悲しげに愛を歌うナンバー。
曲配分のバランスや
                         抑制の利かせ方も見事だし、無理やりコンセプトを演出するような安易さがない。
通常、4作目というと、たいていの
                         アーティストにとって行き詰まりや過渡期になると思いますが、未だにその才能には底が見えませ ん・・・。賛辞は
                         多種多様に浮ぶものの「天才」だなんて割り切れるほど、まだ彼の未曾有のセンスを自分が理解出 来てるとも
                         到底思えないですし。それにしても、彼の 作品は通してピアノ基調の曲が多いのですが、リリースされた全アルバムを
                         聞いた印象としては急激というよ り、自然の摂理のようにゆっくりとした変化なので、ライヴで過去の曲と織り交ぜた
                         セット・リストにして も、過去・現在、双方が引き立つ理想的な形になるんじゃないかなぁ・・・。あえて言葉数多く
                         複雑に重ねるメロ ディの癖は相変わらずなのですが、突如プツっと曲を終わらせたり、ベースラインの効いた
                         ダンサブルな ビートにストリングス隊を乗せた曲で最後を締めたりと、この人はまだまだ面白いアイディアも隠し
                         持ってそうなので、引 き続き、その音楽性からは目が離せそうにないです(苦笑) ただ、この2作が連続して
                         幻想的な演劇のよう なアルバムだったので、次回作は地に足のついた等身大の作品も聴いてみたいかな。
                         今は現実逃避したい気分なんで しょうかね・・・。それにしても、本当に日本に来てくれる事を心から願います。
                         こっちは2年も待ってるんです! カナダからはるばる来て下さい!あ、あとタワーで買ったライヴDVDつき輸入盤
                         ですが、リージョン違う ので見えないとか表示されてかなり憤慨しました・・・。こりゃ両方対応の安いプレイヤー
                         買ってくるしかない なぁ・・・。 あ、ちなみに妹のマーサ・ウェインライトも晴れて今年ソロデビュー。お好きな方は
                         併せてどう ぞ。さすがは音楽一家。

                                                






                                                9位 クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジ 「
Lullabies to Paralyze


                         クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジのメジャー3枚目のアルバム。通算だと4枚目になるかと思 います。前作
                         「ア・ソング・フォー・デフ」のヒットや、ベース兼ボーカルのニック・オリヴェリの脱退、また中心人物のジョシュ・オムも
                         ランシドのラーズ・フレデリックニールセン から、ザ・ディスティラーズのボーカルでもあるブロディを横取り婚等、
                         ニュースが絶えず騒がしかったところに、本作のリリース。前作の、シンガーが3人いるという変わった形態の 中でも、
                         ニック・オリヴェリがボーカルを取る曲はハードコア色が強くて、そこがまたクールだけに留まら ず、熱く野性的な
                         イメージをバンドに残していたのですが、かつての冷静と情熱のコントラストを味わえなくなるのかと 残念に思ってました。
                         あの荒れ狂うベースも好きだったし・・・。元々メンバーが流動的なことでも有名なバンドですが、ジョシュとニックは
                        前バンド「カイア ス」の頃からの同志であるし結成当時の年齢を考えれば、気心が知れた盟友とも言えそうな間柄。
                        二人を主軸にQ.O.T.S.Aは構成されていたし、ほぼ支柱を失った状態での新作と言っても過言じゃないかも しれません。
                                                      しっかし、ニックは「バンドをクビにされた」と声明を出して、バンド側からの正式発表の「脱退」 とは
食い違ってる辺り、
                                                      円満な別離ってわけではなさそうだし、当初2004年の初頭リリース予定だったアルバムが
大幅に遅れたのもそれが
                                                      原因だったのかな。今となっては03年の来日公演が見れなかったのが本当に悔まれます。。。
と、バンドを取り巻く
                                                      トラブルばかりの話になりましたが、大事なのはその中身。収録曲のうち数曲は2年前のツアー中
書かれている事も
                                                      あってか、 相変わらずキレのいいギター・カッティングと繰り返されるリフがグルーヴ感を出してます。
ただ、前作と
                                                      比較してしま うのは仕 方のないことだとは思いますが、あのブンブン唸るベースと、重みがあって胃の腑に
来るような
                                                      ドラムが前面に 出 ていないので「No One Knows」や「Feel Good Hit Of The Summer」に代表される、スカっと
するほど
                                                      抜けのいい「音の せめぎ合い」とスリリングはやや抑え目。でも同じようなレコード を出すという事に意味はないと考える

                        アーティストが多い反面、 「気に入らない変化」を感じさせてしまうと従来の ファン、リスナーが離れてしまうという現状の
                        中で「I Never Came」のようなアコギ一本で聴かせられたら美しいであろう曲までも飛び出してきたのには驚きました。
                        また対照的に毒気とフィー ド バック・ノイズがまるで悪夢のサウンド・トラックのような曲も今までは聴けなかった新機軸。
                         終始ダークに寄りつつも 音楽性 は確実に広くなってます。ニックの手前もあって出来なかった?ワルツのリズムの採用や、
                        コーラス部分のファル セットからは、もはや品格さえ漂うほどですね。意外にジョシュは生真面目なのか育ちがいい のか、
                        カテゴライズされるのを 嫌うだけあって、ジャンルを飛び越えた音楽の探求を伸び伸びと思う存分してるなぁと 思います。
                        派手でビデオが大量に流 れ、ヒットが狙えるようなキラー・チューンこそありませんが(それでもバッチリ売れてる&賞に
                        ノミネートされてるとこ ろが凄い。)手抜かりのない17曲の大ヴォリューム。やや詰め込みすぎの感は否めないけれ ど、
                        収録曲のバランスの良さ は言うまでもなくガービッジのシャーリーや、ZZトップなんて大御所までゲスト参加してるので、
                         これ一枚あればかなりお 腹一杯です。ただ、あくまで個人的な希望ですが、マーク・ラネガンもジョシュ・オムも単独で
                         ボーカルを取る のでなく、ツインでやってみたらカッコいいのになぁ声の相性も良さそうなのに・・・と思う瞬間がしばしば
                         ありますねぇ。実現させ てくれるかどうかは分かりませんが、それはとりあえず次回作でのお楽しみとしておきましょう。
                         ちなみに1月18日にラ イヴCD&DVDパックが発売されます。あとアマゾンでは永らく入手困難だったインディーズ時代の
                         1stの在庫が入ったよ うです。お好きな方はチェックしてください。僕は両方買おうと思ってます(笑) デイヴ・グロールが
                         ドラムを叩く姿も、もち ろん見れますよ!!
                          
          





                                                                                                              10位  ジェフ・ハンソン 「Jeff Hanson」


                        エリオット・スミス逝去のショックが今だ癒えぬ中、同じく「Kill RockStar」によって見出されたアーティストでもある
                        「ジェフ・ハンソン」の本作を偶然耳にする機会がありました。例えば失恋にしても、飼っていたペッ トの死だとしても
                        その「代用」を求める事自体が、悲しみをより深めてしまう結果になるのは良くある事なんですが、店 頭の大きいポップに
                        「エリオット・スミスの再来!!」なんて字が躍ってるのを見ると、商品を売るのに必死なのは分かる けど、今だ引き
                        ずってる方の身にもなれよ、無神経だなと思いつつ、次の瞬間には「どれどれ」と、手にとってしまっ たのが本当のところです。
                        もちろんジェフ・ハンソン自身にはこの逆撫でされた感情に対しての責任は全くないし、店側も「この 層に受ける!」と
                        睨んでのイメージ戦略なんでしょうから、罪はないのは同じ事なんですが、これだけ煽っておいて、い ざ聴いてみて
                        エリオット・スミスに通じる「何か」を感じなかったら、それこそ鼻で笑ってやろうなんて根暗な心持 でいました。
                        響くアコギに、丁寧にコードを奏でるピアノ、確かに伴奏や音色のセレクトはエリオット・スミスを思 わせましたが
                        それは言わば「フォークのスタンダード」とも言える手法でもある。そして、周りの騒音に掻き消され てしまいそうな繊細な
                        ボーカルに耳をそばだてて見ると、まるでエリオット・スミスの声を早回し再生したような高音ヴォイ ス。不意にも最初は、
                        「にんまり」してしまった。でも、耳がその中に溶け込めた時、両性具有とも言えそうな(女性と思う 人もいるはず)最近で
                        言うとMEWを思わせる声、そして緩いエフェクトをかけてるようにも思えるほど、丁寧なビブラー ト。それに地声自体が
                        まさにファルセットとも言える魅力的な声だと気が付きました。あくまでもメロディをなぞるのは霞ん で消えそう な声なのに
                        アコースティックの楽器群の上を泳いで、まるで切り子ガラスの模様のような際立った存在感がありま す。歌の表現力だけで
                        言うとむしろエリオット・スミスより長けてるんじゃないかな。ただエリオットの引っ込み思案な声が 好きだった自 分とっては
                        当然「巧さ」だけに惹かれたわけではないし、これは両者を比較する必要もなく「別物」と捕らえた方 がいいかと思 います。
                        実際エリオットは「中期ビートルズ好き!」っていうのを公言してるのもあってその音にも現れていま したが、 こちらは音の
                        実験性タイプよりも、メロディ探求派のSSWかと思います。彼は元々エモバンドのフロントマンをし てて、 この作品はソロ
                        転向後二枚目。そう言われればサニーデイ・リアル・エステイトが醸し出してる雰囲気に通じるものを 感じるって今さ ら
                        いうのは調子良過ぎですかね(苦笑) あとはJJ72、ニック・ドレイクあたりが浮びます。そし て、もちろんエ リオットも。
                        でも、これは「代用」なんかじゃなく列記とした新しい才能です。日本での単独公演が行えるほどの人 気はまだのよ うですが、
                        それも時間の問題だと思うし、日本人が好きなメロディ満載の良質なアルバムだと思います。霜の張っ た花のような
                        か弱さも感じますが、そこに秘めたる生命力。買ったのは昨年の春ですが、今の季節にもピッタリで す。


                                  




                                                                                             11位以下
  




                      
           11位  ナイン・インチ・ネイルズ                
      12位 フッド             13位  プレフューズ73      14位  サウンド・プロヴァイダーズ    15位  サートゥンリー・サー
                    「With  Teeth」                 「Outsider Closer」                  「Surrounded By Silence」         「Looking Backwords 1998-2001」        「TAN!」





                             

         16位
 ケイジドベイビー      
17位  オーディオ・ブリーズ            18位 ハル               19位 ハード・ファイ        20位 グレーヴェンハースト
          「Will See You Now」            「Generation」                「HAL」               「Stars Of CCTV」       「Fires in Distant Buildings」





         20位までレビュー書くのは容易でないので、とりあえず10位ま で書きました。10組中3組が邦楽である事からも、だいぶ日本の音楽シーンに
        興味が向いてた一年だったなぁと
思います。それにし ても順位が下がるにつれ、長文になっていってますね。力入っちゃったみたいで、ご愛嬌って
        ことでお願いします(笑) やはり新譜を多く買うほうではないですが、限られた中でもいい出会いがたくさんありました。でも、 Espersの新譜や、

        Devendra Banhartも買ってないし、欲しいCDは尽きないですよね。未だに電子音への熱が冷めず、また後半は岡村靖幸ばっかり聴いてた印象が
        残る2005年でしたが、総じて良い年でした。病気もしなかったし、こうして年間レビューなんて偉そうなものも書けているので(笑) み なさんはどんな
        CDが気に入りましたか。どこの国の音楽かも、どんなジャンルなんかも問わず、好きそうなの知ってたら、ぜひとも教えてください!