《湯気》

炉でも風炉でも、
「後炭」って字のごとく後から炭をつぎ足すお手前があるんだけど、
共通してるのは、釜のなかのお湯が少なくなってるんで、炭だけじゃなく、水も注いでおくんだよね。

その時、濡らした茶巾で熱い釜を拭く(清める)んだけど、
特に炉の時期(11月〜2月)だと、湯気がパ〜ッと上がってと〜ってもいいカンジ。
もしかして、お茶の中で私が一番好きな瞬間かも。
見てると気持まできれいになるね〜。

ところが、
この茶巾に含ませる水の量がモンダイなんだワ。
濡らしすぎるとボタボタ畳が濡れちゃうし、
少ないとかんじんの湯気がち〜っともあがらないときたもんだ。

寒くて乾燥しがちな冬の時期には、
大きい釜でたっぷりお湯をわかして、湯気をいっぱいあげると、加湿器になっちゃう。
寒い時は鍋がおいしいけど、あれも湯気がいい雰囲気だしてるんだよね〜。

湯気の出てない湯豆腐なんて、
ク○ープを入れないコーヒーみたい……、
あ、古すぎてゴメン。
湯気を見ると、気持がな〜んかホッコリしない? 

炭も風炉の時期より大きいし、火の位置がお客様に近くなって、
風邪の季節に加湿器のかわりにもなるし、
ほんとにお茶ってうまくできてるでしょ〜。


 

 《60才から》

松永耳庵って聞いたことない? 
戦後の電力界で、活躍した経済人なんだけど、
60才からお茶をはじめたんだって。

三井コンツェルンをきずいた益田鈍翁にお茶の世界に引っぱりこまれたらしいんだ。
横浜の三渓園をつくった原三渓とならんで、近代の3大茶人っていわれてるんだって。

 3月の国立博物館の展覧会にいって来たんだ。
よかったよ〜♪
いろんな話が書かれてたけど、高価な道具ばっかり集めてた訳じゃなくって、
誰かにもらったおみやげが入ってた入れ物を茶碗に見立てて、
とっても気に入って、大事にそれでお茶を飲んでたんだって。
お金持ちじゃなくちゃお茶はできないなんて思ってる人には、エエ話や〜♪

後期は、小さな家に奥様と暮らしてて、
東急の五島慶太氏が
ほんとにアレが“あの松永耳庵”の家かって聞いたっていう話があったらしい。

この表紙になってるのは仁清の吉野山っていう茶壷の絵なんだけど、と〜ってもきれいだったよ〜。
わびたモノが多い中で、ひときわ。

お茶を生きた人だったんだなぁ〜と思いました。

ちなみに、長崎県は、壱岐の人だそうな。


 

 《名物裂》

お茶で使う布にいろんなのがあって、
その中で名物裂(めいぶつぎれ)っていわれるのがいっぱいあるんだ。

ず〜っと昔から伝えられてるもので、
いつか、あの「龍村織物」の社長の講演があったんだけど、
もう中国では残ってないものもいっぱいあるんだって。
日本には茶道なんかがあったので、今まで伝えることが出来たんだって。

正倉院にあるものを写してるものや、有名茶人の好んだものなど
いろいろあって面白いよ。
織物の好きな人なんかたまんないだろうな〜。

童謡に♪き〜んらん、ど〜んすのお〜びしめな〜がら〜♪っていうのあったでしょ?
あの“どんす”の一部です。糸の色とか変えるといろんなのが出来るんだって。

 古田織部の好み /織部緞子

 小堀遠州の好み/遠州緞子

 千 利休の好み/利休緞子


 

 《聴雪》

雪が降るのに、マサカ音なんかしないでしょーって思うよね〜。
でも、日本人の想像力ってすごい! 

いつか、歌舞伎教室ってのに行ったんだけど、
その時の特集が「歌舞伎の音」ってのだったんだ。
舞踊の時はもちろんだけど、いろんな楽器を使った音響効果あるんだね。
その中にあったんだ“雪が降る音”っての。

太鼓を撥でたたくんだけど、その撥を綿が入った布でくるんであるの。
だから、音もドン!じゃなくって、ドーーンって、どこか遠いところで鳴ってるみたいなかんじ。
とっても不思議な音だった。
で、あとは登場する役者が、
いかにも雪道を歩いてるよ〜な歩き方で、雪が降ってる状況を想像させるんだね。
ほんとにすごいな〜って思ったよ。

前にどこかにカキコしたかもしれないけど、
日本の「能」を見た有名な建築家のブルーノ・タウトが
“日本の芸能は、日本人のスバラシイ想像力でなりたってる”って絶賛してたけど、たしかにそーかも。
“さしがね”で蝶を飛ばしてる黒子なんて“いるんだけどいない”んだもんね。

能の時は、
舞台の後ろに控えてる“後見”ってのが歌舞伎の黒子みたいなもんだけど、
顔まで隠してる黒子と違って、紋付着てるもんね〜。
あれも“いるんだけど、いない”んだよね。
後見は、万が一、演者がコケた時は、すかさずその演者にかわって演ずるんだって。
だからそれ相応の技量のある人じゃないとできないってわけだ。
いわゆる“後見人”なんてのにはなかなかなるもんじゃないんだよね〜。
あ、いかん、話題がそれちゃったよ。

おすすめのサイトに、「折々の銘」ってコーナーがあるんだけど、
ここんとこの銘は「聴雪」っての。いかにも冬の夜、“夜話の茶事”にふさわしい銘だよね〜。
シーンとした中で、降ってる雪、もしかしたら、これから雪が降りそうな気配を感じるね。
で、その先には“来る春”があるわけだ。

そーいえば、昔、♪雪の降る町を〜♪っていい歌があったな〜、
あ、いかんいかん、また話題がそれちゃった〜。

 


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