〈位置〉

稽古の時に、位置が1番大切だっていわれるんだけど
ほんとにそうなんだ。
座る位置が悪いと、道具まで手が届かなかったりする。
そのたんびにモソモソ動くのは美しくない。
歩く位置が悪いと、人とぶつかってしまう。
炭を置く位置が悪いと火が消えちゃう。
活ける位置が悪いと、花がたおれちゃう。

“流しだて”っていうお手前があるんだけど、
標準の位置よりもっとお客さまに近寄って、
顔を見あわせながらお茶をたてるっていうやりかたなんだ。
だから、道具の位置も標準とちがうんだけど、
その最後の方で、片付ける時、
亭主が立ち上がって水屋に下がると、
畳のちょうどまん中にひとつだけ茶碗が残るように片付けるんだ。
かっこいいよ〜♪

畳ってとってもいい飾り床になるんだよ。
でも、その位置が片寄ってると美しくない。
きちんとまん中に茶碗を置く。これが大事なんだね。
動かなくてもいいように、1度でピタッと座る、
これってむずかしいよ〜。

世の中位置って大事だよね。
ジャマにならない所に居る、
その場を見て、出過ぎず、引っ込み過ぎずのところにいるっての、けっこうむずかしいね。
そういうのがお茶なんですって先生のコトバ。

そーいえば、
会社での位置、家庭内での位置、電車を待つ位置。
いろいろありまんナ、大切な位置が。


 

 〈畳〉

昨今の住宅事情じゃ〜、なかなか畳の部屋ってのはないけど、
やっぱりいいモンでしょ〜♪ 

特に、夏のお昼寝のときなんか、サイコーじゃ〜ありませんか〜♪
靴を脱いで、靴下も脱いで、ハダシで畳を歩く感触ってのは、やっぱり“日本人だな〜♪”って一瞬かも。
冬は冬で冷たくないし。フローリングの床なんか、とてもじゃないけどハダシはアウト!血圧が一瞬にして上がりそ〜ですよね。

床のよ〜で床じゃない、机のよ〜で机じゃない。ベッドのよ〜でベッドじゃない。
考えて見ると、不思議なモノかも。
でも、床になったり机になったり、ベッドになったりするからね〜。
使いよ〜で変幻自在。ほんとに便利なものですよね〜。

その畳、お茶じゃかかせない道具なんですよね。
歩く歩数は流派によっていろいろなんですけど、私が稽古してる流儀は『1畳を4歩で歩く』ってのが基本。
これって、和服を着て歩くとあ〜ら不思議、ぴったりなんですワ。

歩く時は『畳の真ん中を歩く』ってのも基本。
“基本”ってことは、そーじゃない時があるからね。

“花月”ってゲームじゃ、やってる最中に座る位置が次々と変わるんだ。
で、最後に初めの位置に戻るんだけど、
全員同時に立って、行く方向によって後ろに2歩下がる人と3歩下がる人がいるんですワ。
この1歩の違いで、上座と下座に向かって、すれ違うんですよ〜。

うまく行った時は“ワァ〜、宝塚みたい〜♪”って感激です〜
。だって忘れちゃうんだモン、自分のいたところ。

座る位置も、畳の“へり”から16目って決まってるんです。
だから、横から見ると、みんなのひざ頭が一直線になってるんですよ。きれいなんだな〜、これが♪ 
棚を置く位置も、風炉を置く位置も、畳の目数でセットするんですよね。
だから、畳の目が物差代わりになってるってかんじ。

お茶で一番大事な“位置”を決定するのに、畳の目はだいじな物差になってるんです。

員茶(かずちゃ)って花月で使う札を順番に置いてくと、
こんなかんじに。
ただ並べるんじゃなく、“わかりやすく、しかもきれいに”って。

札の大きさも、畳の目、2つ分になってるんですな〜。
この時は8畳なんで、最初の札を置く位置はへりから2つ目だけど、
4畳半の時は1つ目に置くんです。
これってコピーの拡大と縮小みたいだな〜っていつも思うんですよね。


 

 〈 白湯(さゆ)をいただく〉

コーヒーはあたりまえ、
ウーロン茶やいろんなハーブティーがある時代だけど、
たまにはそれらの基本、“白湯”を飲んでみて。

“名水”(なんとかの水)じゃなくても、
チョット時間をかけてお湯を沸かすとカルキ等の成分が飛んじゃうから。

特に食事の後なんか、
どんなモノより口の中がサッパリするから不思議。
本来の、水のもっている力なんだろか?

できれば、
鉄瓶で沸かすともっとおいしいよ。
あま〜く感じるのはなぜなんだろう?

茶釜でお湯を沸かすと、
湯気といっしょに音がするんだ。
この音のことを「松風」って言うんだけど、
目をつぶってると、
ほんとに松林の間を風が渡ってくるように聞こえるんだ♪


 

 〈学生茶道〉

茶道部では、毎年文化祭にテーマを決めてお茶会をやってた。
私が1年生の時のテーマが「生活の中の茶道」っていうのだったんだ。
日常生活の中にあるものを使ってやろうっていうんだけど、
1番シビレタのは、蓋置。
なんと!エッグスタンドだったんだよ! 
これがまた、ちょ〜どいいんだ! 
水指はアイスペール(氷入れるヤツ)、
茶碗はいつも御飯を食べる時に使うようなものだった。
さすがに茶筅と茶杓は竹だったけどネ。

もともと利休さんは、
舶来モノじゃなく、日本の雑器の中からその美しさを見い出して茶道の道具にしたんだよね。
一時の柳宗悦みたいだね。

それよりその時の略盆立てで、
いちばん初めの総礼の時に
茶筅を正客の前までフッ飛ばして取りにいったのが今となってはいい思い出だね。
なんたって、
そのおかげであがってたのが度胸ついちゃったんだから。


 

 〈逆勝手〉

これって普通にやってるやりかたの逆をやるんだ。

例えば、いつもは茶室に入る時は右足から入るんだけど(流儀によってちがうんだけど)
この場合は左足からとか、右手でやるところを左手でやるとか。
もう頭の中はグッチャクチャ! 
でも、全部が全部逆ってわけでもないので、そこがまたややこしい!

もう、浮き世のことなんか全然考えられませ〜ん! 
今、右足から立つのかそれとも左足からか、どっちが正解かなんて考えてたら、
他のことなんか頭に浮かびようがないもんネ?

スッゴイ頭の体操! 
脳みそのいつも使ってないところを使うせいか、
終わった時は頭がリセットされてるみたい!

ストレス解消にもお茶はいいよ〜!


 

 〈炭手前〉

炭がおきなきゃお湯はわかない。
お湯がわかなきゃお茶は飲めない。

ということで、初めと中間で炭をつぐんだけど、
炉(11月から5月まで使う、囲炉裏みたいになってるヤツ)の季節の釜は大きいから
(しかもお湯入り!)
「エイヤッ!」と持ち上げないと重いんだ。
「やだ〜、重い〜」とか言ってたら持ち上がらないよ。
腰をしっかり入れて、グッと持ち上げる。
お茶は体育会系もアリだよ。

こんな時、あぁやっぱり男の人がやったモンなんだな〜ってシミジミ。

いつか、炭をつぎながら
「もし火がおきなかったらどうしよう」って言った人に先生の言葉。
「同じ心配をするなら、火がおきない心配より、火をおこす心配をしなさい」って。

非礼を覚悟で座布団3枚っ!

 


茶々茶目次  Home