【秋の味覚】

渋江 喜久夫:
このイラストは、昔あった「日経ベンチャー」という雑誌の仕事で描いたものだが、その後開催した個展に来られた何人かの方から「白いお腹に施した淡いブルーが効いてますよね」と声をかけられた。最初は何を言われてるのか理解できなかったが、よく聞いてみると秋刀魚の腹部にうっすらと青色を感じたのだとか。そんな嬉しい感想は職人冥利に尽きるが、この絵は黒以外の色は一切使ってませんから〜。そしてこのような現象は、“原画”を見ないと判らないかも・・・。(点描画)

 

西谷 史:
自分も、この秋刀魚の腹に、青を感じてしまった一人だ。
でも、それよりこの絵に驚かされるのは、秋刀魚の目である。五本の秋刀魚のうち、四本はたしかにこっちを向いている。しかし、いちばん上の秋刀魚はどこか遠くを見ている。それがこの絵に劇的な効果を与えていると思うのだ。この絵を見ると、「渋江さん物の怪を描いてください…」と言いたくなる。もしかしたら、それは言ってはいけないことなのかもしれないが。

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