【AWABI】

渋江喜久夫:
以前、某割烹で出された活アワビの殻がとても綺麗だった。中身はカミさんが食べ、ナマモノの苦手な私は、いつか絵に描いてみようと殻だけもらって来た。雑事に追われてしばらく放ったらかしにしておいたところ、乾燥したせいか、色が白茶けてしまった(汗) そのまま捨てるのも口惜しいので、ダメ元で水に浸してみたら、な・な・なんと、色が戻った! 褪せないうちに慌てて描いたのがこの絵である。(色鉛筆画)


 

西谷 史:
アワビほど大きな貝なら、さぞ細やかでゴージャスな絵が楽しめるだろうと、送られてきた「gifファイル」を開いた。その瞬間目に飛びこんできたのは、虹のような美しい殻の内面だった。海藻や他の生物がこびりついた殻の外面は、渋江さんなら見事に描くことはわかりきっている。しかし、内面の構造色をこれほど美しく描くことは容易ではあるまい。グロテスクなまでにリアルな外面と、美しい内面の対比、それこそが渋江さんの描きたかったものではないだろうか。

                                                                                                      

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