【フォルチュナ・運命の女神】
渋江喜久夫:
これはずいぶん前に描いたものだが、私にとって、西谷作品「神々の血脈NU」の8册目(最終回)となった思い出深い絵である。その頃素敵なお嬢さんだった井川さんも結婚され、今や立派なお母様。いやはや、時の経つのは早いものである。このシリーズに点描画を採用して下さった西谷さん、プロデューサーの菊池さんに感謝申し上げたい。(点描画)
西谷 史:
渋江さんの描かれた井川遥さんの肖像の中で、この絵はいちばん神秘的だ。その理由は、たぶん眼にあると思う。向かって左の眼は、だれもが知っている井川さんの眼だ。だがこのスケッチを起こした一瞬の間に、井川さんの向かって右の眼に強いものが浮かんだ。それを見逃さず、絵に描きとめた渋江さんの力量は、やはり名人というにふさわしい。肖像画としても、若き日の井川さんの魅力を伝える、貴重な一枚だ。

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