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【パリの想い出】
渋江喜久夫:
30年程前、女房と南ヨーロッパを徘徊し、その旅の起点としたのがパリだった。
宿近くの『ノートルダム寺院』では、387段の階段を登り、鐘楼の屋上で日光浴に興じたりもした。月並みだが、印象に残ったのは魔除けの「怪獣」で、身を乗り出して写真を撮りまくった。後で知ったのだが、聖母マリアを表す言葉『ノートルダム』を冠したこの寺院が、フランス全道路の基点となっているのだとか。そこが我々の旅の出発点となったのは偶然だろうか。(点描)
西谷 史:
のんびりとパリ市内を見晴らすノートルダムの怪獣は、昭和三十年ころまで凱旋門やルーブルと同じように、パリを象徴するものの一つだった。
いつのころからか写真集でもその姿をみかけることは稀になってしまった。渋江さんのこの怪獣を通して、古きよき時代の日本を思い出す人も多いに違いない。

 

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