【まなざし】
渋江喜久夫:
目は心の眼なり。「ギャラリー新宿高野」入口正面で、私の個展来場者全員を記憶していたのがこの「瞳」である。女性の目と思われている方が多いのだが、実はアラブ系の男性の目を日本人的にアレンジしたものだ。何人か物好きな購入希望者もあり、テレカにしたところ人気があった。原画は人の手に渡ったが、今でも好きな作品である。残りわずかなテレカは、早い者順で……?(鉛筆画)
  西谷 史:
この絵をはじめて見たとき、エジプトの“ホルスの目”を思い出した。このモデルがアラブの男性だと知って、当らずといえども遠からずであったことが嬉しい。それにしても、ヨーロッパから北米に至る北半球のほとんどの地域では、目がクローズアップされた妖怪は邪悪なものが多いように思う。一方エジプトやアラブからインドにかけて、赤道付近の国では、目が聖なるものの象徴とされているように感じるけれど、これは偶然だろうか。

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