【The King of Country Music】
渋江喜久夫:
友人の紹介で晩年のジミー時田氏とよく飲んだ。酔った勢いで芸能界で伝説的に怖がられている理由を聞いてみた。曰く、「君は絵の職人、僕は音の職人、職人は完璧を目指すもの、まして僕の作品はバンドメンバーを含めて良し悪しが決まる。厳しいのは当たり前!」職人同志、手を握ったまま朝迄話した。個展の際、肖像画を描かせてもらった。結局それが遺影となってしまった。通夜は師を慕う多数の『音楽職人』が泣きながらバンド演奏で送った。とても安らかなお顔だった。(点描)

西谷 史:
戦後、日本のポピュラー音楽が世界的な評価を受けた時代があった。大輪の花がヒットチャートの一位を獲得した坂本九であったとすると、その水準の高さを世界に知らしめたのはジミー時田であり、江利チエミであった。ジミーさんの笑顔に、光り輝く昭和三十年代を見るのは、ぼくだけではあるまい。

 

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