【ギョーカイの人】

渋江喜久夫:
「謎の人物」M氏はやはり謎のままの方が良さそうだ。生まれも育ちも聞いた事が無い。台湾コネクションを持ち、何故か年中往来している。タレントの友人も何人かいて、夜な夜な歌舞伎町に出没する。カラオケはプロ並みで、どんな曲でもこなす。知っている事と言えばモデル級の奥様と留学が決まっている賢い小学生の御子息がいる事だけだ。身の安全の為、これ以上は詮索しない事にしている。(点描)

西谷 史:
渋江さんがこんなにも暖かく、人間味にあふれた肖像を描ける秘密は、もしかしたら光の使い方にあるのかもしれない。人物の輪郭こそ写実的ではあるが、この肖像は外から光をあてているのではなく、体内からにじみだした光をキャンバスに縫いこんだように見える。

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