第11回 ニューウェイズ(ネットワークビジネス)


ネットワークビジネスというと、ほとんどの人が一度は勧誘を受けたことがあるのではないでしょうか。
ネットワークビジネスという言葉でピンとこなくても、「アムウェイ」「ニュースキン」「ニューウェイズ」といえば、どれか1つくらいは知ってるでしょう。
僕も以前に「ニュースキン」と、マイナーですが「エンリッチ」というネットワークビジネスの勧誘を友達から軽く受けたことがあるけど、細かい話を聞くまでもなく拒絶したので細かい話は知らなかったし、そんなネズミ講まがいの話知りたくもないと思ってました。

ところが今回、仕事がらみの人からの話で断れず、詳しく話を聞く機会があり、中々興味深い内容だったので、その内容を自分の考察を交えて紹介したいと思います。

と、その前にお断りをしときます。
僕は今現在いかなるネットワークビジネスの団体にも属していませんし、今後もそのような活動を行う気は今現在一切ありません。
また、これからの説明は色々な情報を僕が解釈したものであり、正確な定義とは異なるかも知れませんが、その辺はご容赦ください。

まず、ネットワークビジネスとは何かというと、
普通商品が流通するルートとしては、メーカー→代理店→販売店→ユーザーという流れが一般的です。
当然メーカーからユーザーまでの間に複数の仲介業者が噛むほどに、商品がユーザーに届くときにはより多くの中間マージンがかかって、割高になってしまいます。
これは今メーカー直販の通信販売なんかが流行っている理由もまさにこの「中間マージンを削って安く買える」というところでしょう。
それともうひとつは、商品を広く認知してもらうためには、少なからず広告宣伝費が必要になってきます。
テレビCMや新聞広告、折込チラシなんかもそうですが、これにかかる費用も当然商品原価に乗っかってくるので、広告宣伝費がかかるほど、結果的にユーザーが商品購入に負担する金額も大きくなってきます。

この中間マージンと広告宣伝費が極力かからないようにしたシステムとして、ネットワークビジネスが出てくるわけです。
会員(ディストリビューター)は、メーカーと直接契約を結んだ代理店になり、直接ユーザーに商品を販売することができます。
また広告宣伝費をかけない代わりに、口コミや会員の人間関係、まさにネットワークを利用して商品を流通普及させるわけです。
このように不要な流通経費を削減して、出来るだけ安くユーザーに商品を流せるようにする。
また普及を促進させるために、新しい人を入会させて販売ネットワークを広げたり、またその結果としてより多くの商品を市場に流通させた会員に対して、会社はマージンを支払うというのがネットワークビジネスの基本的なシステムです。

ここで俗に言われるマルチ商法やネズミ講と、ネットワークビジネスの違いを僕なりに解釈すると、
人=カネがシステムの主体になっているのがマルチやネズミ。
入会や勧誘に伴って動く金額が大きく、扱う商品が実体のないものだから、もし全ての人が入会してしまったらそこでシステムが成立しなくなる。また入会させてナンボの世界なので、強引な勧誘や詐欺まがいの手口で多額の金を騙し取られて泣く人が多い。違法。

商品がシステムの主体になっているのがネットワークビジネス。
商品を流通させるのが第一の目的なので、始めるためのコストは全般的に多分低い。
商品が流通すればマージンが発生し、特に消耗品などは使えばなくなるので、商品の流通も途切れることはない。合法。

というところだろう。
確かにネットワークビジネス自体には多分問題はないと思う。

次にネットワークビジネスにはまる人の心理を分析してみたい。
上の話はかなり大まかだけど、きっちり話を聞けばシステム自体に問題は無いとほとんどの人は納得すると思う。
そしてその会社の商品を使ってみる。
あんまり細かいことはわからんけど、体感的に確かにいい商品だと思えるのよコレが。
僕は「ニュースキン」と「エンリッチ」のシャンプーを使ったことがあるけど、そこらに売ってるものとは全く違う感じがした。
うまく言えないけど、コレは効き目がありそうとか、汚れが落ちてそうとかいう感じ。
僕が今回説明されたニューウェイズも、使ったことないけど多分いい商品なんだと思う。
しかもこれは体や環境に悪い原料は一切使っていないらしい。
というのも会社の理念として地球環境を守るために自社商品を普及させたいという考えがあり、これだけ聞くとなんか怪しいが、その根拠をきっちり資料とともに説明されると、確かに矛盾点が無かった。

さて、これらのことをきっちり説明されると、少なくとも僕には矛盾点や問題点が指摘できなかった。
始めるためのコストはゼロに等しい。
体や環境に優しい、しかも優れた商品だから人に紹介するのに何の後ろめたさも無い。
しかもその商品をたくさん普及させれば、多額のマージンがもらえる。
その上扱う商品はシャンプーなどの消耗品なので、一度ネットワークを作ってしまえばマージンは継続的に入ってくる。
しかも地球環境保全というお題目がある。

僕自身この話は完璧に出来てると思います。
どう?
やってみたいと思わない?

じゃあ僕は何でやらないかって?
そう、そこなんです問題は。

以前に友達から勧誘を受けたことがある人、ちょっと思い出してください。
その友達は「いい話があるんだけど」と話を持ちかけてきませんでしたか?
その友達はきっと上に書いたようなことを頭に入れて、あなたと一緒に幸せになろうと本気で考えて話を持ってきたんだと思います。
その友達に対してあなたはどういう印象を持ち、どういう対応をしましたか?

僕がこのビジネスをやろうと思わない理由は、
1.話を聞いてもらえる自信が無い。
2.日本人の気質には合わないと思う。

大きくこの2つがあります。
たとえば僕がこの文章を読んでくれてるあなたに、「ちょっといい話があるんだけど」ともちかけたとします。
一体どれくらいの人が真剣に話を聞いてくれるでしょう。
少なくとも僕は今回みたいに仕事がらみで聞かなきゃならない情況にならなければ、絶対まともに耳を貸さず、もし聞いても心に防御壁を必ず作って真剣に聞こうとしないでしょう。
ネットワークビジネスやってる人も、ほとんどの人は拒否されると思うんでしょう。
でも話の内容には自信があるから、そうすると話し方のうまい他人を連れて話しに来ます。
そうすると心の防御壁はさらに分厚くなります。
友達ならまだ話を聞く姿勢もあるけど、何で友達が連れてきた赤の他人の話を聞かにゃならんのだと、普通はそう思うんじゃないかと。
その時点で聞く人にとって、「友達」という響きが「金ヅル」に変わり、ここで一つ人間関係が崩れます。
こういうデリケートな話をする時には、勧誘する側には「自分自身がシステムをきっちり理解している」「それを相手に伝える能力がある」ことが必要で、勧誘する相手に「話を聞く姿勢がある」「(次に伝えることを考えて)システムを理解するだけの理解力がある」ことを見極めたうえで話をしなければならないと思います。
自分自身に相当な努力が必要で、人間関係を失うというリスクも大きいということです。

2つ目は、勧誘するときには、要は「一緒に儲けよう」という話にならざるをえないと思うけど、「友達相手に(良心的な)商売をして」「権利収入(不労所得)を得ましょう」という部分が引っかかってくるんじゃないでしょうか。
別に騙したり悪いことしてるわけじゃないにしろ、「友達相手に商売」という響きはほとんどの人に抵抗があるんじゃないかと思います。
また「権利収入(不労所得)」という響きも、これも悪いことじゃないんだけど、多くの人に抵抗があるんじゃないでしょうか。
これは良いとか悪いとかそんな話じゃなくて、日本人の気質の問題だと思います。
まあこれがどれぐらいの人に当てはまるかわからんけど、少なくとも僕は友達関係に出来るだけお金の話は持ち込みたくないし、権利収入というのはあっていいと思うけど、なんとなく「楽して設ける」という響きはちょっと引っかかってしまいます。


今回の話の中で、僕の中でネットワークビジネスというものに対する偏見は無くなりました。
だからビジネスとして取り組んでいる人を否定はしないけど、でも僕はやろうと思わないし僕を誘ってほしくもありません。
ただこれだけは言えるのは、バカじゃできない商売であることは間違いないと思います。
世の中なかなかそんな簡単でうまい話なんかないって。

相当長文になってしまったけど、真意が伝わるか不安だけど、これが僕の素直な感想でした。