一体、ソレはいつの大晦日なのか。 柳生戦直前にそんな余裕は無し、さりとて、まだ高校生。 ま、そんなことは、無視することにして。 とある年の大晦日の出来事であった。 「今年も、もうじき終わりだな」 ふぅっと満足そうに息を吐き、龍麻は、目前のポテチを口の中に放り込んだ。 大掃除も済み(働いたのは、主に村雨)、おせちも多少は用意し(作ったのは、主に村雨)、年越しそばの準備も万端だ(買い物したのは、主に村雨)。 これで、年越し&新年を迎える準備は、完璧だ。 後は、のんびりと面白くもない紅白歌合戦を見て、『行く年来る年』の除夜の鐘を聞くのみだ。 意外と、古い慣習に捕らわれがちな龍麻は、そう思った。 「そろそろか・・・」 村雨が、ぽつりと言う。 なーんか、イヤな予感を胸に、龍麻は、それを敢えて無視した。 何が?とか聞いてしまうと、のっぴきならないところに追いつめられそうだ。 今更、アレがイヤなわけでもないが、何も新年を迎える清々しい時にヤらんでもよかろう。 「なぁ、先生」 じわっと、さりげなく、村雨がにじり寄って来ている。 攻撃目標、射程距離に入りました!ってところだ。 「イヤだ」 目も向けずに、きっぱりと。 つれないこと、この上ない。 村雨が、大仰に手を拡げて見せた。 「おいおい、まだ何も言っちゃあいねぇだろ?」 「どうせ、ろくな事じゃない」 あぁ、返事をしてしまった。 その時点で、龍麻の負け。 「そりゃ、無ぇだろう、先生よ。・・年越しアーンド新年を迎えるに当たっちゃあ、日本古来から伝わる大事な儀式が抜けてるじゃあねぇか」 真面目すぎて、胡散臭さを漂わせる村雨を、思わず見やる龍麻の瞳は、冷たく輝いていたものの、動揺を隠し切れていない。 そんなバカな・・・大掃除、年越しそば、おせち、そして雑煮の準備に、カレーの材料、コ○カフィルムまで用意したこの俺に、何の抜かりが在るというのか!? 毅然と睨み付ける龍麻に、村雨はわざとらしいまでに大きな溜息を吐いた。 「やっぱりな。アンタ、妙なところで常識に疎いから・・・気付いてねぇんじゃねぇかっとは思ってたんだけどよ」 「何を・・・!」 むっとしつつも、実際、常識にちょっぴり不自由なのは、本人も自覚済み。 その後ろめたさが、村雨の更なる接近を許した。 攻撃目標、射精距離に入りました!ってところだ(←おい)。 「恋人同士が行う、日本の古式ゆかしい行事と言えば、これしかないだろうぜ。『2年越&姫初め』!!」 一応、黄龍を受ける覚悟はしつつも、村雨は自信満々に言い切った。 その単語を脳裏でサーチしているのだろう、空を見つめて動かない龍麻の肩に、するりと手を回す。 それでもまだ動かない龍麻を、じんわりと抱き寄せる。 「2年越、と言うのは、聞いたことがないが・・・」 イヤそうに認めつつ、龍麻は言を繋ぐ。 「姫初め、というのは、正月に初めて女の子に着物を着せることでは無かったのか!?」 「・・・誰から聞いたよ、そんなこと・・・」 「如月」 苦労してるんだなー、あいつも。 村雨は心中で同情しつつ、すでに密着している龍麻の耳に、熱い吐息ごと吹き込んだ。 「・・・嘘だぜ、それは。俺とアンタが『姫初め』するのがイヤで、そう言ったんだろう」 「なんだと!?くっ、如月ごときに謀られるとはっ!!」 如月骨董品店の方向に向かって、握り拳を突きつける。 年明け早々に、襲撃に合うであろう骨董品店に、今度は心からの同情をしつつ、村雨の手は龍麻のシャツを引っぱり出していた。 「それじゃあ、まあ、俺に全部、任せときな。なーに、悪いようにはしねぇから」 『悪いようにはしない』。 この言葉に、何度泣かされた・・もとい啼かされたことか。 いや、確かに、『悪いように』ではなく『悦いように』されているので、間違いではないが。 そこで、初めて自分の置かれた状況に、龍麻は気付いた。 着ていたシャツは半開き、ズボンのベルトはすでに抜かれ、ファスナーも降ろされようとしている。 『2年越&姫初め』が何を意味するのかは判らないにせよ、この状況には、非常に覚えが。 「ちょっと、待て。これは、いつもと同じではないか」 「いや?違うぜ?・・・なーんせ、古くから伝わる大事な儀式だからな。きっちり手順をふまねぇとな」 何か、うまく騙されてる気がそこはかとなくしつつも、自信ありげに断言されると、それ以上文句を言うことも出来ずに、龍麻は大人しく躰の力を抜いた。 『常識を知らない』と、またバカにされるのもイヤだった、というのもあるのだが。 「電気は、消しても良いんだろう?」 「あぁ、電気は、な。テレビはこのまんま、点けとくぜ」 「・・・何で?」 「必要だから」 きっぱり、言い切られて、やはり、それ以上言えない。 暗闇に、テレビの明滅する光が様々な色を落とす。 衣擦れや微かな吐息は、テレビから流れ出る音にかき消されて。 突如響き渡った漫才系タレントの馬鹿でかい笑い声に、びくん、と躰を引きつらせた。 快感に流されていく躰とは裏腹に、そのあまりにも日常的な明るさに、無理矢理、現実に引き戻されるようで、却って羞恥心を煽られる。 さっさと墜ちてしまえば、龍麻の世界には村雨しか存在しなくなるのだ。 そうなった方が、この屈辱感と羞恥が理性を蝕むこともないのに。 熱に浮かされかけては、テレビの人声に冷やされ、最近は滅多にしなくなった抵抗を、かすかに示す。 龍麻の苦悶を知ってか知らずか、村雨の愛撫は、やけに長かった。 息も絶え絶えな様子で、村雨を睨め上げる。 龍麻自身は気づいていないだろうが、その潤みきった瞳に浮かぶのは、哀願を混じた媚態で。 言葉で、強請ることは決してしないが、その瞳は何より雄弁だ。 「そう、急かしなさんな」 かなり切羽詰まって来ているのは、村雨も同様であったが、根性でそれを押さえる。 「・・・そろそろか・・・」 テレビに目をやり、そう呟く村雨に、縋るような龍麻の腕が絡みついた。 それをやんわりと床に押しとどめ、力の抜けた龍麻の両脚を抱え上げる。 ごーん・・・・ テレビから、除夜の鐘の一発目が鳴り響くのと同時に、身を押し広げられ、龍麻は床をずり上がる。 「いっかーい」 朦朧とし始める龍麻の耳に、村雨の間抜けな声が入ってきた。 ・・・・・・は? いっかい? ・・・・・何が? 僅かに戻ってきた理性が、意味を捉えようと高速回転する。 一階、一介、一塊・・・等と考えているうちに、また、鐘の音が鳴り響く。 それと同時に、また、村雨も、奥へと力を込めてきて。 「にかーい」 まさか・・・・いや、そんな、バカな・・・ 混乱しているうちに、また。 「あんっ!・・ち、ちょっと、待て!」 「さんかーい」 「ま、待てってば・・あぁっ!」 「よんかーい」 「だ、だから・・・んくぅっ」 「ごかーい」 「き、貴様は、アホか〜!」 「ろっかーい」 「前から、アホか、アホか、とは思ってたが、本当に・・・んっや・・」 「ななかーい」 抵抗する気力も失って、村雨に揺すぶられるのに任せている龍麻の耳に、電子音が聞こえた。 「56かーい」 言いつつ、村雨が、床に落ちていた龍麻のズボンを探り、携帯の画面を見た。 「57かーい。・・・蓬莱寺からだぜ?」 龍麻の返事も待たずに、ONにして寄越す。 「んっ・・京一、か・・・何の用だ・・・」 『やっほー、ひーちゃん!初詣行かねぇか?』 バカ明るい京一の声が、耳に障る。 離して携帯を握りしめるのに、また、身奥の雄に突き上げられて、口から喘ぎが突いて出る。 『ひーちゃん?どうかしたか?』 「いや・・・村雨のバカが、除夜の鐘を数え始めてな・・あっん・・!」 「59かーい」 『へー、あいつでも、数えたりするんだ』 感心したような京一に、龍麻は叫ぶ。 「ふ、普通なのか?!除夜の鐘、数えるのって、常識なのか!?」 『いや、常識ってほどでもねぇかもしれないけどさ。やっぱ、日本人なら、数えるだろ』 「そ、そうか・・・普通なのか・・・ふっ・・!」 余程、今、理性が飛んでいるのか、はたまた天然か。 納得した龍麻を突き上げながら、村雨は胸中でひっそりと呟く。 (いや・・・数えるの自体は普通だぜ、先生・・・。そういう訊き方すりゃあ、そりゃ、普通って答えるだろうよ・・) 『・・・ひーちゃん?』 さすがに、何か只ならぬ気配を感じたのだろう。京一が不審そうに聞いてきた。 口を開くと、喘ぎが漏れそうで、噛み締めている龍麻の代わりに、村雨が携帯を取り上げて、短く言って切る。 「悪ぃな。取り込み中だ」 切られた携帯を、京一は、しばし呆然と見つめた。 取り込み中って・・まさか・・ 考えを巡らせかけて、思い直す。 すみません、八百万の神様、やっぱり、知りたくないです。 親友が、神様に今年最後の願い事をしているのを余所に、コレを『日本人がする普通の儀式』と認識してしまった龍麻は、疑って悪かったな〜などと、反省までするのだった。 「85かーい」 「あ・・・なぁ、最後まで、このペースなのか?」 とろん、と濡れた瞳で、村雨を見上げる。 熱い柔肉が、ひくひくと蠢いているのを感じ、村雨はニヤリと笑った。 「そりゃ、鐘の音に合わせてるからな。・・・どうした?もっと激しくして欲しいかい?」 「聞いただけ、だろう・・っ」 怒ったような内容とは裏腹に、その声は力無い。 顔を背けて、熱さを逃すように、はふ、と息を吐くその顔が、何とも言えずに艶っぽく、思うがままに蹂躙したくなるのを、理性をかき集めて、何とか堪える。 「86かーい。なーに、後20回くらいだ。終わったら、思う存分、イかせてやるから」 「・・・馬鹿野郎・・・」 「108かーい」 それと同時に、テレビから、景気の良い爆竹の音が弾ける。 村雨は、ぐったりとした龍麻に顔を寄せた。 「新年おめでとうさん。今年もよろしくな、先生」 「あ・・・おわ、り?」 もう、理性は吹き飛んで欠片も残っていないのか、どこかあどけない声で、龍麻が問うた。 涙の粒が乗っている睫毛を、数度しばたいて、にこっと笑う。 「あけまして、おめでとー」 がたっ。 村雨の、一応存在していた理性のタガが、外れる音がした。 (あぁっ、ちくしょーっ可愛いじゃねぇかっっ!! そうかっ、苛めすぎの気がしていたが、ここまでやれば、OKなんだなっ!!) 何が、OKか。 まあ、もっとも、村雨の方も、かなり限界に近いので、そうそう毎回は、これは出来ないが。 なんとか『経験豊富な村雨さん』の意地を総動員して、余裕の笑みを見せてやる。 「じゃあ、これからは・・・姫初めといこうぜ?」 「んん?」 むずかるような声で、龍麻は嫌がって身を捩る。 しかし、舌なめずりをせんばかりの村雨を見上げて、その飢えた肉食獣の目を認めた途端、これから始まることを期待したのか、蕩けるようなソコが誘い込むようにひくついた。 正月。 初日の出?何ですか、それ?と言いたくなるような時間に、村雨は目覚めた。 しばし布団の中で、夕べ・・から今朝にかけての出来事を反芻し、一人幸せに耽る。 (あぁ、可愛かったなぁ・・・普段から、ああだと、俺としても、もっとこう・・・) 毎日いたすことをいたしている癖に、これ以上、何をするというのか。 傍らに存在するはずの温もりに手を伸ばし−−−冷えた感触に、がばっと身を起こす。 ぺたぺたぺた。 布団を叩いてみても、何もない。 「た、龍麻っ?」 まさか、嘘八百がばれたのかっ?それで、愛想を尽かされたのかっ!? あわあわと、素っ裸のままで、ベッドから降り立った。 がつんっ。 思わずサイドテーブルの脚に小指を思い切りぶつける。。 「・・・起きたのか」 声もなくのたうっている村雨に、いつの間にか戸口にいた龍麻が声をかけた。 「・・・さっさと服を着ろ。何時だと思っている」 素っ気ない口調だったが、足早に立ち去った龍麻の耳が、真っ赤になっているのを、村雨は見逃さなかった。 (か、可愛い・・・どうしたんだ、龍麻・・・) このまま、ベッドに引きずり込みたい気分だが、さすがに、ソレはまずかろう、と、大人しく服を着る。 着替えて、居間に行くと、龍麻が台所に立っているのが見えた。 「先生?俺がやるぜ?」 いや、龍麻の手料理がイヤなわけではないが。 できれば、正月からステータス異常は勘弁して欲しい希望が、少しだけ。 「黙って、座ってろ」 振り向きもせずに、龍麻は素っ気なく言った。 あう、と伸ばしかけた腕を泳がせて、仕方なく、村雨は居間に戻る。 並べられたおせちを見るとも無しに眺めていると、龍麻が危なっかしげにお盆を捧げ持ってきた。 どんっとテーブルに置くと、椀の中身が跳ねた。 無言で差し出されるそれを恐る恐る手に取るが、白濁した色合いと匂いは、普通の雑煮のようだが。 ためつ眺めつしている村雨の前に、龍麻が正座した。 村雨とは目を合わせないまま、深々とお辞儀する。 「明けまして、おめでとう御座います。本年も、よろしくお願い申し上げます」 頭を上げた龍麻が、驚愕のあまり目を見開く村雨を見て、怒りに肩を震わせた。 「一応、礼儀というか、儀式というやつだ!!」 「あ・・・あぁ。いや、悪ぃ。・・・明けまして、おめでとう御座います。こちらこそ、よろしくお願い申し上げます」 慌てて村雨も、真面目に正座してお辞儀をする。 (しかし・・・) 顔は真面目に取り繕いつつも、頭の中は、目前の龍麻のことで一杯。 膝に手を乗せて、正座した姿は、なんだか『ちょこん』という表現がしっくりくるような頼りない風情で。 いつも通りの白いシャツにジーンズという飾りのない姿と、首筋に鮮やかに覗く朱印がミスマッチで、却って奇妙な色気を醸し出している。 そう、普段は傍若無人で高飛車な、でも、村雨の腕の中でだけは時に素直な、この少年を獲得したのは、彼だけなのだ。 (今年も、良い年だ・・。間違いなく、良い年だ。くっ、ついてるぜ、俺はっ!) 心の中でガッツポーズを決める村雨だった。 (ちくしょー、ちくしょーちくしょー) 龍麻は、胸の内でひたすら悪態を吐いていた。 自分の前に座っているのは、無精ひげも伸びっぱなし、髪は手ぐしで整えただけのしょぼくれ中年親父な男子高校生である。 しかしながら、まだ起き抜けの声は、幾分掠れて、いつもに増して色っぽい。 (ちくしょーちくしょー・・俺は、何だって、こんな男にぃ〜〜っ!) 煽られて、蕩かされて、流されて、イかされて。 さんざん、鳴いたせいで痛む喉に、無理矢理、唾を飲み込みながら、龍麻は目の前の恋人を睨み付ける。 (ちくしょーちくしょーちくしょー・・・!) それでも、どうにも嫌いにはなれないのだから、しょうがない。 きっと、今年も、この男と付き合っていくのだろう。 龍麻がテーブルを挟んで村雨の前に座り、手を合わせる。 「いただきます」 「あ、あぁ、いただきます・・・」 ほのぼの〜と幸せ一杯に、村雨は箸を取った。 綺麗な和紙で折られた箸袋には、墨できちんと『むらさめ』と書かれている。 ・・まあ、希望としては、『しこう』と書いて欲しかったところだが。 口で言わないのなら、せめて、書くくらい・・とか考えていた村雨に。 平板な口調で、独り言のように龍麻が呟いた。 「今朝、香川の親父に電話をした。男同士の猥談で、からかわれたようだから、と言って、『2年越』と『姫初め』について聞いた」 村雨の動きが、凍り付く。 龍麻は、やはり手にした椀に向かって呟き続ける。 「お袋には、雑煮の作り方を聞いた。これは、香川が全国に誇る雑煮だ」 そこで、初めて、村雨に目を向けた。 「どうした、遠慮なく、食うが良い」 口の両端が、きゅっと上がっているのは、笑みを表現しているのだろう。 しかし、恐い。 目が、恐い。 「た、龍麻・・・怒って・・るのか?」 「貴様、何か、俺に怒られるようなことをしでかしたのか?」 「い、いや・・・そういうわけじゃねぇんだけどよ・・・」 「では、食え」 覚悟を決めて、雑煮に箸を突っ込む。 (匂いは・・普通の味噌だよな・・白味噌仕立てで、多少甘そうだが・・・) 村雨は、甘いもの、特に和菓子系の甘さが苦手だった。 無論、龍麻もそれは、よーく知っている。 餅をつまみ、びよーんと伸ばし、しばし固まる。 「・・・先生・・・?」 「何だ」 「俺の餅・・・餡が入ってるようなんだが・・・」 「言ったろう」 にっと龍麻が笑って見せた。 「香川が全国に誇る雑煮だ、と。これが香川における一般的な雑煮だ。疑うなら、近隣の香川県民に聞いてみるが良い」 そんな人間がいないのを承知の上で。 うぐぅ、と奇妙な呻き声をたてながら、村雨は餡入り餅を頬張った。 なるべく噛まずに、汁部分で飲み下そうとし、また、呻く。 椀の底に、餡、つまり甘い小豆がざらざらと沈んでいた。 「・・・先生・・・」 「あぁ、餡入り餅のどれかが破裂したんだな。よくあることだ」 無表情に、龍麻は自分の雑煮をすすった。 そして、今、思い出した、とでも言うように、何気ない口調で。 「お袋が、『香川の雑煮をお友達に食べさせてんまい』と、餡入り餅をよっけ送ってきたけん、しゃんしゃん食べていたーの」 香川県民気分に浸っているのか、はたまた怒り心頭に発しているのか。 讃岐弁で呪文を唱える(村雨イヤー)龍麻に、何も言えずにひたすら雑煮を食うしかない村雨だった。 村雨が、すみません、私が悪う御座いました、許して下さい、とギブアップしたのは、1月3日。 餡入り餅、17個目を食した時のことであった。 ジーダの注釈 その1。 「〜しまい」というのは「〜しなさい」の意。「食べさせてんまい」は「食べさせてみなさい」。 「よっけ」は「たくさん」の意。 「しゃんしゃん」は「きびきびと」 と言うわけで、標準語に直すと 「『香川の雑煮をお友達に食べさせてみなさい』と、餡入り餅をたくさん送ってきたから、きびきびと食べて下さいね」 その2。 香川の雑煮は、マジで、白味噌仕立てに丸い餡入り餅です。他の具材も円形。大根などをイチョウや拍子に切るのは、『割る』に通じて縁起が悪い、とされています。 餡入り餅の恐ろしさは、家族の中に一人でも餡入り餅を食うヤツがいると、他の者も巻き添えになるところです(笑)。 私の実家では父。普段、甘いものは嫌いな人なのに、雑煮だけは、生粋の香川県民なせいか餡入り餅を選びます。おかげで、他の3人の雑煮にも餡が沈んでいる羽目に・・(泣) しかし私も、生まれてこの方、この雑煮を食べ続けたため、もはや、コレじゃないと雑煮を食ったような気がしなくなっています。恐るべし、インプリンティング(笑)。 |
あとがき 綾月様の『星月夜』で行われた『村主布教企画』のために書いてみた品。 企画を見に行ってみたら、皆、クリスマスネタで、愛らしかった。 ・・・うちの二人は、どーして、こー・・・。 やけくそのように、めでたい壁紙にしてみました。 どうして、普通のムックの素材はださいのだろう・・。 |