宇宙船フラヒスNAGAYA号

宇宙の海は 俺の海
 俺の果てしない憧れさ
 俺の海は 俺のもの
 お前のものも 俺のもの 

敵は海賊・海賊団


 俺の名は、ナデュー。
 無く子も黙る、宇宙海賊「破壊の悪魔団」のキャプテンだ。
 ま、自分で言うのも何だが、凄腕な俺は、この宙域じゃあ、ちょっとは名が知れてるぜ。
 自由の旗の元に、己の心の赴くまま、宇宙を駆ける一匹狼ってやつだ。
 この精悍なボディ、危険な香り漂う甘いマスク。
 かつて戦いで失った目を覆うアイパッチすら、俺の魅力を高めてる。
 くっくっくっ、見ろよ、このアイパッチ。
 いつだったか「サタンの足の爪団」と戦ったとき、シスタージル配下のパンサークローってやつを倒して手に入れた豹柄だぜ。
 勿論、アイパッチだけじゃあ毛皮が余るからよ。
 この海賊旗だろ、俺のチュニック(海賊っつったらチュニックだぜ)だろ、そして、手下どものバンダナも、お揃いの豹柄だぜ。
 くーっ、イカスな、俺。

 が・・・だ。
 キャプテンの俺は、こんなにもイケ面なのによ。
 手下どもと来たら、ジャリ×2にマイペース男と来てるからな。
 まったく、俺が引っ張っていかなきゃ、こいつら、本当にどうしようもねぇからなぁ。

 「おう!ソリュード、一体どこに向かってやがんだぁ!?」
 俺は、一応航海担当のソリュードに確認した。
 ソリュードはにこやかに、答えやがった。
 「ん?そうだなぁ・・・今日は、こっちの方向に、こう、ずーーーっとだなぁ」
 やめやがれ!エネルギーが無駄だろうが!!
 こいつは腕は確かなんだが、どうも「宇宙の果てを見つける」なんて馬鹿な夢を抱いてるらしくて、放っておいたら、すーぐ辺境の星域にかっとばしちまうんだ。
 戻ってこられなくなったら、どうすんだよ!
 まったくよー・・・まあ、別にあてのある旅じゃねぇけどよ。

 「アニキー、俺、カニ食いたい、カニ」
 あぁん?何をいきなり言い出しやがったかな、このガキは。
 「僕は、ウニ丼が食べたいです」
 ガキども、どうやら食い物の話で盛り上がっていたらしい。
 ちっ、まったく、カニだのウニだの・・・分かってねぇなぁ、男ならマグロだろ、マグロ!!
 「そうだなぁ、俺は、クジラの大和煮が食べたい気がする」
 のほほんとソリュードまで加わりやがった。
 「うわぁ、ソリュード、クジラなんて贅沢ぅ!食ったことあんのかよ!」
 「クジラさん、食べるんですか!?あんな可愛い生き物を・・・」
 「ん?いや、な。俺の子供の頃にはな、クジラの大和煮ってのが、給食の定番でな。・・最近、思い出すんだよ・・あの頃はさしてうまいとも思わなかったが、あの懐かしい味を、再び味わってみたい、とな・・・いや、ただの夢だ。忘れてくれ」
 ふっ、なんてソリュードは遠い目をしていた。
 ・・・ふーむ。
 カニ、ウニ、マグロ、クジラ・・・なんだ、全部、海産物じゃねぇか。
 幸い、確かこの近くの宙域に、有名な漁宙港があったっけか。
 
 「うっし、野郎ども!今度の獲物は、漁船だぜ!!食いまくるぞ〜!」 
 「おうっ!」
 
 ・・・にしても、ソリュード。
 俺でも、クジラの大和煮は、給食から姿を消してたぜ・・・
 お前・・・けっこー、若作りじゃねぇか・・・?



 そのころのNAGAYA号。

 ニャニャニャ。
 今日も、クレイドルと遊ぶのニャー。
 平和でイイのニャ〜♪
 僕は、いつものようにクレイドルのところに遊びに行ったニャ。
 「クレイドル〜!今日は逆立ちして、してみるのニャ〜♪」
 最近、宇宙五輪のアイスダンスを見てから、アクロバティックな絡みに萌えてるのニャ。
 ニャ?
 クレイドルは、ぶつぶつ呟いてるのニャ。
 何か面白い思考でも拾ったかニャー。
 
 「死ね死ね死ね死ね死んじまえ・・・・」
 「・・・う〜んニャ・・・それは、いくら何でも古すぎるニャ〜・・」

 「エロイエロイラマサバクタニ・・・」
 「宗教系統は突っ込むのは拙いニャ〜」
 
 「白い悪魔め・・・」
 「ニャ?機動戦士系統ニャ?」
 
 クレイドルが、ふいに目を開けたニャ。
 「・・・いたのか」
 遊びに来たニャ。
 でも・・・なんか、あったニャ?
 クレイドルは、疲れたのか、壁にもたれてるニャ。
 「・・宇宙海賊、だそうだ」
 ニャ?宇宙海賊〜〜!?
 そ、そんな前時代的なモノ、こんなとこに生息してたニャ?!
 「なんだか知らんが、長年の宿敵である宇宙マグロを仕留めたところで、宇宙海賊が横取りしに来た・・・らしい」
 マグロが・・宿敵。
 宇宙海賊が、横取り。
 なんだか・・・子供の頃からの夢が壊れていく気分ニャ。
 海の男のロマンは、どこへ行ったニャ。
 はぁ・・・ショックニャ〜・・でも、ルー様に報告するニャ〜・・・
 あいたっ!頭、ぶつけたニャ・・・
 「ふん・・・そう気落ちすることもあるまい・・面白いモノが見られるかも知れないぞ・・・くっくっくっ」
 ニャ?
 でも、クレイドルは、それ以上説明する気はなさそうなのニャ〜。
 しょうがないのニャ。
 ルー様のとこに行くニャ。


 その頃の「男の船」

 「船長!」
 「艦長と呼べ!」
 「か、艦長!海賊です!宇宙海賊が、積み荷の内容を問い合わせてきております!」
 「ワカメだ」
 「はっ!?」
 「ワカメと言ってやれ」
 「了解!通信、ワカメ、ワカメ!」
 
 「あぁ!?ふざけんじゃねぇよ!!答えねぇなら、こっちから行くぜ!」

 「・・この艦では、勝てない」
 片足を失って、なおバリバリ現役の、白髪の艦長は、押し殺すように呟いた・・
 

 その頃の「破壊の悪魔団」

 「ソリュード!ラムの用意だ!」
 「いや・・距離が、まだある。ここは、主砲で動きを止めておいて・・・」
 「あぁん?いいんだよ!ラムで突っ込んで白兵戦は、男のロマンなんだよ!!」
 なんで、わかんねぇかな?
 水鉄砲でぴーひょろ撃ち合いなんてぇのは、俺のガラじゃあねぇんだよ。
 男なら、突っ込め!引き裂け!ぶち破れ!!
 「・・・積み荷が、宇宙に散ったら、本末転倒なんだが・・・」
 う・・・・・うるせぇ!やるったら、やるんだ!
 男に二言はねぇ!!
 「アニキ!ラム、用意できたぜ!」
 「進路補正終了しました」
 ソリュードが、舵を切る。
 「仕方ないな・・・船首、上部を狙うとするか」
 
 「おらぁぁぁぁあ!出撃だぁっ!!」



 再び、NAGAYA号

 宇宙海賊のことをルー様に報告したら、早速、その宙域へ向かうよう指示があったニャ。
 ルー様とアドルさんが、「悪」を退治するのに燃えてるのは当然としても、シトラさんまで燃えてるニャ。
 「宇宙海賊・・・きっと懸賞が出てるよ。楽しみだねぇ・・第何級の指名手配犯かねぇ」
銀河警察の懸賞リストをディスプレイに表示して、笑ってるニャ。
うーんニャ・・生け捕りだと高いのニャー・・なんだか、この金額を見てると、僕まで嬉しくなってきたニャ。
 どれかニャー・・この髭ぼうぼう熊男かニャー・・あ、意外と安いニャ。
 この黒マントの片目青年かニャー・・この人は高いニャ。
 はぁ・・生の宇宙海賊を見られて、その上、お金になるなんて・・楽しみだニャーvv

 
 クレイドルのナビに従って、宇宙海賊が襲ってるらしいとこに着いたニャ。
 きっと、あれニャー。
 船の横っ腹に、別の船が突っ込んでるニャ。
 突っ込んでるほうの船は・・黒くて、金色の装飾で縁取られて・・・
 ・・・・・・・・・
 その下地が見えないくらい、『ご意見無用』って装飾がぎらぎらしてるニャー・・
 もう片側は・・・一昔前のアイドルの笑顔が描かれてるニャ・・・
 これで、豹柄の海賊旗が後部にはためいてなければ、海賊船とは分からないところだったニャ・・。
 ニャ〜・・・・また一つ、夢が崩れていったニャ・・・・

 「これだけ密着しているとなると、砲撃は、被害者の船にも影響を及ぼします。ルー様、如何致しましょう?」
 アドルさんの問いに、ルー様は重々しく答えたニャ。
 「うむ、こちらも、直接乗り込むとしよう・・アドル、頼むぞ」
 「御意!」
 漁船に海賊船が突っ込んで、更にNAGAYA号が突っ込むニャ。
 ・・・なんか、団子になって、危ない感じニャ〜・・。
 でも、アドルさんは、上手にNAGAYA号を操って、漁船と平行に停めたニャ。
 「強襲用チューブ、射出!」
 人が通り抜けられるチューブが、NAGAYA号から漁船に伸びて、相手の船壁を貫いたニャ。
 ・・・相変わらず、二人乗りとは思えないような装備なのニャー・・。
 「うむ・・・では、行くぞ」
 ルー様を先頭に、アドルさんとフィリスさんが続いたニャ。
 シトラさんはお留守番ニャ。
 誰かはNAGAYA号に残ってなきゃいけないからニャ。
 ・・・シフィール様とクレイドル?
 ・・・・・・・えーとニャ〜・・・この二人は、あ、僕も・・残ってても役に立たないのニャ・・・。
 というわけで、僕も行くニャ。
 
 チューブの先のパネルが開いて、相手の船に乗り込んだニャ。
 
 「戦争を〜やめろ〜!」
 「何者だぁ!?」
 「人呼んで、大天使ルー!」

 
 ・・・うーん、このネタは分かりにくいニャ・・・そもそも遊星仮面自体がマイナーで・・・

 「灯せ、正義の青信号!正義の従者アドル、定刻通りにただいま到着!!」

 まだ、こっちの方がわかりやすいニャ・・・マイナーさ加減ではともかく。

 続いてフィリスさんも優雅に降り立ったけど、これは、挨拶なしだったニャ。
 僕は、入り口の陰から、そーっと中の様子をうかがったニャ。

 「アドル!?」
 「貴様・・・ナデューか!?」
 ニャニャニャ。
 アドルさんと、豹柄アイパッチの人は、知り合いニャ!?
 「なんでぇ、アドル、やっぱり軍はやめたのかよ。だろ?軍にゃあ、お前の言う「正義」はねぇもんなぁ」
 アドルさんにナデューって呼ばれた人は、にやにや笑いながら、アドルさんに向かって来たニャ。
 「黙れ!貴様、宇宙海賊などという不逞の輩に成り下がって・・・貴様は、何故そうなのだ!」
 「あぁん?相変わらずだなぁ、お前はよ。俺の信じる正義は、俺自身だ。・・お前にも、教えてやろうか。俺の正義って奴をさ」

 あぁっニャ〜!
 ナデューさんは、アドルさんの肩に手をかけて、引き寄せたニャ〜!
 こ、この体勢は・・・アドルさん、どうして気づかないかニャー!!
 あ、振り払ったニャ・・・あ、ニャ、別に、僕は残念がってはいないのニャー。
 
 「確かに、貴様の言うとおり、軍には正義は無かった・・だが!」

 アドルさんは、きっとナデューさんを睨んだニャ。

 「ルー様こそが、我が正義!!」
 
 うっわ〜ニャ・・言い切ったニャ・・・
 ナデューさんの片目が、燃え上がったニャ。
 
 「あぁ!?お前は、まだそんなこと言ってやがるのか!なんで、他人に正義を求めるんだ!?・・それじゃ、○○○教は偽物だって気づいたのに、今度は××教にはまる奴と一緒じゃねぇかよ!?」
 ニャー・・なんだか、ナデューさんの言う方が、正論みたいに思えるニャ〜。
 だけど、アドルさんは、胸を反らして、断固として引く気配はないニャ。
 「ルー様は違う!ルー様は、真実正義の御方!」
 「だーっ!」
 ナデューさんは、だんだんと足を踏みならしたニャ。
 その気持ちは僕にも分かるニャー・・アドルさん、聞く耳もたないもんニャ〜・・・。
 「アドル!俺に付いてこい!俺が、俺の正義ってもんを見せてやらぁ!!」
 
 ・・・プロポーズ?
 でも、アドルさんは、全然気づいて無いみたいニャ。
 「貴様こそ、このような稼業から足を洗い、ルー様の御元で働いてみてはどうだ?そうすれば、貴様にも・・・」
 「俺の言うことを聞け〜!!さもないと・・・」
 ナデューさんは、にやりって笑って、懐から何か取り出したニャ。
 「軍時代に手に入れた、お前の可愛い寝顔!これを船のどてっぱら一杯に描いて、宇宙を駆けめぐってやるぜ!!」
 
 ・・・凄い脅し文句ニャ。
 でも、アドルさんは、赤い顔して、それから青くなって、ナデューさんに斬りかかっていったニャ。
 「返せ!」
 「返すもんか!」
 ・・・仲良いニャ〜・・・。


 その横では・・
 「おぉ、ティム!無事であったか!」
 「ルー様!お久しぶりです!」
 ニャ?ティムって・・・確か、寝てるときに、緊急脱出用ポッドを射出してしまって、まだ見つかってないっていう、僕の前にNAGAYA号にいた人ニャ。
 そのティムは、海賊さんたちとお揃いのバンダナをして、にこにこしてルー様にお辞儀したニャ。
 「宇宙を漂流しているところを、ここの方々に拾っていただいたんです!」
 「おぉ、そうか・・・それは、礼を言わねばならんな」
 
 ・・・・・敵ニャのニャ。

 「すぐに連絡しようかとも思ったんですが、僕、こういう下々のこともよく知っておかなきゃ、正義の大天使にはなれないと思って・・・」

 しもじも、と、きたニャ・・・
 案外、いい性格してるニャ。
 
 「そうか・・・お前も、立派に一人立ちしたのだな・・・」
 ルー様、笑顔で認めちゃってるニャ。
 いいのかニャ〜・・今、現在、そのティムが、漁船の船長とおぼしきおじさんの首を、三つ編みで絞めてる点については・・・
 
 この師弟の語らいについては、僕は立ち入りたくないニャ。
 多分、真っ赤な顔で舌を突き出してるおじさんも、同じ気分ニャ。


 奥の方では・・・

 「そこの人・・・素直に投降してくださいませんか?」
 「はは・・そうもいかなくてな」
 言葉は穏やかなんだけど、じりじりって隙のない態度で、フィリスさんが迫っていくニャ。
 相手は、やっぱり豹柄バンダナをして・・・でっかい魚を抱えているニャ・・うらやましいのニャ・・
 
 「・・・参ります」
 「おぉっと・・・ふぅ、危なかったな」

 凄いニャ!フィリスさんの蹴りをかわしたニャ!
 ニャー・・お魚さんが切り身になって、床に落ちたニャ。
 あれで蹴りの軌道を変えたニャ・・

 「私の蹴りをかわすなんて・・・大したものね」
 「ん?あぁ、いや、まぐれ、かな。・・ははは」
 なんか、爽やかニャ。
 頭を掻きながら、片目の人はフィリスさんから距離を取ってるニャ。
 「・・そういえば、聞いたことがあるな。「人蹴りソバット斎」と呼ばれる凄腕の暗殺者のことは・・・」

 うっわ〜ニャ!
 やばいのニャ!その呼び名を、直接言うのは、すっごくやばいのニャ!!

 「うふふ・・・私の当時のコードネームは『ラブリーエンジェル』・・・他の名で呼ぶなんて・・・いけない人」

 フィ、フィリスさんの髪が、メデューサみたいにのたうってるニャ!!
 怖いニャ〜〜!!
 ・・・けど、片目の人は、全然おびえてないニャ。
 「ん?そうだったか?・・はは、それはすまなかった。気分を害したなら、謝るよ」
 
 ・・・この二人にも、立ち入りたくないニャ〜〜!!
 近寄ったら、僕が代わりにスライスなのニャー!!

 どうするかニャ、どうするかニャ・・・ニャ?
 考えてみれば、みんな、それぞれ海賊さんと向き合ってるニャ。
 てことは、僕の邪魔をする人はいないニャ。
 ニャハハハハ!
 船倉に行くのニャーー!!

 僕は、こっそり降りて、漁船の後部に向かったニャ。
 ニャニャニャ・・・ニャハハ、成功なのニャ。
 
 お魚ニャ〜〜!!
 おっっっっきぃぃぃぃい!お魚さん、なのニャ〜〜!!!
 凄いのニャー!涙まで出てくるニャ〜!
 ロマンニャ・・・僕の背より高い胴体のお魚さん・・・
 あぁ・・・・一口、一口でいいニャ・・・
 ・・・誰も、見てないニャ。
 やるニャ。

 かぷっ。

 ・・・・・・ニャ〜!
 凍ってるニャ〜〜!
 歯が立たないニャ〜〜!!

 かぷ、かぷ、かぷ。
 あみ、あみ、あみ。

 ニャ〜〜・・・・・
 せ、せっかくのおっきいお魚さん・・・僕の口には入らないニャ・・・
 正義の味方が盗み食いをしちゃいけませんって、ジーア様がおっしゃってるのかニャ〜・・

 は〜にゃ〜・・・
 周りを見ると・・他にも、お魚さんはあったニャ。
 でも、食べるには、おっきいし、持って帰るのも・・・
 ニャ。いいもの発見ニャ!
 鰹節ニャ〜〜!
 鮮度は落ちるニャけど、僕はこれでも十分なのニャ〜!!
 ニャ・・ブーツに1本ずつ隠すニャ。
 ニャハハ、幸せニャ〜!

 さ、目的は果たしたニャ。
 帰るニャ。


 ブリッジに戻ると、いつの間にか、片目の人はのびてたニャ。
 そこで、均衡が崩れたんだニャ〜・・ナデューさんも、アドルさんが振り回す剣に押されて壁際にいるし・・ルー様は・・
 ルー様は、ティムとまだ語らってたニャ。
 三つ編みを巻き付けられたオジサンの顔は、赤を通り越して、青黒いニャ。
 僕は、知らないニャ。
 
 ナデューさんが、こっちを見て、舌打ちしたニャ。
 「ちっ、新手か!」
 ニャ〜・・僕は、あんまり役には立たないけどニャ。
 
 「仕方がねぇ・・今回は、退いてやるぜ!じゃあな、アドル!」
 ナデューさんは、格好良く、ウィンクを一つして、身を翻したニャ。
 あ・・目標を失って、アドルさんの剣が壁に食い込んだニャ。
 うっわ〜・・当たると只じゃすまないニャ〜・・。
 「待て、ナデュー!しゃ、写真は、置いていけ〜〜!!」
 アドルさんは、真っ赤な顔で叫んでるニャ。
 追いかけるなら、剣は置いて行った方がいいニャ。
 でも、アドルさんは、どうにか、剣を引き抜こうとしてるニャから、ナデューさんは、もうここまで来てるニャ。
 う〜んニャ。
 この人たちは、僕たちのせいで、お魚さんを食べ損ねたまま帰るニャ。
 ・・何となく、気の毒ニャ。
 僕も食べ損ねたから、気持ちは分かるニャ・・
 そうニャ!いいこと思いついたニャ!
 片目の人のポケットに・・・
 ニャニャニャ。

 「リアム!そこから、離れろ!」
 アドルさんが、叫んでるので、僕は、飛び退いたニャ。
 ナデューさんが、片目の人を、拾い上げて、そのままの勢いで走り去って行ったニャ。
 
 「あばよ!」
 「それじゃ、失礼します!」
 いつの間にか、ティムも後ろから走って行ったニャ。
 ・・・オジサンは・・・辛うじて、生きてるみたいニャ。

 海賊さんたちがいなくなって、漁船のブリッジは、静かになったニャ。
 ルー様がおもむろに、白い大きな翼を広げたニャ。

 「うむ、正義は成された」

 ・・・そうかニャ〜・・・
 けど、ルー様がそう言うなら、そうかもニャ〜・・・。

 でも、船長のオジサンは、違う意見みたいで、僕たちを放り出したのニャ。

 
 そして、漁船から離れたNAGAYA号。

 「フィリス、これは?」
 アドルさんは、不思議そうに、目の前のカツオのタタキを突っついたニャ。
 フィリスさんは、柔らかい笑みを浮かべたニャ。
 「ふふ・・船員さんがね、私たちにって」
 「そうか・・あの船にも、ルー様の偉大さが分かる者もいたのだな・・・」
 うんうんと頷いて、アドルさんはそれを口にしたニャ。
 
 ・・・でも、船員さんは、皆、ブリッジに集められてたニャ。
 船倉でカツオを取り出す暇なんて無かったと思うのニャー。
 まあでも、アドルさんは納得してるみたいニャから、これでいいのニャ。
 
 ルー様はお部屋でシフィール様と、カツオのタタキで一杯やってるはずニャし、僕は、お皿を持って、クレイドルのところに行ったニャ。
 「クレイドル、おいしいニャ?」
 「・・・まあな」
 ニャハハ、よかったニャ〜。
 僕は、しばらくコレがあるから、いいのニャ。
 僕の立派な鰹節ちゃーんニャ。
 クレイドルの足下で、鰹節とじゃれてると、クレイドルがちょっぴり笑ったニャ。
 「・・・海賊が、お前に感謝しているぞ・・・くっくっく」
 ニャ〜?
 よかったニャ〜!
 
 僕らはそれぞれおいしいものを食べられて、海賊さんもおいしいものを食べられて。
 クレイドルはご機嫌で、僕は鰹節と遊んでて。

 これで、イイのニャ。


 そのころの「破壊の悪魔団」

 「くっそー、今頃は、ネギトロ丼を食ってるはずだったのによー!」
 「カニ、食いてーよ、アニキ〜」
 「はは・・・いや、結構、いけるぞ、これ」

 あのクソ猫が、ソリュードのやつの懐に入れてくれたらしい鰹節で作った「ねこまんま」は、確かに悪くはねぇ味だったがよ・・・

 ちくしょー!
 次は、必ず、ネギトロ丼、食ってやるからな〜!
 邪魔しやがったら、代わりにお前を取って食うからな、アドル!!  
 俺様に不可能はねぇ!!


 行け行け、破壊の悪魔団!
 戦え、破壊の悪魔団!! 




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