夜来たる
「俺は、今夜、もう一度ここへ来る。・・・逃げるな。待っていろ」
クレイドルの言葉に、一瞬、リアムの目が訝しげに細められた。
が、次の瞬間には、満面の笑みが取って変わる。
「え、本当に?・・・はい、お待ちしています!」
もしも尻尾が付いていたなら、ぱたぱたと振っているのが見えるような、無邪気そのものの笑みに、クレイドルの眉が引き絞られる。
「馬鹿な奴だ・・・」
「はい?何かおっしゃいましたか?」
全く恐れを知らない、愚鈍な人間だ。
これまで、アンヌンに無理矢理さらったこともある。傷つけると予告もしてある。
なのに、怖がる気配も見せず、誰も来ない時間帯に彼を迎え入れることに、全く躊躇する様子がない。
最近の、この妙な子供との会話は、時としてクレイドルに、極度の徒労感を覚えさせる。
別に、飽きたとか、味気ないというのでは無いのだが、彼の言葉が全く届いてないのではないかと思わされることがしばしばあるのだ。
アンヌンに連れてゆき、彼の贄にしてやる、という言葉は、彼としては、冗談でもなく、遠い未来の話をしているつもりもないのだが、どうも、リアムに通じているのかどうかが疑わしい。
意味がわかっているのなら、嬉しそうに笑って答えるはずのない話題だと思うのだが。
もっとも、もしもリアムが今更怯えたり、彼を避けたりしようものなら、怒り心頭に発するだろうが。
現在のクレイドルの心境は、かなり複雑なのだ。
本人は気付いていないが。
黙り込んだ彼を、リアムが不思議そうに見ているのに気付き、クレイドルはいつものように、
「・・・帰る」
と、一言残し、リアムの前から消えた。
屋敷に戻り、ソファに腰掛けたクレイドルは、今夜の計画をシミュレートしてみた。
何度目かのそのシミュレートは、いつも通り、収束には向かわない。
(不愉快だ・・・たかが人間の子供の、行動パターンが読み切れないのは)
シミュレートの結果が揺らぐのは、それだけが原因というわけでもないが。シミュレートに「期待」や「希望」が関与すると、導き出された結果は、厳密な意味での「予測」ではない。
しかし、今のクレイドルに、感情を排除したシミュレートを行うことは不可能であった。
・・ことに、本人がそれに気付いていないとあっては。
なお、今夜の訪問の第一目標は、「リアムの真意を知ること」である。
どうにも、普段の会話だけでは、あの子供の考えがさっぱり理解できないのだ。
もっとも、言葉で飾ったり、はぐらかしたりが出来るような性質でないことだけは理解できるのだが、「本気でボケ」という可能性は大いにあることだし。
とことん、本音のところを知りたい。
無論、一番の重要事項は「クレイドルを好きなのか否か」というところにあるのだが、それはクレイドル自身の表層意識は認めていなかった。
(ともかく・・・もう2〜3枚、メーラの葉が必要か)
別段、面倒なことでも何でもないはずだが、クレイドルの腰は重い。他の悪魔達に会うことを考えると、気が進まないのだ。
そもそも、彼が今晩の訪問を思い立ったのも、先日、メーラの樹付近で、他の悪魔達に遭遇したためだ。
偶然、4人が同時に採取に来ていたのだが・・・、思いっきり「牽制合戦」になってしまった。
「それにしても、あの坊やの調香師としての腕は一流だねぇ・・私が香水をちょっと変えただけで、すぐに気付いたよ」
シトラが、何気なし(を装って)に呟いた。
ちなみに、これは不発であった。
いささか遠回しに過ぎて、ナデューやロキには通じなかったからだ。
クレイドルはというと、思わず引きちぎってしまったメーラの葉を、無言で捨てたのみで、あえて突っ込みはしなかったし。
「変えたのは、ほんのちょっとだったんだけどねぇ?中身を当てたご褒美に、ピアスを付けてあげたのさ。・・・可愛かったねぇ。耳たぶを真っ赤に染めちゃって」
さすがにここまであからさまなら、ナデューにだってわかる。
「あぁ、そうだなぁ、や〜らけぇ耳たぶだったなぁ。・・・噛みつき甲斐があったってもんだ」
「おや、そうかい?アンタは食欲旺盛だからねぇ」
くっくっくっくっと口元だけで笑っている、シトラとナデューが視線で戦っている横で、ロキは明るく、
「そういえば、ほっぺたも柔らかかったよな。ま、全身温かくて、気持ちよかったけど」
などと、さり気に自慢してみたりする。
「・・・なんで、そんなこと知ってんだよっ!」
「へっへ〜♪夜明け前にリアムんとこ行ったら、寒かったから、ベッドに潜り込んだんだ〜♪」
間髪入れずに飛んできたげんこつを避けながら、ロキは
「リアムも、寒いんならしょうがないって許してくれたんだぜ!悔しいんなら、アニキも行けばいいじゃないか!」
と叫んで、さっさと飛んだ。
なお、「許してくれた」というのは、ロキ的解釈であって、リアムは別の表現をするだろうが、ここにリアムはいなかった。
そのため、年長者3人は、まともにそれを受け取った。「翻弄」されてどうする、年長者。・・・と突っ込む役の者もこの場にはいなかった。
「あのガキ〜!ガキの特権を乱用しやがって〜!」
「人のことが言えるのかい、アンタは?・・・とは言うものの、ロキ如きに遅れを取るってぇのは、業腹だねぇ」
なにやら、妖しげなオーラを吹き出している2人に、クレイドルは背を向けた。
その場に、引きちぎられた十数枚のメーラの葉を残して。
(・・・不愉快なことを思い出した)
クレイドルとて、リアムに触れたことが全くないわけではない。
指先を口に含んだこと、1回(ただし、血を採取するため)。
顔を鷲掴みにしたこと、2回(触れたと表現するのは如何なものか)。
首を掴んだこと、1回(愛情表現では無い。多分)。
しがみつかれたこと、1回(落ちたくないための無意識の所作と思われる)。
・・・他の3人に比べると、荒んだ内容のような気もする。
別段、たかが人間の子供を手に入れるのに、焦る気持ちは、毛頭無かったはずなのだが・・・他の男に浚われるのも腹立たしい。
認めたくはないが、ルーの守護を破ったのは、間違いだったかも知れない、とクレイドルは、ちらと思った。
ルーの守護は彼にだけ働いていたわけではない。他の者は、まだルーの守護が働いていると思っているようだが、実はとっくに破られていたと分かると・・・何をしでかすか分からない連中だ。
ならば、さっさと自分の贄にすればいいのだと、判ってはいるのだが、何故か、そういう気分にもならない。
あの忌々しい光の中で、ふにゃっと暢気に笑うリアムを、壊したくはないのだ、とは・・・クレイドルは認めようとはしなかった。
意識の表層に浮かぶのは、他の7人も振り回されているこのゲームを、愉しもうとしているだけだ、という言い訳めいた理屈のみ。
その理屈で行くと、こうして自分がアンヌンにいる間に、他の7人がリアムを訪れている姿を想像するのは、嘲笑の対象でしかないはずなのだが、苛々と室内を歩き回ってしまうのは何故なのか。
突き詰めて考えれば、自覚しそうなものだが、とりあえず、今のクレイドルの意識には、早く時が過ぎて、宵になればいい、ということしかなかった。
さて、その待望の、夜。
「俺だ」
ノックとほとんど同時に、扉が開かれた。
タイミングを計って、扉に手を掛けていたとしか思えないような素早さに、思わず苦笑する。
目の前のリアムは、嬉しさを隠そうともせずに、入室を促した。
朝のそれを「尻尾をぱたぱた振っているような笑顔」とするなら、今のそれは「尻尾をちぎれんばかりに振っているような笑顔」だ。
「・・・夜、この俺を招き入れるとはな。お前はつくづく恐れを知らないか・・・愚鈍な人間だ」
小首を傾げ、リアムは考えるような表情になってから、
「僕、夜もクレイドルさんに会えて、嬉しいです」
あっさりと、言った。
もう少し、恥じらいながら言われでもしたなら、誘惑しているのかと思うところだが、けろっとした表情からすると、やはり、そのまんまの意味なのだろう。
「・・・まあ、いい」
できるだけ、素っ気なく言ったつもりだが、頬が幾分紅潮しているのは、自分でも判った。
それが、「会えて嬉しい」と言われたためなのか、全く意味が通じていない相手に対する憤りなのかは、判らなかったが。
リアムは、たった今クレイドルが渡したメーラの葉を、胸に押し抱くようにして、にっこりと彼に笑いかけた。
実に脳天気な、幸せそうな笑顔。
この笑顔が、自分がここに来たためだといいのだが。
一瞬、意識に昇ったその欠片に、クレイドルは慌てて、首を振る。
この子供が、そんなことを考えているはずがない。大方、予定外に調香の材料が手に入ったのが、嬉しいだけだ。
ソファに座ったクレイドルを前に、いつもと違い、リアムはもじもじと立っている。
「・・・どうした」
「あの、ですね・・・うちに、お酒は無いんですけど・・・クレイドルさんは、お酒好きですか?」
仮に、好きだとしても、ここには無いものをどうしようと言うのだろう。
無言の冷たい視線に、リアムは更に身を縮めた。
「父さ・・いえ、父が、『大人の男が、夜、家に訪ねて来た時には、酒を出すのが常識だ』って、いつも言ってたから、フィーレ先生のところにも行ってみたんですけど、気付け用のお酒くらいしか、持ってないって言われちゃって。うちにも、薬酒ならあるんですけど、お酒って言うより薬そのものの味だし・・・。もし、クレイドルさんがお好きなようなら、今度の休みに、街で買ってきますから!」
顔を赤らめて、じたばたと手を振りながらの力説だ。
「・・・いらん」
「あ、・・・そうです、か・・・」
今度は、空気の抜けた風船のようだ。実にコロコロと変わる表情である。
自分を見つめるその視線の、あまりにも寂しそうな意味を考える。
たかが、酒が置いていないだけのことである。しかも、クレイドルが好むかどうかも判らなかったものだ。
それなのに、なにゆえに、ここまでへこむのだろう。
会話をリピート。
仮説1:父親について何か意見が欲しかった。
仮説2:賢者について、以下同文。
仮説3:薬酒でもかまわないと言われたかった。
仮説4:街に出る言い訳が出来なくなった。
仮説5:・・・
不意に気付く。
「今度の休みに、街で買ってくる酒」は、「次回の夜訪問」に供される用だと。
今晩だけでなく、次も夜に来て欲しい。
この、すっとぼけた子供が、そこまでの意味を込めて会話しているだろうか。
(俺には、この子供がどうも理解できない)
理解できないものがある、というのは、敗北感を感じるものだ。
だから、不愉快なのだが・・・この子供との会話は、楽しくないこともない。深読みをするほどの意味がない、そのままの会話のようでいて、期待をさせることもある。
期待・・・何を期待するというのだろう。それは、多分・・・
「クレイドルさん?」
掴み掛けた「考えてはいけない何か」が、するりと、また意識の深層に潜っていく。
いつの間にか、目を閉じ、熟考モードに入っていたらしい。
リアムの小さい声が、耳を撫でたが、面倒なのでそのまま放っておく。
「クレイドルさ〜ん、・・・寝ちゃったの?」
眠っているわけではないが・・・、どうせ、「今夜の計画:段階1」では、リアムが眠ってしまうまで居座る、というのが必要だ。
そのまま、寝たフリをすることにする。
「クレイドルさんってば〜」
やけに小さい、ほとんど囁き声とさえ言える声だ。
まるで、本気で起こすつもりが無いような。
「クレイドルさ〜ん」
微かに、鼻孔をかすめる、香り。
顔を近づけているのだろうが・・・何となく、嗅ぎ慣れたような香りもするような・・・。
思わず、身じろぎをしたらしい。
リアムが、呼吸すら押さえて、こちらを伺っているのが判る。そして、そぅっと立ち去る音がした。
じきに、毛布が、そっと掛けられた。リアムの匂いがする毛布だ。
「お休みなさい、クレイドルさん」
吐息のような囁き声を残して、リアムが去った。
計画通りのはずなのに、何となく寂しい。
普段の明るい声でなく、とあるシチュエーションを思い起こさせるような、あえかな声を、ずっと聞いていたい気もしたが・・・。
(1.2.3.4.5.・・・・)
とりあえず、数を数えてみる。
寝室から聞こえる音が無くなって、更に1000を数える。
そろそろ、リアムは眠っただろうか。
ゆっくりと、クレイドルは目を開けた。
精神に関与する魔術は、クレイドルの得意とするところではない。
はっきり言えば、苦手な方だ。
基本的な術は使えるが、やはり得手とする「呪縛」ほどの効果は得られない。
必要とする魔力は、効果の大小の他にも、対象との距離にも比例する。だから、わざわざリアムの寝室の近くで術を行使する必要があったのだ。
精神を集中させ、そして・・・
クレイドルは、リアムの夢の中へと入っていった。
夢、というのは、本音がそのまま出るはず。
更には、去り際にいささかの細工をしておけば、リアムが夢の内容を思い出すこともないはず・・・ということは、普段の自分のスタイルに合わないことをしてもOKということで。
更に言うなら、肉体的接触がなければ、ナニをいたしてもリアムが「墜ちる」心配も無いという特典付き。
・・・それはともかく。
が、リアムの姿を見つけだした途端、クレイドルの意識は真っ白になった。
計画も、魂胆も何もなく、気付けば、叫んでいた。
「・・・何をしている!離れろ!!」
言いざま、魔力を放つ。
そういうことは、リアムの精神に対して、あまりよくない効果をもたらすのだが・・・考えるより前に、体が動いていたのだから、仕方がない。
リアムは、天使長近衛隊隊長アドルに、抱かれていた。
抱かれていたと言っても、そういう意味ではない。単に、抱きかかえられていたのだが、クレイドルの理性を奪うには十分な光景であった。
アドル、というのが、また、よくない。
残りの悪魔3人については、進展具合に大体の見当は付き、自分の方がリードしている気配はあった。
天使については、ティムは問題外、フィリスもリアムをさらっていくタイプとは思えず、アドルは堅物という認識であり、あえて言うなら、敵はソリュードだと考えていた。
要するに、アドルは恋敵としては、眼中に無かったのである。
それが、リアムの夢の中に出演し、あまつさえ、抱きかかえているときた。
リアムの方も信頼しきった目で、アドルの方を見上げている・・・ように見えた。
舞台は、崖っぷちの樹木。
リアムを抱きかかえていたアドルは、クレイドルにかき消された。
・・・結果。リアムは落ちた。
「うきゃあぁあっ!」
夢に上下も地面もないが、リアムの感覚では「落ちた」のだから、悲鳴は長く続いた。
リアムの身体が、クレイドルの腕の中に収まっても、少しの間は、まだ悲鳴は続いていた。
「きゃああぁぁぁぁ・・・・・って、あれ?」
「今のは、何だ!!」
「あ、クレイドルさんだ・・・って、あれあれ?なんで、クレイドルさんが、ここに????」
「お前は、あの天使が好きなのか!!」
見事に食い違っている。
激昂しているクレイドルに対して、状況が全く把握できていないリアム。
「答えろ!!お前は、あの天使を選ぶのか!?」
じーっと見上げるリアムを、クレイドルは、がしがしと揺さぶった。
それにつれて、細い首が「縦に」揺れる。
「好きなのか!?・・・あんな男のどこがいいと言うんだ!」
「ア、ア、ア、アドルさんのことですか?えっと、好きかと聞かれたら、好きなんですけど・・・」
ぶちっ。
切れたのは、神経だか、血管だか。
まだ何か、続きをしゃべりかけたリアムの口を、口で塞いだ。
首根っこを掴んで仰のかせ、開いた唇から、噛みつかんばかりに舌を吸い上げる。
しゃべるどころか、呼吸すらぴたりと止まったリアムの口を、一旦解放する。
クレイドルを凝視するリアムの目は、ものの見事にまん丸になっていた。
まだ、何も感情は浮かんでいない。ただ、驚愕のみが表れている。
ぱくぱくと開閉される唇は、いつもより一段と色づき、艶やかに光っていた。
吸い寄せられるように、もう一度、口づける。
今度は、言葉を封じるためではなく、その唇をじっくりと味わうために。
男にしては、柔らかい唇だ。まだ、子供の唇、といったところか。
なめらかな歯列、引き締まった歯茎を経て、怯えて縮こまる舌を探り当てる。
吸い上げ、歯を軽く当てると、微かに息を飲む気配がした。
右手は、リアムの首筋に。左手は・・・シャツに潜り込んでいるのは・・・まあ、成り行きというか、勢いというものだ。
何となく、当初の目的を思いっきり忘れているような気もするが。
この場合、目的とリアムの肌のどっちが優先すべきかについて、異論を述べる男は、あまりいないだろう。
左手を背中に這わせ、引き寄せながら、ようやく唇を離すと・・・リアムが泣いていた。
「・・・なんで・・・っ・・・・僕・・・・」
クレイドルに向かって、というよりは呟くようにしゃくり上げながら、ぽろぽろと涙をこぼす。
自分でも、驚くほどに動揺して、クレイドルはリアムのシャツから手を引き抜いた。
「・・・何故、泣く」
それが、うれし涙で無いことだけは確かだ。・・・ということは、この行為が嫌で泣いているということなる。
その割には、リアムはクレイドルの胸元を掴んだまま離さずに、顔を隠すようにして泣いているが。
開いた胸に伝わる涙が、冷たく下へと這っていく。
リアムの顔を持ち上げようとして・・・相手の身体が妙に透き通っていくのを、クレイドルは、数瞬ぼんやりと眺めた。
そして、不意に、気付く。
ここは、リアムの夢の中。
リアムの身体は、すでにかなり透き通って、うっすらとした陰でしかない。
相手の記憶を奪うどころか・・・覚醒に巻き込まれぬよう、「抜ける」のが精一杯。
クレイドルは、ソファでがばっと身を起こした。
寝室から、リアムが動く気配がする。
このまま顔を合わせるのは、どうも不本意だ。有り体に言えば、気まずい。
クレイドルは、アンヌンに帰るべく、立ち上がった。
がたんっとテーブルが鳴る。彼らしくもない慌てっぷりだ。
毛布をソファに投げ捨て、クレイドルが消えるのと、リアムが寝室から出てくるのは、ほとんど同時であった。
アンヌンの自室で、クレイドルは、今夜の訪問を反芻していた。
得たものは、リアムの真意どころか、ひょっとしてアドルが好きなのかという疑惑と・・・口づけをしたら泣かれたというあまり有り難くない事実のみ。
そもそも、何故、自分は、リアムの夢にアドルがいただけで、あんなにも怒りを覚えたのか。
あの時点から、計画が狂っていったのだ。
そして、リアムの唇と、滑らかな肌。
まさか。
妖精が作った、グラウメリーの魔術如きは、とうに見切ったはずだ。
リアムに惹かれているのも・・・理性が及ぶ範囲内の作用で・・・そのはずだが・・・・。
翌日。
クレイドルは、寝不足のために、いつも以上に不機嫌な顔で、リアムを訪れることになる。
次回予告!
クレイドルが、寝不足でも、誰も気にしないが(笑)、リアムが寝不足の顔をさらしていると、心配する男達が約7名!
どうする、クレイドル、敵は多いぞ!今頃、感情を自覚している場合か!
さあ、行け、それゆけ、クレイドル!!
次回「夜、来たる。しかも、複数。」で、お会いしましょう。
あとがき
すまん。テーマは「夢の中でイタズラ(笑)」のはずだったのに、気付いたら、あまり、やることやってない。その割には、そこに至るまでが長かった・・・。いや、私の解釈では、「『魔』になる」=「中出し」(身も蓋も無い表現・・)のため、リルダーナが舞台では、絶対行き着くところまで行かないんだけどね・・・。