僕の頭脳を持ってすれば、あの葉佩九龍という男がロゼッタ協会のトレジャーハンターであることはすぐに分かった。
一見、その辺の高校生……いや、それ以下かな、むしろ中学生と言っても通じそうな容姿だったし…まるで人畜無害な小動物だからね、彼は。
甘ったるい声でにこにこと周囲の人間に媚びを売る姿は、反吐が出そうだったよ。
仮にも命のやり取りをするのが日常茶飯事な職業に従事する者だというのに、平凡な高校生たちに迎合する必要性がどこにあるんだい?
僕としては、もっとこう…孤高の存在というか、へし折り甲斐のあるプライドの持ち主であって欲しかったんだけどね。
あんなんじゃ僕が手を下すまでもない、マッケンゼンに挽肉にされてしまうだろう、と思ってたんだけど…ある時、暇だったから試してみることにしたのさ。
中庭でウェーブのかかった少年と話をしているのを、屋上から見つけた僕は、こっそり撃鉄を上げたんだ。別に殺気は込めて無かったよ?ただ、少しばかり脅かしてやろうと思っただけだったからね。
だけど、かちりって小さな音がしたその途端。
葉佩が目の前の少年を突き飛ばしながらくるりと回転したんだ。
同時に、彼の手から放たれた何かが僕の手を掠めたよ。
そう、銃を持っている方の手だ。
取り落としたりなんて、そんな無様な真似はしないがね。
その時、ちらりと見えた葉佩の目。
あれは、なかなかのものだったね。
賭けても良い。あれは、人を殺したことのある人間の目だ。敵を狩ることに慣れている人間の目だ。
くく…ぞくぞくするね。
やっぱり、あれは、僕と同じ側…つまり、狩る側の存在だ。
そうでなくちゃつまらないってものだ。
あぁ、勘違いしないでくれ。僕は、葉佩が嫌いだ。
あの男、よりにもよって、翌朝登校直前に、僕の部屋にヘリウムガスを噴出させやがって!
致死性の毒ガスにして欲しかった訳じゃないけどね、あぁ、人間が死ぬ程度のガスでは死んだりしないけどね、でも、ヘリウムガスは失礼じゃないか?
おかげで僕の美声はしばらく皆の笑い者になるような声になってしまったよ!
愚民どもに嘲笑われるほど、不愉快なことは無いっ!
はぁはぁ…くっ、思い出しただけで変生しそうだよ…。
見ていろ、いつの日か、情人の前でこれでもかというくらい<P−っ!>の<B−っ!>の…
以下、検閲済み、削除。
|