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先日、「プチおにぎり大会☆」なるものが開催されてな。
 拙者も参加したのだが…い、いや、何も七瀬殿がおられたからでは無いぞ!?
 師匠が是非に、と…!
 ごほんっ、そ、それで、だな。
 腕に覚えのある女子がせっせと握ってくれたむすびを皆で食す、という親睦会であったのだが、その中身が…な。
 拙者が選んだのは見るからにきちんと整えられた見事な形のむすびであり…い、いや、八千穂殿が握られたものも、何というか…愛嬌はあったのだが…その…拙者も自分が可愛いというか…ごほんっ!
 ともかく。
 拙者はその見事なむすびを一口食べて驚愕した。
 旨い。
 塩味と良い、外はきっちり中身はふわりとした触感と良い、これはプロのむすびのようだ、と。
 これは良いむすびに当たった、と思っていた拙者であったが…半ばほど食べたところで…。
 何とも…甘ったるい味と、ねっちょりとした感触が…。
 食べ物を粗末には出来ぬゆえ、辛うじて吐き出すことは堪えたが、拙者がそれ以上噛みも出来ずにおると、師匠が拙者のむすびを覗き込んでにこやかに微笑まれたのだ。
 「あ、真理野くん、はずれ〜」
 は、はずれ、とは何だ?むすびに当たりや外れがあるのか!?
 そう不覚にも動揺してしまった拙者だが、師匠はさも当然と言った顔でのたまった。
 「普通のおにぎりばかりじゃつまらないから、色々入れてみました♪」
 「俺のカレーは当たりだな」
 「甲ちゃん的には当たりでしょうね。ていうか、きっちりカレー入りを選ぶあたりさすがはカレーレンジャー」
 そう言う師匠のむすびの中身は辛子明太子であった。
 拙者、泣く泣くキャラメル入りのむすびを平らげた後、口直しに、ともう一つむすびを頬張った。
 そして、今度は口から火を噴くかと思ったのだ。
 「あ〜、真理野くん、それ、当たりですよ〜、いいなー、俺が欲しかったのになー」
 こ、この、唐辛子入りのむすびを、か!?
 キャラメル入りは何とか食せても、この唐辛子入りはとても人間の食べ物とは思えぬ。
 拙者、自己鍛錬が足りぬ、と反省しつつも、こう言わせて頂いたのだ。
 「よければ…食べるか?」
 「え〜!いいの、真理野くん!ありがとーっ!」
 そうして、師匠は、拙者のむすびの残りを食されたのだった。
 それはさも旨そうであったので、拙者も口の中の痛さはさておき、幸せな気分になったのだが…どこからともなく殺気も感じたのは何故であろうな…。
 い、いや、すまぬ。つい思い出して遠い目をしてしまった。
 それでは、御免。



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