糖尿病と眼疾患

糖尿病性網膜症は成人の後天性失明原因としてはもっとも多く、
日本国内で年間約3,000人の人々が失明しています。

しかし糖尿病性網膜症の初期には何ら自覚症状が無くその大部分は検診などを受けなければ気づきません。
 又糖尿病の方の半数近くは何らかの網膜症などの眼科的合併症を持っていると考えられますので一度眼底検査等を含め眼科的検査を受けることをお勧めします。 
糖尿病性網膜症の程度に応じて経過観察する必要があります。 
 検査としては眼底検査及び必要に応じて 網膜血管の状況及び黄斑部(見る中心の部分)の状況を詳しく知るための蛍光眼底検査(網膜血管造影検査)が主なものとなります。
 糖尿病の眼科的合併症としては網膜症だけでなく
眼球運動障害(物がダブって見える)白内障及び重度網膜症による緑内障などがあります。

糖尿病性網膜症の治療:初期の段階では内科的血糖管理が主となりますが、
その病期に応じて光凝固、硝子体手術などが必要となることがあります。

この疾患は戦後しばらくはほとんど見られず、
私が大学を卒業した時代(昭和40年初期)にはこの疾患による失明者はまれでありました。その増加の原因は は飽食の結果糖尿病が増加したことによると考えられます。 
現在までの私の経験では視覚障害身体障害者手帳診断目的で来院時 その数年前に視力低下に気づきその時には既に重度の糖尿病性網膜症で 網膜光凝固や硝子体手術などを行うも視力障害を残す場合が少なからず見られていました。
             (大阪府立身体障害者福祉センター勤務時)

 以上の事をふまえ糖尿病の方は生涯不自由のない視力を保つためにも 眼科的自覚症状のない方も含めて定期的な眼科的検査は必須です。
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