民主党の市民参加型公共事業

 

 民主党では、中央集権から地方分権へという方向性が打ち出されています。どんな道路を作り、どこに駅を作り、どこに飛行場を建設し、川の護岸工事からダム・治水工事、埋め立て、工場用地、農業用地の整備、学校建設からゴルフ場・リゾート施設、米軍施設、果ては原発から出る放射性廃棄物処理施設に至るまで、何から何まで中央の官僚が全て取り仕切り、工事が始まってみて地元がびっくり仰天、という旧来システムから、そこに住む住民が、自分たちに必要なもの、生活環境の改善に役立つもの、利便性の改善につながるものを、自らの手で企画立案してより良い住環境を整備して行こうというシステムに転換する政策がとられています。

 諫早湾の埋め立て工事は民主党内でも埋め立ての利益を享受する長崎県の議員さんは賛成、漁業被害を被る佐賀県・福岡県・熊本県の議員さんは反対と難しいことになっているように見えますが、未着手の整備新幹線・高速道路の建設、その他ダム、静岡空港など、国家の赤字をこれ以上肥大させてまで作る必要があるのかをもう一度再検討しなければならないような公共工事があります。また、その公共工事が住民にとって、あるいは、国民全体にとって必要なものだったとして、工事の質が必要以上に豪華なものでないか、あるいは劣悪なものでないか、あるいは、建設された施設・構造物の性能に比して工事費用が高すぎないか、という問題もあります。それらが密室で行われると腐敗が起こります。最近では東京都荒川区で贈収賄容疑で区長が逮捕されてしまうという事件が起こっています。何を目的として如何なる工事をするのか?その費用は?収益性は?建設工法は?安全性は?期間は?工事業者は?維持管理の方法は?そうしたことに、地元民の目を光らせることの可能な体制が敷かれる必要があります。

 官僚機構の側が多分こういうものが必要になるだろうと予測して無駄なものを計画していると、どうしても既得権益を利するばかりで住民の利益にはつながらないような結果になってしまいがちです。住民の側から、冷暖房の効いた学校に建て直して欲しい、とか、事故が多いから立体交差にして欲しい、とか、通勤通学に便利なように鉄道を通して欲しい、とか、温泉に入りに来る観光客をたくさん呼びたいから道路や駐車場を整備して欲しい、とか、そういう住民側の要求を集約する形で町作りが計画されるべきです。このためには、計画段階から住民参加が不可欠です。バブル崩壊以降建設会社の株価は下がるばかりで私も大損していますが、建設会社の方も、官僚とくっついて工事案件を企画するのではなく、住民の要求・運動に耳を傾ける中から工事案件を産み出す努力を行う方向に営業の方法を切り替えるべきです。恐らく、官僚にうるさいことを言われながら不本意なものを作るよりもずっと建設会社内のアイデア・創造力・企画力を有効活用できるような工事が企画できるはずです。こうして民間活力を活かすことにより、行政費用を節約し国家財政の負担を軽くし、さらには民間も潤うはずです。

 建設会社の営業マンは国土交通省のお役人さんのところを回るのではなく、街を村を山林を歩き回るのです。各地域の住民に、困っていることはないですか、と聞いて回るのです。お役人さんのところを回るよりもずっとたくさんの工事案件が出てくるはずです。無理難題も言われるかも知れません。でも、そこが建設会社の技術力の見せ所ではないでしょうか。踏切を跨線橋に変えて欲しいのだけれど用地がない、どうしようか、ループ状にして登らせる、いっそのこと自動車が乗るエレベータにする、奇想天外なアイデアが住民から出てくるかも知れませんが、それらの中にも技術的に対応可能なものがあるかも知れません。住民と共に計画を作り住民が納得した上で工事を行っていれば、住民の反対運動に遭って工事が途中で中断してしまい工事代金が回収できないといったリスクも減るでしょう。諫早湾の埋め立て工事はもう殆ど完成してしまっているので、元に戻すことは難しいかも知れません。漁業補償するとともに、有明海をどうやって浄化してゆくか、ということもまた、建設会社の役目ではないでしょうか。世界遺産の白神山地の森林を守り、土砂災害の跡や乱開発による自然破壊の環境復旧なども建設会社の役目です。古墳や遺跡の復元工事、汚染されてしまった土壌の復旧工事、豊かな自然を取り戻すというテーマを立てれば、公共工事が減ってしまったと嘆いている場合ではないと思います。これらも、建設会社が住民に対して耳をどれだけ傾けられるかということで、幾つもの工事案件を作り出すことができるはずです。これで建設業の業績が改善して株価が上がり大儲けできれば私は万々歳で言うことないですが......

 

 

民主党政策集・私たちの目指す社会 地方分権

 

民主党応援団TOPに戻る