待ったなしの財政改革

 

 あなたのところに、お金を借りに来た人がいます。その人の話を聞いてみたら、年収が460万円なのに、一年で820万円のお金を使うのだと言います。もう少し身の丈にあった生活をなさって倹約されたらいかがですかと言うと、820万円のうち、160万円は親への仕送り、180万円は借金の返済で、実質は480万円の生活なのだそうです。そんなにたくさん借金があるのですか、総額でいくら借りているのですか、と聞くと、5480万円(548万円じゃありません)もの借金があり、親元にも2040万円の借金があるのだそうです。問い質すとその借金も毎年300万円くらいずつ増えていく一方なのだそうです。

 

   あなたはこの人にお金を貸しますか?

 

 このお金を借りに来た人は日本国家さんという人です。あなたのところに国債を買ってくれませんか、と、言いに来ました。日本国家は、平成15年度、年収46兆円に対して82兆円の支出でした。そして平成16年度には国家・地方合わせて財政の赤字は700兆円を大きく越えます。

但し、債務の殆どは国内に対するもので、対外債務ではないので、今すぐに破産してしまうというものではありません。

しかし、ここまで財政状況が悪化している国は先進国の中にはありません。最近国家財政の破綻したメキシコやアルゼンチン以上のひどさなのです。日本国民は身の丈以上の公共サービスを受けているということです。

 

 90年代初頭、バブル崩壊直後の海部政権時代に財政状況が若干好転しますが、その後しばらく小康状態を続けたあと、村山政権頃から悪化の兆しを見せ始め、景気対策として「ふるさと創成事業」を行って国民に大盤振る舞いし、借金の総額を聞いて驚きのあまり脳の血管が切れてしまった小渕さんの政権時に急速に悪化します。ここで景気がよくなれば良かったのですが株価上昇もソフトバンク、ソニーなどのIT業種のみに限られ、誰も入りに来ない温泉浴場を作るという景気刺激策が失敗に終わります。森政権、小泉政権でも財政状況は悪化の一途をたどるばかりです。日本国民の大多数がピンときていない様子ですが、もう財政改革は待ったなしの状況です。

 

 財政状況を悪化させている最大の要因は社会保障費の増大です。公共事業費はむしろ抑制されています。

小泉政権はいま、地方交付税の見直しや義務教育費の削減などを行おうとしていますが、誰の目にもはっきりしているのは社会保障費の見直しなのでは、と思います。世代間の公平さを守る意味から言っても現在の年金給付水準は高すぎます。働いている私の生活水準よりも、年金生活をしている私の同居親の生活水準の方が高いのです。

 国家が給付する年金は、最低限の生活を保障するためのものであって、それ以上については、各個人の自己責任とするような考え方に転換しないと、今の若年層が気の毒です。このまま年金支払額を増大させるのでは、日本の活力が失われてしまうのではないでしょうか?

 

 私は自営業者なのであてはまりませんが、サラリーマンの方の定年以降の生活の保障のために年金を給付するという考え方ではなく、老人を労働力として活用するようなことを考えて頂きたいと思います。

 もちろん、社会の一線で激しい企業間競争のまっただ中に老人を置くのは無理でしょう。でも、公共サービスの中には老人でもできるものがいくつもあります。受付、応対、相談事、道案内・観光案内、児童保育、公共施設の清掃、安全の監視、破損物の修復、民芸品・伝統工芸品制作等々。

効率が求められる競争社会では20歳代から50歳代までの方に腕を振るって頂き、60歳以上の元気な方にも、その方に負担にならないような、そしてその方の社会経歴に相応しいようなお仕事をして頂く、そして、基本的には年金は身動きがとれなくなってしまった方の生活保障をするもの、という発想が求められていると思います。

 

 

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