Lesson 3


ストラップインサートの取り付け(その2)
※ この方法は、かなりマニアックなやり方です。
樹脂の取り扱いに熟知していて成型の経験がないとむつかしいです。また、接着不足などで十分な効果を出せない事があります。道具の取り扱いにも慣れが必要です。
作業する場所は火気のない乾いた所で行い、換気、集塵、を十分に行って下さい。直接肌に樹脂などが付かないような服装をし、防毒マスク、防塵ゴーグル、手袋などを使用してください。樹脂、塗料、溶剤などの使用説明書に従ってください。

(1)
図のように丸っこい形を削り出します。これはボードの内部でインサートの動きを抑制する枠の役目をします。
材料はウレタンフォーム、木、軟質ウレタン、など削りだし安いものが便利です。樹脂に溶けるような素材は使えません。
写真はサーフボードの芯材になるウレタンフォームです。直径は45ミリ、高さは60ミリ。
(2)
平らな板に接着剤で貼り付けます。
板は厚紙、合板、なんでもいいのですが、表面が滑らかなものが離型(型抜き)しやすくなります。
ウレタンを含めて板まで離型剤を塗ります。固形石けんでも代用できます。DIYショップでは専用の離型剤が売られていますので、それを使えば確実です。
(3)
ポリエステル樹脂を使ってガラス繊維を貼り付けます。
繊維は布状に織ったガラスクロスと、織らずに5センチ程度に切り刻んだ繊維を圧縮したガラスマットがあります。写真の右上がマット、下にあるのがクロスです。樹脂は一般ポリエスエル樹脂を使います。その取り扱いについては、お使いの樹脂説明書に従ってください。樹脂に赤い染料を入れて分かりやすく説明します。
積層(何枚重ねるか)はせいぜい2枚です。
(4)
ガラスマットを刷毛で貼り付けます。ガラス繊維は樹脂を吸い込むととても柔軟になり、型になじんできます。あせらずにじっくりと刷毛で撫でてください。硬い刷毛、やわらかい刷毛の2種類を使ってやると入り組んだ部分でもしっかりとなじみます。
また泡を含んでいますから、その泡を押し出すために上の写真にある「脱泡ローラー」を使うと便利です。硬い刷毛でも代用できます。
貼り終えると、まるでブラジャーのようにみえますよね。実際、この中でデルリンを保護するのですから的を得たイメージです。
(5)
十分に硬化して、型抜きしたところです。
中にウレタンフォームが少し残りましたが、それを含めてきれいにサンドペーパーで磨きとります。番手は60番、80番あたりがいいでしょう。
この型から二つの「お椀」を削り出します。
へこみの周辺に10〜20ミリの「耳」を残します。
(6)
切り出した二つのお椀型です。これが枠になります。
縦に四カ所切り込みを入れます。お椀の底部分は残しておきます。お弁当に入れるタコちゃんにも似ています。これによって4枚の部分を一枚ずつボードの穴に入れる事ができるようになります。どれだけ削るかは、別な板に同じボードに開ける穴のサイズを開けて入れ込む方法を試します。ラジオペンチなどをつかってシミュレーションしておくと実際に装着するのが楽になります。
(7)
既存のインサートから7センチほどノーズ寄りに新しい穴を開けます。この位置は、ご自分の好みに合わせてください。
今回の穴あけは直径38ミリです。ボードを持っている方は分かると思いますが、ビスの穴周辺にストラップのよれを防ぐアタッチメント用の凹みが付いています。これが要らない場合は、もっと小さいデルリン、開口で済みます。軽量化も図れます。
(8)
何度か装着シミュレーションをした結果、写真のように切れ込みの先端をカーブさせました。細かい加工については写真を参考にしてください。底部に穴を開けておきます。針金が通る小さいもので結構です。
(9)
穴をあけたらドライバーなどで中のフォームをこそぎだします。穴の周り、その裏面を十分に露出させてサンドペーパーで念入りに磨き、ガラス繊維まで出しておきます。ここが大事なポイントです。フォームが残っていたりすると強度は半減します。
あとで発泡ウレタンを注入しますので、多少多めに取り出しても大丈夫です。
(10)
十分にサンディングをしてください。デッキ裏面の繊維を確実に出すこと。この赤い枠も十分にサンディングしておきます。
枠になる底部の穴に長さが30cm程度の針金を通し、裏側に割り箸の端切れなどを巻き付けておきます。この端切れは作業が終わっても中に残りますので小さくて軽いものを選んでください。
穴を2個開けて針金を戻し、あとから抜き取る方法もあります。
(11)
いよいよ装着。
使う樹脂はエポキシ樹脂です。液状のもの、ペースト状のもの、色々あるでしょう。今回は粘度の高いペースト状が使いやすいはずです。硬化時間は30分以上は欲しいところです。
写真ではデッキが上を向いています。もし作業が出来るなら反対にしてデッキを下向きにすると樹脂の歩留まりが良く接着力がアップします。また垂れこぼしが無く、周辺を汚すことも少なくなります。穴の裏側にたっぷりと塗ってください。
(12)
しっかりと枠がデッキの裏面に貼り付くように針金を割り箸などに巻き付けて引っぱり写真のように固定します。
(13)
接着が完全に出来たら、針金を切断して、発泡ウレタンを充填します。写真は、実は二度目の発泡をさせたところです。私が使った1液性のものは水分を吸収して発泡するようです。水分の無いところでは発泡不良を起こすので前もって霧吹きをしたほうがいいと説明書に書いてあります。
 このあとまたウレタンを削って枠の中のものは取り去ります。
(14)
デルリンです。直径35ミリ。長さ25センチのものから削りだしています。ストラップビスだけを取り付けるタイプのインサートであれば、20ミリ〜30ミリでも可能です。抜け止め、回転止めの切り込みを入れます。
金ノコ、ヤスリ、あるいはディスクサンダーに塩ビ用の刃を取り付けて加工します。
気長にやるなら安全な金ノコがいいですね。どうせ2個ですからそんなに時間はかかりません。ヤスリだけでも加工できます。丸ヤスリで切り込みを入れるのも一つの方法です。
(15)
ガラスクロスと一緒にエポキシ樹脂を塗り込み、デルリンを入れます。
このガラスクロスは6オンスを使いました。マットでも大丈夫です。
枠の内側に貼り付き、枠に付いていた切り込みの弱さをカバーします。
(16)
硬化した後に出ている部分をサンダーで削ったところです。ほんの少しだけ、デッキ部分も一緒に削ります。このあとの防水処理のためクロスを貼るためです。
写真では、隙間が見えますね。樹脂が足りなかった部分です。ゆるめの樹脂を念入りにすり込んでおきます。
(17)
防水のためのガラスクロス張り付けです。4オンスのガラスクロス2枚を貼っています。DIYショップで売られているものはオンス表示が無いと思いますが。uあたり200gのものは6オンス相当になります。もちろんそれでかまいません。より丈夫になります。
(18)
硬化したあと60番程度のペーパーで表面を削り、最後に120番程度のペーパーでていねいに削りあげます。
このとき、少し盛り上がる程度にしておくと確実です。
写真は後で行う穴あけの位置出しが終わったものです。前後していますが、サンディング後の写真がありませんので勘弁してください。
(19)
もとのインサートの穴の位置や、その周辺に開いている小さい穴を写し取るにはトレーシングペーパーを使います。小学生の頃、十円玉を紙の上から鉛筆でなぞるとそっくりに写りますよね。その要領です。穴の位置が正確に分かります。
私が使ったのはよれよれのペーパーだったので、掲載をためらいましたが方法だけ分かっていただけますよね。ダガーボックスの縦の線を目印にすると作業が楽になります。
(20)
穴はセンターが4.2ミリ、外周は3.5ミリを開けました。手作業で穴を開けるので誤差が出ます。その分を考えて外周の穴は大きめを使いました。
 くれぐれもセンターを「大きめに開けてはいけません」
このあと、ノンスリップを施して完了です。これ以後は前のシリーズと重複していますので省略します。


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