KT88PP

KT88全段差動アンプ
久しくサイトの更新を行っていませんでした。その間にもいくつかの真空管アンプが完成していき気が付いてみればアンプのラックは何台ものアンプが・・・。
今回、KT88全段差動アンプの製作を紹介してみます。これもお気に入りのアンプです。存在感はナンバーワンです。

KT88全段差動アンプ外観


KT88と言う真空管
真空管アンプを作るとき皆さんは何がきっかけですか?
初めて製作する方はいろいろなきっかけで一大決心の上、始めることだと思います。
それでは何台か作った方はどのようなことで次のアンプ構想をするのでしょうか?
私が今回KT88を選んだのは、この真空管でかくて格好よさそうだからというなんとも単純な動機。果たしてどんな音がするのだろうか。EL34の倍もあろう胴回り、ずんぐりむっくりした体系はどこかメタボのおじさんの体系にも似ています。
どのみち予算の関係と現実r的な大きさとトランスなどの都合で差動回路のアンプであれば出力は10〜15Wがいいところでしょう。となると性能的にも価格的にもEL34で充分です。そのうえEL34の音の良さは皆さんが実証済みです。
でもね、そこが人間なのですね。KT88の差動アンプの音が聞いてみたい・・・・一度そう思うと居ても立ってもいられなくなる、はたしてメタボの真空管おやじはどのような音を出してくれるのでしょうか。

私が入手したKT88はロシア製「electro-harmonix」のものです。
KT-88もよ〜く見るとメーカーによりその形がいろいろであることが分かります。ビンテージものといわれているものは結構な価格が付いてますが、現在作られている中国製やロシア製ですとまだ手が出せそうな価格です。
KT88真空管外観写真
KT88の外観



回路図
↓下記の回路図をクリックすると大きく鮮明な回路図で見ることが出来ます。

KT88全段差動電気回路図


回路構成
入力段にFET(2SK30A-Y)を使用した3段の全段差動で構成しています。2段目は6SN7をSRPP回路で構成し、低いインピーダンスでKT88へ信号を送っています。これにより高域の周波数特性の悪化を防いでいます。
KT88は350Vで60mA程度と比較的軽い動作です。
KT88の定電流回路は3端子のLM317Tを使わずツェナーダイオードとトランジスタによる回路で構成しました。トランジスタは部品箱に入っていたダーリントン接続タイプの2SD633を使いました。絶縁板と絶縁ブッシュを使いシャーシに放熱しています。ここは3端子LM317のほうがすっきりして製作が簡単かもしれません。
電源トランスは回路図作図がうまく行かず、KT88へのヒーターは付け加えて描きました。このヒーターの6.3Vを利用して電源スイッチ内蔵のLED発行電源を単独に造っています。6SN7へのヒーターはSRPPで片側のカソードが100Vぐらいになるので70〜90Vぐらいの電圧を加えてやっています。
マイナス電源はトランスの5V端子が空いていたのでブリッジダイオードを使い作っています。
トランスの100Vのところに「SK」とあるのはスパークキラーで電源スイッチOFF時のノイズをカットしています。



使用部品の資料
品名 型式 メーカー 端子・ピン配列 規格表・詳細記事(掲載ページ)
真空管 KT88   KT88ピン配列 <規格表PDFファイル>
http://frank.pocnet.net/sheets/084/k/
KT88.pdf
真空管 6SN7GT   6SN7GTピン配列 <規格表PDFファイル>
http://frank.pocnet.net/sheets/137/6
/6SN7GT.pdf
FET 2SK30A 東芝 2SK30Aピン配列 http://ssro.ee.uec.ac.jp/lab_tomi/cct/
onepoint/2sk30a/2SK30A.html
電源トランス MX-280 タンゴ 320V-280V-0-70V-280V-320V
(AC280mA)
6.3V-2.5V(5.2A)
6.3V-2.5V(5.2A)
6.3V(3A)
5V(3A)
http://www.tubeworks.jp/trans/detail_iso/
TID014.html
出力トランス RX-40-5 ソフトン RX-40-5配列 http://www.icl.co.jp/audio/RX40.htm

使用部品
電源トランスはタンゴのMX-280を使用しました。
出力トランスは当初タンゴのFE-25を使用する予定でしたが、価格がめっぽう上昇して割安感の出てきた「ソフトン」の出力トランスRX-40-5を使用してみることにしました。1次側5kΩで40W価格が税込10,290円(2009年1月現在)。右の写真はソフトンさんのページから拝借したもので黒ケースです。ケースが黒だけではなくグレーのハンマートーンもあるとのことで今回そちらを購入してみました。この出力トランスなかなかで、その音は期待以上のものでした。
RX-40-5 ソフトン出力トランス

周波数特性
KT88全段差動アンプ周波数特性
周波数特性は100kHzあたりに少しピークがありましたのでNFBに250PFをつけました。その結果上記周波数特性グラフのように素直な特性が得られました。


内部配線
内部配線の具合です。写真をクリックすると拡大写真になります。
クリックすると拡大写真になります
通常系統ごとに配線の色分けをすると分かりやすく、調整やメンテナンスもしやすいものです。その点からするとこの配線はまったく良い見本とはいえませんね。ほとんどが白の線材です。
平ラグ板を多用しています。トランス近辺にだけアース母線のスズめっき線を使っています。アースはループにならないよう、また、電流の流れを考慮しながらアースの取り回しをすればハムノイズはほとんど回避できます。このアンプでもフルボリュームでスピーカーに耳を近づけてもほとんどハムは聞こえませんでした。

アンプのサイドにウッドの飾り
KT88全段差動アンプ全体写真
アンプのサイドに木を貼り付けました。友人がプレゼントしてくれたウレタン塗装のサイドウッドです。
このサイドウッドを取り付けると外観が一変します。金属やガラスの無機質な機械から何かホッとする落ち着きが出てきます。一段と愛着がわいてきます。これでアナログ機器の雰囲気が・・・木のぬくもりって不思議なものですね。


KT88はメタボで大食らい

KT88のヒーターは6.3V1.6Aで10Wです。プレート損失は約20WですからKT88 1本当たり30W消費されていることになります。これが4本ですから120Wという決して省エネとは言いがたいアンプです。電力計で消費電力を測ってみました。なんと174Wもありました。
省エネが叫ばれている昨今では少々肩身が狭いメタボ真空管ですね。
KT88の金属のはかま部分は結構熱くなり、うかつに触るとやけどしそう。ここから放熱する構造のようにも思えます。当初シャーシ加工でKT88の取り付け回りに放熱用の穴を開けていなかったのでシャーシ自体が結構な熱さになっていました。その後それぞれのKT88の回りに6φの小さな穴6個を開けました。これで熱の流れが出来たようでシャーシの熱も幾分よくなったように思います。


試聴
大きな形の真空管だから太い音だ。なんてことは決してありません。(って言うより太い音ってどんな音?)
ただ、感じたのはやはり最大出力が大きなだけに少々大きな音を出してもひずみは感じられずメリハリがありしっかり音が出ていることです。余裕を感じます。
高域もいい感じです。



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