811A | ||||||||||||||||||
Home > 811Aダイナミックカップルアンプの製作 > 811Aアンプのダンピングファクターと歪率改善 |
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811Aを作って、周波数特性は取ったもののそう多くのデータを取って検証したわけではありませんでした。なにしろこのアンプを作ったとき正直プラスバイアスをうまく動作できたことで有頂天でした。その上そこから出てきた音、特に高音の響きにまた有頂天、送信管でこんなに繊細でいい音が出るものなのだ感心したものでした。 周波数特性も本機に使った出力トランスPMF-10WSが高域で乱れる傾向にあるということは聞いてましたがそう神経質にカーブトレースはしていませんでした。 そこで、今回まじめにデータを取って検証してみたわけです。 まづは周波数特性、そして歪率特性、残留ノイズ、ダンピングファクタなどの特性を検査しました。 その結果、ダンピングファクタの悪さにあ然とし、周波数特性もやはり高域に乱れあり、歪率の大きさにもしかめっ面とさんざんでした。 |
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ダンピングファクタはON-OFF法で計りました。 まず、8Ωのダミーロードをつけて発振器から1000Hzを入力します。そのときのダミー両端の電圧をミリボルで測定2.85Vになるようにします。Von=2.85(V) 次にそのままの状態で8Ωのダミーをはずし電圧を測ります。7.9Vでした。Voff=7.9(V) ダンピングファクタの計算は DF=Von/(Voff-Von) で求まります。本機の場合 DF=2.85/(7.9-2.85)=0.56 あちゃ〜・・・ダンピングファクタ 0.56 ほんとかよ?何度計りなおしてもこの値です。悪すぎます。 あらtめて聞いて見ると低音が♪ぼ〜んぼ〜ん♪としまりがありません。高音の良さばかり脳に支配されていたのでしょうか?それとも人間って現金なものでデータが悪いと指摘されるとそこばかり先入観念で悪く聞こえてしまうのか・・・。どちらにしても改善しなければいけません。 |
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シングル回路特有の歪特性直線的に歪があがっていってます。6W超えるところから歪率10%にもなっています。 |
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高域のデータを細かく取ったらおもいっきり大きな乱れがありました。 |
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811Aダイナミックカップルシングルアンプ改善前の性能をまとめると ダンピングファクタ 0.56 全高調波歪率 1kHz 1W出力時 4.12% 周波数特性 10Hz時-2.1dB、70kHz時-2.5dB というものでした。 さて、周波数特性はまだいいとして、ダンピングファクタが許せない値です。これを改善します。 ダンピングファクタを改善するにはNFBを多く取れば改善できます。でもあまりにも悪い値なのでその前にやることは。811Aと出力トランスの問題です。出力トランスのインピーダンスは3.5kΩ、811Aは3極管ですが特性は5極管のようで内部抵抗も高いと思われます。負荷インピーダンスとしてもう少し大きな値を取らないとダンピングファクタが悪化することになります。 出力トランスPMF-10WSの2次側16Ωに8Ω接続して1次側を倍の7kΩにしました。その上でNFBを多くかけてみました。 |
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改造自体はそう大掛かりなものではありませんでした。 出力トランスの2次側配線の変更とFB抵抗を6.8kオームから1.5kオームに変更の2点です。FBを多くしたため周波数特性の乱れが激しくなりました。それを改善する意味で1.5kΩに並列に1000PFを入れました。 その結果特性は以下のように改善されました。 ダンピングファクタ 2.8 全高調波歪率 1kHz 1W出力時 0.71% 周波数特性 10Hz時-1.54dB、70kHz時-2.37dB |
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いつもこの項目のコメントがこまります。言葉での表現って難しいですし、誤解を招くこともあります。 さて、改善後は確かに低音のぼ〜んぼ〜んという感じはなくなりました。ダンピングファクタ5以上ある6L6GC全段差動アンプと大差なく歯切れのいい低音です。 高域もそう大きく変わったとは思えなくいい感じです。でも、何かが違う・・・? 決して悪くはないのです。むしろ以前より良く(?)なったと思います。その違いは数字でもはっきり出ています。 でも、この811Aを初めて組み上げた時のすばらしいと思ったあの音がどこかに行ってしまいました。ダンピングファクタを改善すべくNFBを多くしたため普通のアンプと同じような音になってしまったのでしょうか?この辺は人それぞれの音の好みの領域かもしれません。 改善改造はテスタや測定器とにらめっこで行い結果を出していきます。だからといって、いつも音が良くなるとは限らないのかもしれません。 でもいい音はいい音なのですよ! |
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