音の工房

6BM8超三結
Home > 6BM8超三結アンプの製作

6BM8超三結アンプの製作
6BM8超三結アンプ
超三結の定番6BM8超三結アンプです。
比較的簡単な回路構成ながらびっくりするほどの音が出てきます。部品点数も少なく作りやすく初心者の方にお勧めのアンプです。残留ノイズを極力抑え、左右チャンネルの分離性の良いアンプを作ってみましょう


どうせ作るなら目標を立てよう

6BM8超三結と言えば、多くの方が製作されていてその作例には事欠きません。わたしも何年か前その音が聞きたくて弁当箱型アルミシャーシで簡単に作ってみました。その音はなるほどと納得できるものでした。しかし、その後そのシャーシは実験用シャーシに変身し今は面影もありません。仮製作だった、バラック作りだった、残留ノイズがあった、見た目もいまいちだった・・・などの理由で没っていきました。
さてどうせ作るならコンセプトと言うか目標を立てて納得できる『6BM8超三結真空管アンプ』を製作してみようと思いました。そこで、以下の目標を置いて製作してみたのがこのアンプです。
(1) ノイズの少ない「しずかなアンプ」を作る。
(2) 左右チャンネルの分離性を良くする。
(3) 外観にも気を配ろう。

よい製品(よいアンプ)は良い設計と良い製作技術がうまく合致して生まれます。これはアンプの世界だけではなく、「もの作り」全てにいえることと思っています。超三結の音がすばらしいと言う話はよく聞きます。そのすばらしい音を自分のアンプから出すために製作面にも気を配り製作してみます。

(1)の「しずかなアンプ」とはノイズを極力少なくし、信号だけをしっかり増幅することです。コンポのステレオやCDラジカセなど入力のない状態でボリュームをがんがん上げていくと「サー」とか「ブーン」というノイズを聞いた経験は誰しもお持ちでしょう。そんなノイズが全く聴こえないアンプは作れないものでしょうか。作れます。この6BM8真空管アンプなら作れます。ノイズがまったく聞こえてこないアンプからの音、それがまさしく超三結の本当の音ですね。
スピーカーに近づくと若干ハム音が聞こえる、しかし2mも離れると聞こえないし音楽が鳴るとまったくハム音が気にならない・・・と妥協している方いませんか?この際、フル(最大)ボリュームにしてスピーカーに耳を近づけてもハム音まったく聞こえず電源を切っているみたい。というアンプ作ってみませんか。

もうひとつ(2)の左右チャンネルの分離性(クロストーク)を良くするということ。ステレオアンプなら当たり前のことです。でもこの当たり前のことが結構難しいのです。この分離性が悪くなると音の定位が悪くなり原音再生から遠ざかっていくことになります。この分離性を良くするのはちょっとした工夫と作り方で確実によくなります。

(3)の外観についてはデザイン、感覚的なところが大きくその感性は個々さまざまです。なので、私がいいと思っても他の人は「全然ダサいじゃないか」と評価するかもしれません。ある意味価値観的なものもありますね。アンプは見た目じゃなく性能本位、外見のシャーシやつまみに金をかけるぐらいなら中の部品に金かけろ・・・と主張する方もいらっしゃるでしょう。それも立派な価値観だと思います。
ただ、きれいに仕上げたもの、見た目によい感じの創作物はいつまでも大切にしたくはなりませんか。そして、家族友達に自信もって見せたくありませんか。
それから作り勝手のよさだけを優先するのではなく、使い勝手にも気をつけてみましょう。真空管アンプを主張しつつオーディオラックに入れても違和感のないものにしたいですね。



回路図
6BM8超三結アンプ電気回路図



回路構成
目標のチャンネル分離(クロストーク)の良さを目指すためB電源を左右分離して別々に供給するようにしました。通常はB電源は左右共用して使用しますがそうするとどうしても分離性が悪化します。820Ωの抵抗と220μFの電解コンデンサをRch、Lch別々に用意し電源を通しての分離性の悪化を防いでいます。ここは、部品点数が増え配線時のシンプルさも損ない、部品の価格も(特に電解コンデンサは)金額が張ります。そこを考えてもやっておきたい回路設計です。
820Ωの手前からアース間の100kΩは電源を切ったときにコンデンサにチャージした電荷を放電するためのものです。
今回使用した電源トランスKmB150Fはヒーター用端子が0-6.3-12.6と言う端子になっています。これを利用するには回路図のようなつなぎ方にします。そして電源のLEDランプの電源をヒーター端子から作りました。ここのLEDランプのGNDはリップルのお化けですからほかのGNDには絶対接続せず、必ずトランスの6.3V端子に接続してください。

入力段FET(2SK30AY)です。ボリュームの中点からアース間に1MΩの抵抗がありますがこれはボリュームの接触不要や断線のときにFETのゲートが開放にならないよう安全対策として入れてます。保険です。
FETのソースSに入っている5kΩの半固定VRを調整して6BM8のカソードAが40Vになるように調整します。



使用部品の資料
品名 型式 メーカー 端子・ピン配列 規格表・詳細記事(掲載ページ)
真空管 6BM8
(ECL82)
  6BM8真空管ピン配列 <規格表PDFファイル>
http://frank.pocnet.net/sheets/030
/e/ECL82.pdf
FET 2SK30A 東芝 2SK30Aピン配列 http://ssro.ee.uec.ac.jp/lab_tomi/cct/
onepoint/2sk30a/2SK30A.html
電源トランス KmB150F 春日無線変圧器
1次
0V-100V
2次
0V-140V-170V-200V AC 150mA DC 95mA
0V-6.3V-12.6V-14.5V-16.0V AC 0.9A
静電シールド付き
http://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=315
出力トランス OUT54B57 春日無線変圧器
出力 5W
1次側
インピーダンス
B/5kΩ/7kΩ
2次側
インピーダンス
0Ω-4Ω-8Ω-16Ω
1次重畳
最大電流
60mA
http://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=38

シャーシ加工
6BM8超三結アンプのシャーシ加工シャーシの選択です。今回使用したシャーシはタカチ電機製のHIT23-7-18SSと言うものを使用しました。このシャーシはアルミ製でサイドパネルがヒート・シンクになっていて真空管の放熱にもうってつけです。全体がアルマイト処理されているため見た目に綺麗で塗装などの必要はありません。シャーシ全体が簡単に分解できるので右図のように平板になり、とても加工がやりやすく感じました。

部品の配置もデザインに関係する部分です。今回私はシャーシが深い構造であったため出力トランスをシャーシ内に入れてしまいました。というのも、今回使用した出力トランスはバンドタイプのむき出しトランスです。外観的に決して良いとは言いがたく端子もむき出しのため高圧むき出しの危険性もあります。これをシャーシ内に入れることでシャーシの外側はすっきりしました。上に載る部品は電源トランスに真空管2本だけです。
すっきりしたのはいいのですが、出力トランスの止めねじやブロックコンデンサの止めねじが表面にきたなく見えてしまうことです。

そこでシャーシ上面のレイアウトを奥側に電源トランスと真空管2本を配置して手前に出力トランスやブロックコンデンサの取り付け穴にしました。そして前面の取り付けねじを板を載せて隠してしまおうというものです。


内部配線
6BM8超三結アンプ内部配線



残留ノイズを小さくする方法
ノイズと言ってもいろんなノイズがありますが、最も一般的なのが電源周波数のノイズ・・・ハムが挙げられます。信号にノイズが載る原因として最も多いのがGNDライン(アースライン)の取りかたがまずいために信号に電源周波数(または周波数の2倍)のノイズが載ってしまい、ノイズも一緒の増幅されて「ブーン」というハム音がスピーカーから出てきます。
GNDラインが悪い・・・どう悪いのでしょう。それは入力段などの微弱な信号のGNDラインにB電源のGND部分が混在している。GNDラインがあちこちにあり何通りもの流れるところが出来てしまっている。など。GNDは電気回路図で書くとアース記号だけで、それらをなにしろぜ〜んぶつなげば動作する。・・・・確かに動作はするでしょう。しかし、ハムノイズのオンパレードと言うことにもなりかねません。

GNDラインを実際の製作を考えて回路図に太線で描いてみました。
6BM8超三結アンプのGNDライン

周波数特性
6BM8超三結アンプ周波数特性


ひずみ率特性とその他の特性

6BM8超三結アンプの歪率特性


組み合わせ
6BM8超三結アンプとiPod

工事中
真空管Home